【LootLARP】LootNFTを使った『フィジカル-デジタルメタバースプロジェクト』について解説

どうも、イーサリアムnavi運営のでりおてんちょーです。

イーサリアムnaviでは、毎日大量に流れてくるクリプトニュースを調査し、その中でも面白いトピックやクリプトネイティブな題材を選び出し、それを分かりやすく読みやすい形でお伝えしています。パラパラと内容を眺めているだけでも、事業やリサーチの新たなヒントに繋がることがあります。世界の最先端では、どのようなクリプトコアな試みが行われているのかを認識するだけでも、 思わず狭くなりがちな視野を広げてくれるでしょう。

今回は、メタバースプロジェクトについてリサーチしていた際に発見した、『フィジカル-デジタルがシームレスに絡み合ったメタバースプロジェクト』について紹介いたします。

一般的にメタバースと聞くと、以下のようなイメージをされる方が多いのではないでしょうか?

  • 仮想世界に集まる
  • VRゴーグルなどを使用する
  • デジタル上にある現実世界よりもリッチな場

しかし今回紹介する「LootLARP」は、それらのメタバース像のイメージをひっくり返すようなプロジェクトです。

現実世界で使用するフィジカルなアイテムと、スマートコントラクト上にあるデジタルなNFTがデータを連携し合うという、とても壮大で夢のある面白そうなプロジェクトです。

ちなみに「LootLARP」を理解する上で欠かせないのが、LootというNFTへの理解です(概念レベルでOK。)

Lootについてまったく知らないという方は、最初に以下の記事で概要とイメージをざっくり理解してから本記事を読まれることを推奨いたします。

でははじめに、この記事の構成について説明します。

STEP
そもそも「LARP」って何?

まず本プロジェクト名にもなっている「LARP」の意味と、実際の事例について理解していただき、LootLARPプロジェクトへの理解がスムーズになるよう説明してまいります。

STEP
LootLARPで用いられている仕組み

LootLARPの概要に触れる前に、LootLARPプロジェクトを理解する上で押さえておくべき仕組み部分の前提知識について解説します。

STEP
LootLARPとは?

最後に、LootLARPの概要と注目ポイントを解説し、また今後おこなわれる予定のイベント情報なども合わせて紹介いたします。

本記事が、Lootの活用事例の一つである「LootRARP」と、そこで用いられている技術部分について理解したいと思われている方にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的または投資上のアドバイスとして解釈されることを意図したものではなく、また解釈されるべきではありません。ゆえに、特定のFT/NFTの購入を推奨するものではございませんので、あくまで勉強の一環としてご活用ください。

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目次

そもそも「LARP」って何?

まずは、こちらの1分動画をご覧ください。

LARPの正式名称は、ライブアクションロールプレイング(Live Action Role-Playing)です。

現実の世界でゲームの登場人物となり、ゲームと同じように建物や敷地などのフィールドを歩いたり、会話したり、戦ったりしながらストーリーを進めていくという、いわゆる『体験型ゲーム』のようなものです。

ライブRPGと呼ぶこともあるそうですが、要はゲームの世界を現実世界で再現した遊び方です。

参加者は世界観に合わせた衣装を纏ったり、ゲームの世界と同じルールで展開を進めていくなど、没入感のあるゲームスタイルが海外を中心にヒットしているようです。

これを踏まえてLootLARPについて先に簡潔に説明しておくと、まずLootのNFTに書かれている武器の情報からフィジカルなアイテムを制作し、そしてそれを用いたリアルイベントを開催し、さらにそこで起きた情報(敵を倒した、レベルアップした等)をトリガーにLootLARPのNFTに情報を書き込むなどフィジカル-デジタルがシームレスに絡み合うといったプロジェクトです。

なんでそんなことができるの?どうやってやっているの?

など今はまだ珍紛漢紛だと思いますが、これから少しずつ掘り下げて解説してまいりますのでご安心ください。

LootLARPで用いられている仕組み

出典:kong.cash

LootLARPの概要を理解するために、まずは本プロジェクト実現のためにどのような技術や仕組みが用いられているのかについて、大きく3つに分類してそれぞれ解説していきたいと思います。

SiLoについて

SiLoの正式名称は『Silicon-Locked smart contract』です。

スマートコントラクトに暗号的にリンクされた、低コストで耐久性がある安全な部品です。

出典:arx.org

上写真の通り、SiLoが搭載されたチップ(以下SiLoチップ)はコインほどのサイズであり、任意のオブジェクトに埋め込んだり、取り付けたり、接着したりできます。

メタバース上のアイテムを現実世界に持ち出すために開発されたもので、フィジカル-デジタルがシームレスに絡み合ったメタバースプロジェクトには欠かせない部品となります。

出典:lootlarp.xyz

SiLoチップは鍵ペア(公開鍵と秘密鍵)を自己生成し、その公開鍵部分がKONGレジストリのコントラクトに追加される仕様です。

出典:lootlarp.xyz

さらに、誰でもスマートフォンのNFC(※1)経由でSiLoをスキャンして、秘密鍵を確認し、スマートコントラクトに保存されているトークン化された資産へのアクセスのロックを解除したり、信頼性を証明したり、実際のアクションをトリガーにしたりすることが可能です。

※1
NFCとは「Near field communication」の略で、日本語では「近距離無線通信」という意味。
NFC(近距離無線通信)をもう少しわかりやすく説明すると、NFCを搭載した機器同士を近づけるだけで通信ができる技術のことです。
たとえば交通系ICカードのSuicaは、改札にカードをかざすだけで機器が認証し、チャージしたお金が自動的に引き落としされる仕組みですが、これにもNFC技術が活用されています。

引用:NFCとは?スマホに搭載された便利な機能について解説します

つまり、SiLoチップを物理的なアイテムに埋め込むことで、そのアイテムは暗号資産となり、チェーン上で検証され、現実世界でやりとりすることができるのです。

『SiLo + 実世界のアイテム = クリプトアセット』であると表現されたりしています。

表側のスマートチップと裏側のセキュアコントラクト技術により、デジタルとフィジカルを融合させることができるという面白いプロダクトですが、この技術がLootLARPでも使用されています。

SiLoのユースケース

執筆時点で、SiLoには以下のような活用事例が報告されています。

SiLoの活用事例①

NFTフィジカル商品・認証付きのアイテムなど

SiLoの活用事例②

後述するKONG Cash・KONG LandでのIDにも使われている

KONG Landについて

出典:kong.land

KONG Landは、先ほど解説したSiLoを世界的に普及させること、そして物理世界とデジタルメタ世界をつなぐことを使命とする、実験的なクリプト国家です。

一般的な国家と同様に、KONG Landは

  • 市民権
  • ユニークな文化
  • 働く政府「DAOのDAO(※詳細は後述)」

があり、そしてSiLoで作られた物理的な暗号資産を作成し輸出することで成り立つ経済圏も持ち合わせています。

ちなみにSiLoチップは、ガバナンストークンの一部をKONG Landのトレジャリーに供給したプロジェクトが利用できるそうです。

KONG Landは、市民が協力して

  • ステーブルコイン
  • アイデンティティ
  • ファッション
  • アート

など、様々な業界のプロジェクトのために、物理的な暗号資産を輸出する「クラウド国」として存在しています。

また、自分たちが完全にコントロールできる、ネットワーク内に壁のある庭を作りたがる従来のテック企業とは異なり、KONG Landでは自由な市民に属するオープンなメタバースを信じて突き進んでいます。

そして、今回解説するLootLARPプロジェクトもこのビジョンに共感しており、LootLARPの物理的なLoot装備品は、KONG Landで「物理的な暗号資産」として作られています。

「DAOのDAO」とは

KONG Landは、市民によって統治されるクリプト国家で、物理的な暗号資産を輸出してクリプトをユビキタスにするという『共通の目標を持つDAOの集合体(=>DAOのDAO)』で構成されています。

ユビキタス(Ubiquitous)とは、いつでもどこでも存在するという遍在を表す言葉です。 またITの世界では、コンピューターやネットワークが遍在し、使いたいときに場所を選ばずに利用できることなどを表す用語としてユビキタスが使われています。

引用:ユビキタスとは

DAOが複数形態で存在することで、各DAOが独自のプロダクトや問題に焦点を当てることができるというメリットがあり、また各DAOは異なる資本とコミュニティへ関与するニーズを持っています。

「DAOのDAO」では、同じ目標を持つDAOは労働力とリソースを共有することができ、すべての個々のDAOは共有されたトレジャリーから資金を要求する能力を持つことになります。

例えばこれが役立つ場面としては、物理的な暗号資産の輸出に必要な原材料を調達するために、トラッドコープ(イタリアの肥料製造販売業者)のサプライヤーと協働したり、フラットコインを展開するために地域通貨プロジェクトと協働したりすることが考えられます。

また余談ですが、最終的にはKONG Landが物理的な不動産を保有し、市民がリアルに交流して生活することも想定しているそうで、とても面白く夢があるプロジェクトだと感じます。

KONG Cashについて

出典:kong.cash

KONG Cashは、クリプトキャッシュの形をしたSiLoの最初の活用事例で、暗号通貨を読み込んだ物理的な紙幣です。

先ほど紹介したKONG LandとSiLoのコラボプロダクトになります。

KONG紙幣は、一度ERC20トークンを読み込めば現金と同じように現実世界で自由に交換でき、またスマートフォンでタップすればその真正性と価値を簡単に確認することができます。

出典:Kong: Sound Crypto Cash

この仕組みの面白いところは、クリプトキャッシュ紙幣には通常タイムロックがかかっており、ある一定の期日まで関連する暗号通貨を現物紙幣から分離することを制限しています。

つまり、期日までは普通の紙幣と同じように利用することができて、期日を迎えた紙幣はその時点での持ち主がロックされたトークンをmintし、自分の好きなアドレスへとtransferさせることができる仕組みです。

ちなみに、KONG紙幣には$KONGトークンが搭載されていますが、どのクリプトプロジェクトも同じKONG Cashのフレームワークを使用して、自分たちのトークンを読み込ませた物理的な紙幣を作成することが可能です。

現状クリプトを利用するためには、walletの使用や秘密鍵の管理などが必要となり、一般の人からするとハードルが非常に高いです。
法定通貨のように物理的なアセットとして利用できて、かつその裏側でクリプトが使われているようなプロダクトであれば、マスアダプションにも期待できますね。

KONG Cashは仕組みが非常に難解であるため、本記事のテーマと逸れてしまうため技術部分の詳細は省きます。
仕組み部分について詳しく知りたいという方は、こちらの資料(英語)をご参考ください。

LootLARPとは?

以上の話を踏まえた上で、ここからはいよいよ本記事のテーマであるLootLARPについて解説してまいります。

NFTの装備に身を包んで、冒険の旅に出かけよう!

出典:Twitter

LootLARPは、現実世界でのライブアクションロールプレイ(LARP)ゲーム用に、既製のLoot装備(swords, maces, divine robesなど)の物理アイテムを製造しているプロジェクトです。

LootLARPは、先ほど解説したSiLo(Silicon-Locked smart contract)が可能にした実生活における物理的な体験のMVP(必要最低限の機能だけを搭載したプロダクト)を作成し、今後の標準テンプレート、すなわち「Composable Physical Gaming」のERC標準を構築することを目的としているなど、非常に野心的です。

執筆時点では、NFTセール前の段階のため公表されている情報が少ないのですが、以下、公式発信の概要に関する情報をまとめました。

我々が最初に提供するものは、Lootハイパーバースの冒険者のためのアイテムです。
Loot(またはMore Loot)NFTを、アイテムの関連するスマートコントラクトにステーキングすることによって、対応するNFTに「魔法をかけて生まれた」SiLoの”katana”を想像してください。

出典:Twitter

この魔法によってアイテムに命が吹き込まれ、Loot NFTのメタデータの力が付与され、現実世界とブロックチェーン上で同時に展開されるスマートコントラクトゲームでの新しい相互作用にアクセスできるようになります。

出典:Twitter

ブロックチェーンが、ゲーム内のナラティブ体験を共有するプレーヤーの集合的な物語と来歴をキャプチャすると同時に、魔法をかけられた物理的なアイテムはインターフェースとして機能し、web3との間の出入り口として機能し、新しい形式のゲーム化されたロールプレイを可能にします。

出典:Twitter

つまり、

  • Loot(またはMore Loot)というデジタルNFT
  • それを元に現実世界で誕生したフィジカルNFT

この二つが、現実世界と仮想世界で相互にデータを連携し合うという、とんでもなく壮大なメタバースプロジェクトなのです。

従来のテック企業が、ユーザーを仮想世界に引き込んだり、デジタル体験で現実を拡張することに主眼を置いているのに対して、LootLARPはウェアラブルヘッドギアだけに頼らない、フィジカル-デジタルがシームレスに絡み合ったメタバースを思い描いているところに、筆者は面白みを感じます。

ちなみに、この体験をするためにはLoot(またはMore Loot)を保有しているアドレスで、『Redemption NFT』という償還NFTを別途購入する必要があります。

こちらはセール日などの詳しい情報は執筆時点では発表されておらず、アロケーションのみが公表されている状況です。

STANDARDLEGENDARY
供給量5008
価格0.5 ETHオークション
ウォレットあたりのミント制限22
※供給の一部は、チームメンバーとコミュニティの貢献者に割り当てられます。

LootLARPのリアルイベント情報

フィジカル-デジタルが絡み合うということは、当然ながら現実世界でのイベントも開催される予定です。

このイベントには、

  • 作り手
  • 思想的なリーダー
  • コミュニティチャンピオン
  • メタバース研究家

など、Web3を形成する最先端のエリートが集まる予定だと言われており、心待ちにしている方も多い印象を受けました。

以下、公式発信のイベントに関する情報をまとめました。

最初のLootLARPイベントは、2022年1QにETHBarcelonaのお城で、Lootハイパーバースを物理的な領域に橋渡しします。
これは没入型のインタラクティブな会場で、クエストやゲームのイベントを通じて、Lootの派生物やプロジェクトを紹介する予定です。

出典:Twitter

このイベントは、コミュニティの精神に共鳴する壮大な場所を舞台に、より豊かな体験を展開するための設計図を提供します。

出典:Twitter

ゲーム内での成果はすぐにブロックチェーンに記録され、現実世界での様々なアンロックを引き起こし、インタラクティブな現実環境の中で、すべてのプレイヤーが一緒に楽しめるドラマチックな物語の瞬間を推進します。
私たちはLARP形式の中で、社会の可能性を探求する、遊び心のある好奇心旺盛な参加者を歓迎します。

出典:Twitter

ちなみに、コロナウイルスの蔓延など、有事の事態が起きてリアルイベントの開催が難しくなってしまった場合は、以下のような対応がおこなわれるそうです。

そのようなことが起こらないことを祈っています。
万が一起こった場合は、イベントを延期し、他のコミュニティカンファレンス(例:Devcon、ETH Denverなど)と時を同じくして、別の物語のある会場に移動する予定です。
この場合、NFTが “Rugged “NFTになることはありません。

出典:lootlarp.xyz

新たなメタバースプロジェクトとして非常に面白い試みですが、残念ながらこのイベントのためだけに日本からスペインのバルセロナ地方まで足を運び、参加することは難しいでしょう。

現地に行けないことは悔やまれますが、TwitterやDiscordなどを通して体験レポートの情報を得ることは可能なので、引き続きこのムーブメントの情報は個人的に追っていきたいと思います。

まとめ

本記事では、LARPの概念からLootLARPで用いられている仕組み、およびLootLARPの概要と注目ポイントなどについて解説しました。

本記事が、Lootの活用事例の一つである「LootRARP」と、そこで用いられている技術部分について理解したいと思われている方にとって、少しでもお役に立ったのであれば幸いです。

最近では「メタバース」がバズワード化していますが、本プロジェクトはそれらと異なるアプローチを取っている点で非常に興味深いものだと思います。

メタバースという単語自体が新しいものなので、その定義や正解というのは現時点では分かりませんが、フィジカルとデジタルを融合させるという新しいアプローチであることは注目に値すると個人的には思いました。

現地に足を運べないところは残念ではありますが、引き続き行く末を見守りつつ、リサーチを続けていきたい所存です。

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