最近よく見るクリプトマーケティング新手法|Daily Stock #30

どうも、でりおてんちょーです。

今日のDaily Stockは、最近よく見るクリプトマーケティング新手法についての話です。


この続き: 2,426文字 / 画像4枚

最近、多くの英語圏のクリプト関連プロジェクト紹介記事や投稿を見ていると、新たなクリプトマーケティング手法が目立つようになってきたので、ここでその気づきを記しておきたい。

こうした取り組みが活発化した背景には、クリプト関連のプロジェクトや記事の増加、そして生成AIの進化により、ユーザーの関心を引くためのハードルが上がったことがあると個人的には考えている。

その結果、クリプト事業者は新たなマーケティング手法を模索し始め、プロジェクト紹介記事や投稿で差別化要素として顕在化しているのかもしれない。

それを踏まえ、最近よく目にするクリプトマーケティングの新手法について結論から述べると、以下の二つの手法が新たなフレームワークとして台頭しつつあると感じる。

  1. プロジェクト名をタイトルから隠して、最後にこっそり公開
  2. 個人アカウントを使った公式アナウンス

プロジェクト名をタイトルから隠して、最後にこっそり公開

出典:https://kanfa.macbudkowski.com/social-app-canvas

まず一つ目の手法は、プロジェクト名をタイトルに含めず、全く関係のない有益なオピニオン記事として始まり、最後にプロジェクトを紹介するというものである。

先に事例をいくつか挙げると、上画像のMac Budkowski氏が書いた「A path to a breakthrough web3 social app」が分かりやすいだろう。

この記事は、まず序盤で「過去のソーシャルメディアの変遷とその必然的な衰退」について語り、読者に共感を呼び起こしている。

次に、web3ソーシャルアプリの現状とその課題について触れ、読者が抱く疑問を代弁する形で問題提起を行っている。

ここまでの流れを通じて、読者は自然と記事に引き込まれる。その後、中盤以降に著者が手掛ける「Kiwi」というプロジェクトについての取り組みが紹介される。この構成により、読者は無理なく「Kiwi」への関心を高められるよう巧みに誘導されているのである。

この他にも、最近公開された記事だと「Crystal Ball Gazing: Economic Social Incentive Layers」や「NFTs explained (so anyone can understand)」などが同様の手法を用いて自身のプロジェクト紹介記事を執筆している。

※実際に超有益な内容の記事です

この手法の大きな利点は、広告感がないため読者にとって読みやすい点だと思う。記事のタイトルから広告や宣伝であることが明確にわかると、最近の読者はそれを避ける傾向にあるからだ。

そうした背景を踏まえ、記事からプロジェクト名や広告要素を排除し、有益な情報や意見を中心に据えることで、読者を自然と引き込むことが可能となるのかもしれない。

個人的にもこれに倣って、最近の記事「メタバースにおけるオープン対クローズド論争|Farcastles」や「Boostとは|web3スペースにおけるインセンティブの意義を再考し、新たな取引モデルを模索する」では、プロジェクトよりもオピニオンの方を前面に押し出したタイトル・アイキャッチに変えて実験してみている。(SEO的にプロジェクト名は端に書いている)

また、これはconsomeさんとディスカッションして得た知見だが、自ら取りに行った情報(記事)の中にプロジェクトの宣伝が含まれていると、自然とその宣伝部分まで読んでしまうのかもしれない。

読者は、具体的なプロジェクト名が含まれていないことで、純粋な情報を求めて記事を読み始める。しかし、記事の内容が進むにつれてプロジェクトの紹介が自然に行われることで、読者はそのプロジェクトに対する関心を自然と高めることになる。

そして、プロジェクトの宣伝を自然な形で挿入することで、読者の反感を買わずに効果的に情報を伝えることに繋がりやすいと考えられそうだ。

こうした手法を自社プロジェクトの宣伝記事にも用いることで、読者は記事の有用な部分に満足しつつ、最終的にはプロジェクトに対する興味を持ってしまうのだろう。

個人アカウントを使った公式アナウンス

出典:https://dwr.email/on-hubs

二つ目の手法は、公式アカウントではなくファウンダーの個人アカウントからプロジェクトの広報を行う手法だ。

これは最近さまざまな業界で見受けられる現象であり、要するに公式アカウントよりもファウンダーの個人アカウントの方がより多くの注目を集めやすいというものである。

クリプト領域における事例としては、FarcasterやWarpcastのファウンダーであるDan Romero氏が、自身のプロジェクトの進捗報告やアイデア出しを公式ではなく敢えて個人ブログ(Paragraph)で行っていることが挙げられる。

また、Farworld LabsのCEOであるcharlie氏も、$1.75Mの資金調達を個人アカウントから報告している。さらに、OpenRankの紹介ツイートMegaETHの$20M資金調達発表も、ファウンダーの個人アカウントで行われている。

このように事例は枚挙に暇がないが、その理由としては、生成AIの発展により人々がプロジェクトの裏側にいる人物に関心を寄せるようになったことや、FactよりもOpinionを求める傾向が増していることが考えられる。


このように、今まで以上に「何をやっているのか」よりも「誰がやっているのか」という文脈に焦点が当たる傾向や、プロジェクトの背後にいる人物に関心が向けられる傾向は、クリプト領域で広報を担当する者にとって知っておいて損はないでしょう。

今後も何か知見になりそうなものを得られた際には、Daily Stockで紹介していきたいと思います。

みんなにも読んでほしいですか?
  • URLをコピーしました!
目次