【後編】ミームコインの全体像を、価格の値動き以外の側面から紐解く|2025年初頭におけるミームコインの現状と復活可能性について

2025年になってからというもの、クリプト業界が次のムーブメントを探し続けているように感じます。

$TrumpトークンやAIエージェント関連の盛り上がりが落ち着きを見せる中で、「次はミームコインが復活するのではないか」という意見を耳にする機会もチラチラ増えてきつつありますが、その一方で『過去にDogecoinやShiba Inuが巻き起こしたような熱狂はもう訪れないのではないか』という見方も、根強くなってきているように思います。

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筆者は、2017年頃からクリプト市場の動向を追ってきましたが、その間に何度も特定のモメンタムのが栄枯盛衰を繰り返す姿を見てきました。ただ、その中でもミームコインは、Dogecoinが誕生した当初から一種のお祭りのように注目を集め、大きなボラティリティを伴って価格が上下してきた歴史を持っています。

しかし最近では、$Trumpトークンの盛り上がりが落ち着き始め、pump.funのトークンローンチはミームコイン市場の低迷によって80%減少したというニュースなども目につくようになり、「ミームコインのモメンタムは終わったのではないか」という見方が強まりつつあります。

そうした背景を踏まえて、筆者は今回「ミームコインの現況」と「本当に再ブームがあるのか」という点を改めて再考しながら、ミームコインの過去の盛り上がりや失速を振り返り、今後の復活シナリオがどの程度あり得るかを整理してみることにしました。

マーケットが活況であれば、どのようなトークンであっても注目を集めやすいものの、停滞期に入れば本当に支持されるプロジェクトだけが生き残るものです。そのため、市場の熱気が落ち着いた今こそ、あえて「ミームコインはどうなっているのか」を再考する意義があると考えています。

そして、ミームコインがその例外となるのか、それとも今度こそ完全に火が消えてしまうのか、本記事を通じて考察していきたいと思います。

でははじめに、この記事の構成について説明します。

STEP
ミームコインの時代は終わったのか

まずは、ミームコインが一時的な熱狂を生み出した背景と、その人気が衰退した要因について振り返り、市場の変化と投資家の関心の移り変わりを整理します。

STEP
ミームコインの復活可能性を考える

続いて、ミームコインが再び市場で注目を集める可能性について検討し、過去の成功要因や現在の市場環境と照らし合わせながら、再燃のシナリオとその限界を分析します。

STEP
個々に最適化されたミームが増えている話

最後に、ミームの広がり方がかつての一極集中型から、特定のコミュニティやアルゴリズムによって細分化される傾向にあることを論じ、現代のミーム文化の変遷について考察します。

本記事が、ミームコインの現況や復活シナリオ、最近のミームトレンドなどについて理解したいと思われている方にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的または投資上のアドバイスとして解釈されることを意図したものではなく、また解釈されるべきではありません。ゆえに、特定のFT/NFTの購入を推奨するものではございませんので、あくまで勉強の一環としてご活用ください。

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目次

ミームコインの時代は終わったのか

ミームコイン乱立と急速な失速

出典:https://www.coingecko.com/en/categories/meme-token
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さて、DogecoinやShiba Inu、そしてPepeなど、過去に何度かブームが起きてきたミームコインの世界は本当に終焉を迎えているのか、本章では考えていきたいと思います。

まず2025年に入ってからというもの、トランプ政権への期待と絡めて誕生した「$TRUMP」や「$MELANIA」が急騰した後に失速し、その後の「$LIBRA」で追い打ちをかけられた格好で、多くの投資家がミームコインから撤退する雰囲気が漂ってきました。

筆者の周りでも、「ミームコインはもうおしまいではないか」「次から次へと同じようなトークンが出てきて、飽きられているのではないか」と言う声を上げる人が増えていることは、体感としてはあったのが正直なところです。

そんな中、先日CoinGeckoから「Bobby’s Crypto Aggregate (Feb 2025): The Death of Meme Coins」というレポートが公開されていたのですが、この中で触れられているように「ミームコインの取引高や時価総額は、2025年2月をピークとして激減した」という事実が、数字の面からも大多数のミームコインが投資対象として支持を失いつつあることを示しています。

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特に、昨今の世界情勢やトランプ大統領の発言などからマクロ経済が不安定になると、投機色の強い銘柄ほど資金が抜けやすい傾向があるため、ミームコインが真っ先に見限られる存在になってしまうことは、仕方のない側面もあると言えます。

また、ミームコインは基本的にユースケースやユーティリティが明示されていない場合が多く、SNSでの拡散力とアテンションに群がる群衆(≠コミュニティ)の盛り上がりのみが価格を支える構図になりがちで、筆者はこの構図ゆえに、ブームが終わると一気に相場が崩れ、多くの投資家の撤退につながりやすいと考えています。

ということで、Dogecoinのように長年「遺産」として存在感を維持している銘柄はごく一握りで、莫大な数の新興コインが誕生しては消える様子を何度も見てきましたが、2025年前後に乱立したミームコインの多くが、今まさにその打ち上げ花火的なパターンを踏んでしまっているように見えます。

出典:ミームコインの進化サイクル|Daily Stock #152

投資家の失望と規制問題

ただ、2024年を振り返ってみると、VCが支援していたプロジェクトへの失望感が、逆に何も約束しないミームコインへ資金を誘導したという見方もあったように思います。

2024年頃に大きな話題を集めた「VCコイン」と呼ばれるカテゴリは、時価総額が過度に高いものが多く、個人投資家が参入しにくい状態になっていました。

それに対する反動で、「ならいっそ、ジョーク程度の軽い気持ちで参加できるミームコインのほうが面白い」という風潮が高まったという主張もあり、そうした文脈で2025年はフェアローンチやICO2.0方面の流れが強くなるという見方もありました。以下のArthur Hayes氏の記事でも、そのような考察が展開されています。

ただ、蓋を開けてみるとミームコインの多くは初期流動性に偏りを抱えているケースが多く、実質的にはフェアローンチではないという失望も、投資家の間ではあったのではないかと個人的には分析しています。

また、2024年はアメリカなどでクリプトへの規制が強化され、ユーティリティを前面に押し出したトークンがローンチしにくくなった事情もあり、その結果としてユースケースを持たずとも法的リスクが低い(と一部で誤解されていた)ミームコインが無数に作られ、投機的な熱狂を生みました。

その代表的な例として挙げられるのがpump.funの盛り上がりですが、2024年8月に導入された「ライブ配信機能」によってユーザー間の過激な行動がエスカレートし、プラットフォームは瞬く間に無法地帯と化してしまいました。

こうした状況を受けて、結果的にpump.funは2024年11月26日に「ライブ配信機能の無期限停止」を発表しましたが、フェアローンチや個人のトークン発行という自由度の高さと同時に、ユーザーの安全をどのように確保するのか、そのバランスを取ることは容易ではないということを、この一件は教えてくれたように思います。

そして、このpump.funの件が起点となり、$TRUMPや$MELANIA、$LIBRAで追い打ちをかけられた格好で、多くの投資家がミームコインから撤退する雰囲気が漂い、ミームコインの時代は終わったのではないかと叫ばれるようになったというのが、大まかな全体的な流れです。

本当に終焉を迎えるのか、それとも再燃の可能性はあるのか

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ただ、筆者個人の見解としては、CoinGeckoのレポートが「The Death of Meme Coins」とうたっていても、完全な終わりとは言えない部分も残していると感じています。

DogecoinやShiba Inuのように、過去のサイクルを生き延びて一定の認知を持った銘柄は依然として存在し、「なんとなくお祭り的にミームコインを買う人」というのは、今後も絶えることはないはずです。

これはクリプトの世界に限ったことではなく、ネットカルチャー全般に言えることですが、ネタやジョークとして広がったものというのは、どこかで再び火がつく可能性があり、簡単に終わったとは断定はできないからです。

例えば、トランプ政権の動きが引き金になって価格が跳ね上がる、あるいは大物インフルエンサーが再びミームコインに興味を示すなど、何らかのトリガーで部分的なブームが起きるシナリオを否定しきることはできません。

過去を振り返ると、あれほど下落していたDogecoinが、イーロンマスクの言動によって一時的に10万ドル単位の投資家を呼び込むような暴騰を見せた事例もありますし、こうした「どこで再び火がつくか分からない特性」こそが、良い意味でミームコインのしぶとさではないかと考えています。

こうしたことを踏まえて、次章では「ミームコインの復活可能性」について、筆者の私見を交えながら考察していきたいと思います。

ミームコインの復活可能性を考える

前提

さて、ここまで述べてきたように、今日までのクリプト市場において「ミームコイン」というジャンルは、一時的に爆発的な人気を博した存在となりました。

その代表格として、DogecoinやShiba Inuのような動物系トークン、最近では$Trumpトークンの狂騒が思い起こされますが、これらのコインはSNSを中心としたコミュニティ形成とインフルエンサーの影響力によって、投機対象として驚異的な高騰を見せました。

しかし、最近では「ミームコインはもう復活しない」との見解も目立つようになってきました。そこで本章は、かつてのミームコインの熱狂とその終焉の要因を振り返りつつ、今後の展望について論じてみたいと思います。

ミームコインの成功とその終焉

まず、ミームコインが急速に世間の注目を集めた最大の理由は、その「面白さ」や「手軽さ」にあったと考えられます。実際、$Trumpトークンがローンチされた際にも、400,000人以上の新規ユーザーがMoonshotアプリに登録し、デイリーアクティブユーザーが100万人を超えたことから、新規層のオンボーディングに貢献したと言われています。

そもそもDogecoinだって、2013年にインターネットミームとクリプトを組み合わせたジョークのような形で誕生し、それがSNS利用者の好奇心を刺激し、さらに著名人の言及をきっかけとして信じがたいほどの価格上昇を遂げました。

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その背景には、クリプト市場全体が強気相場にあったことも大きく寄与しており、当時はあらゆるトークンが注目されやすい環境でしたし、とりわけコミュニティ主導のユーモラスなミームコインは、熱狂の象徴となったのです。

出典:coingecko.com

しかし、その盛り上がりは長くは続きませんでした。その最大の要因の一つは、ミームコインが投資対象として「正当な根拠」を欠いていたことにあると考えられます。

というのも、多くのミーム系プロジェクトは実質的なユースケースを持たず、マーケティングやSNS上の話題性のみが頼りであるため、価格が一旦落ち始めると「アテンションに群がる群衆(≠コミュニティ)」が粘り強く支えようとしても、売り圧力を覆すだけの新規参入者を呼び込むのは困難になってしまうからです。

出典:ソーシャルとコミュニティの違い|Daily Stock #113

しかも、アテンションに群がる群衆の構成要素の一つであるインフルエンサー自身も、熱が冷めると別の話題へと移行しがちであるため、こうした構造的な弱点がミームコインブームの継続を阻害した大きな要因だったのではないかと、個人的には推察しています。

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そして、こうしたことを踏まえると、今後ミームコインがかつてのような熱狂的ブームを再現するのは難しいかもしれないと考えています。

投資家の目が肥え、市場全体が成熟に向かう中で、単なるジョークやネットミームだけでコインの価値を長期間押し上げることが至難の業であることは、想像に難くありません。

また、ここ数年でNFTやDeFiといった新たな概念が普及し、クリプト市場は少しずつ実需との結びつきを強めています。そうした環境において、実用性の面で乏しいミームコインがすでに旬を過ぎた存在と見なされるシナリオの方が、可能性が高いという見方もできるでしょう。

ミームコインの可能性と限界

とはいえ、クリプトの歴史を振り返れば、思わぬきっかけで価格が急騰する事例は決して珍しくありませんから、ミームコインが完全に市場から消え去るとも考えにくいです。

特に、日を追うごとにSNSやインターネットカルチャーの影響力はますます増大しており、新たなキャラクターや面白いコンセプトを軸にしたトークンが、著名人の支持やバイラルな宣伝によって爆発的に拡散されれば、一時的なブームを再燃させる可能性は十分にあるでしょう。

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クリプト市場はボラティリティが非常に高いため、一定の期待感と投機マインドを刺激できれば、Dogecoinのような「遺産」を目指すプロジェクトが再度脚光を浴びる可能性は残されているはずです。

出典:ミームコインの進化サイクル|Daily Stock #152

ただ、そうしたミームコイン復活のシナリオが実現したとしても、過去ほどの勢いを取り戻すことは難しいのではないかと、個人的には考えています。

筆者がそのように思う理由の一つは、「$Trumpトークンの栄枯盛衰」です。世界的な影響力を持つトランプ氏がミームコインを発行し、それが短期間で熱狂と冷却を経た以上、それを超える勢いを生み出すミームコインが果たして誕生するのか、疑問が残ります。

また、もう一つの理由は、「市場心理の変化」です。2021年頃のミームコインブームは、コロナ禍による在宅時間の増加やSNSの活発化といった偶然の要因が複合的に作用しており、それゆえにPFP NFTブームが到来したと筆者は考えています。要は、当時は人々に面白いネタを求める余裕があり、新しい投資手段に飛びつく好奇心も高まっていたという見方です。

しかし、今後は世界的な経済動向が不透明感を増し、インフレや金利上昇といった現実的な要因に投資家の関心が向かう中で、リスク回避の姿勢がより強まる可能性が高いことから、純粋に「面白い」というだけの銘柄には資金が集まりにくくなるのではないかと考えています。

そうしたことを踏まえると、「ミームコインがまったく復活しない」とは言い切れませんが、「かつてのDogecoinのように市場全体を巻き込むほどのブーム」が再来するかどうかとなると、相当に疑わしいと言わざるを得ません。

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そして、筆者の見解としては、今後のミームコインは特定のコミュニティやインフルエンサーの周辺に限定された局地的なブームにとどまる可能性が高いと考えています。


ということで最後に次章では、個々に最適化されたミームが増えているというテーマを中心に、音楽・エンタメ業界における嗜好の細分化やクリプト市場におけるミームの進化など、マニアックな考察を「定期購読プラン」登録者向けにまとめています。ご興味あればご覧ください。

個々に最適化されたミームが増えている話

音楽・エンタメ業界における嗜好の細分化


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まとめ

今回は、市場の熱気が落ち着いた今こそ、あえて「ミームコインはどうなっているのか」を再考し、その復活可能性や新たなトレンドの可能性などについて、筆者の私見を交えて考察しました。

本記事が、ミームコインの現況や復活シナリオ、最近のミームトレンドなどについて理解したいと思われている方にとって、少しでもお役に立ったのであれば幸いです。

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