ai16zのELIZA騒動とミーム投資家の心得|Daily Stock #102

どうも、でりおてんちょーです。

今日のDaily Stockは、ai16zのEliza騒動とミーム投資家の心得についての話です。


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先日、ミームコインに関連して興味深いインシデントが発生したため、今回はそれを取り上げることにする。まず前提として、今回焦点を当てるELIZAというミームコインは、「ai16z」が発行を計画しているマスコット的な存在として位置づけられているものである。

ai16zの詳細については、以前「ai16zとdaos.fun|Daily Stock #92」で取り上げたためここでは割愛するが、簡潔に述べると「ai16z」とは、著名なベンチャーキャピタルAndreessen Horowitz(通称a16z)を皮肉った命名であり、プロジェクト自体はAI技術を活用して資金管理を行うという革新的な試みを掲げているものである。

ai16zは単なるAIプロジェクトにとどまらず、完全にAIによって運営される「次世代ベンチャーファンド」として注目を集めている。同プロジェクトのトークンは既に3億ドルを超える時価総額を有し、投資家たちはAIによるリーダー「Marc AIndresseen」の意思決定に影響を及ぼすことができる。さらに、a16zとの競争に挑み、それを凌駕する自動化ファンドであり続けることを目指している。

そして、この「ai16z」というプロジェクトが新たなトークン「ELIZA」を発表しようとした矢先、予想外の事態が発生した。それは、ai16zプロジェクトに関係する人物ではない第三者が、先んじて同名のトークン「eliza」を発行したという展開である。

その結果、市場には「Eliza」と名付けられた二つの異なるトークン、「eliza」と「ELIZA」が並存する状況が生じた。小文字の前者はファンによって独自に作成されたトークンであり、大文字の後者はプロジェクトの公式発表に基づいて誕生した新トークンである。

そして、この混乱はミーム投資家たちの間で激しい売買を引き起こし、先にローンチされた「eliza」トークンの時価総額は、わずか30分で4000万ドルから600万ドルへと暴落した。一方、本家の「ELIZA」トークンは、登場直後に瞬く間に1億ドルのピークに達する事態となったのだ。

先にローンチされた「eliza」トークン(非公式)
後にローンチされた「ELIZA」トークン(公式)

こうした混乱の中、ai16zの匿名クリエイター「Shaw」はX上で声明を発表し、非公式トークン(eliza)の保有者に対し、公式トークン(ELIZA)の10%を提供する方針を示したことで、非公式トークンの保有者は損失を部分的に補填される形となった。

また、彼は新トークン(ELIZA)を発行する必要性について強調し、それが単なる資金調達の手段ではなく、「Eliza」というキャラクターがai16zの枠を超え、自立した存在へと成長するための基盤を築くものであると説明している。Shawの言葉を借りれば、新トークンは「物語と影響力」を生み出すための土壌となるのだという。

なお、ここまで後にローンチされた「ELIZA」が公式であるかのように述べてきたが、実際のところ、ELIZAはai16zチームが公式に発行したものではなく、あくまで別の「パートナー」チームによって作成されたものという建て付けになっている。

ここまでくるともはや、ミームコインにおける「公式」とは一体何を指すのかという議論にも発展しそうではあるが、いずれにせよ、今回のElizaを巡る一連の騒動がai16zの知名度向上に寄与したことは否定できないと感じている。

この騒動の他にも、開発チームの主要メンバーである「Logan」が非公式トークンを購入し、その後、公式トークンのローンチ直前に売却した行為が「インサイダー取引」に該当するのではないかと問題視されるなど、ELIZAを巡る混乱は一層深まっている。(しかもLoganは元々公式トークンを発行しないと明言しており、むしろコミュニティが独自にトークンを立ち上げることを容認すると発表していた背景がある。)

そういったこともあって、公式トークンのリリースが非公式トークンの価格に影響を与えることを知りながら売却したのではないかと疑われており、この件をめぐって関係者の間で議論が続いている状況である。

こうした一連の騒動を踏まえると、ミーム投資家として行動する人は、AIの進化によってミームコインが爆発的に増加する中で、プロジェクトの精査が十分に追いついていない現状を認識しておく必要があると言えるだろう。

つい先日に日本でも、公式・非公式のミームコインが話題となったばかりだが、この流れの早いミームコイン界隈においては、各プロジェクトの精査が追いついておらず、発表される情報が必ずしも正確であるとは限らない点を心得ておくべきである。

とはいえ、現在のクリプト領域においてミームコインがモメンタムを持ち、流行の対象となっていることは疑いようがなく、同時にストーリーテリングやマーケティングの新しい形を生み出す可能性も秘めている。

個人的には投資を行うつもりはないが、主要な出来事やプロジェクトについては、投資助言と受け取られないよう注意しつつ、記事の題材として取り上げていきたいと考えている。

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