以前、Lootで話題の「コントラクトから直接mint」を一緒にやってみようという記事を書きました。
こちらの記事を書いた後、タイミングよく日本でも
- Gakuen Loot
- Anime Loot
- Ramen Loot
など、LootのデリバティブNFTが次々にリリースされました。
それにより、「Etherscan(Polygonscan)のコントラクトから直接mint」を試せる機会が何度かあり、Twitterでも多くの方が参加されている様子が確認できました。
では突然ですが、この熱狂の大元となる「Loot」というNFTについて、一体どれだけの方が「仕組み」や「面白さ」を理解できているのでしょうか?
勉強したいとは思っているものの、つい後回しにして今に至っている方も多いのではないでしょうか?
ということで今回のテーマはこちら。
- 「Loot」というNFTについての理解を深める
- 類似プロジェクト「The n project」についても深掘り
- 現在トレンドとなっている「ボトムアップ型NFT」について理解する
LOOT
— dom (@dhof) August 27, 2021
– randomized adventurer gear
– no images or stats. intentionally omitted for others to interpret
– no fee, just gas
– 8000 bags total
opensea: https://t.co/qSnRJ1FD0n
etherscan: https://t.co/bF9p0RSHX2
available via contract only. not audited. mint at your own risk pic.twitter.com/uLukzFayUK
また、皆さんにLootについて分かりやすく説明するために、本記事では
- 「Loot」とは?
- 「Loot」NFTを活用した事例
- 「The n project 」とは?
- 「The n project 」 NFTを活用した事例
という構成で筆者が作成したスライドに沿った形式で進めていきます。
本記事が、皆さんの「Loot」をはじめとする「ボトムアップ型NFT」への理解の一助となりましたら幸いです。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的または投資上のアドバイスとして解釈されることを意図したものではなく、また解釈されるべきではありません。ゆえに、特定のFT/NFTの購入を推奨するものではございませんので、あくまで勉強の一環としてご活用ください。
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「Loot」とは?
Lootの正体は、一体何なのか。
まずは、皆さんにそれを分かりやすくイメージしていただくために、超簡易的に表現します。
Lootとはズバリ、「戦利品が入った鞄のNFT」です。
スペースの問題で、上のイラストでは4つしかアイテムが載せておりませんが、実際は8個です。
Lootは、直訳すると「戦利品」という意味になることから、戦利品が8つ入っている鞄(かばん)のようなものだとお考えください。
で、8個のアイテムとは何なのかというと、
- weapons(武器)
- chestArmor(胸部装甲)
- headArmor(ヘッドアーマー)
- waistArmor(腰の防具)
- footArmor(フットアーマー)
- handArmor(ハンドアーマー)
- necklaces(首飾り)
- rings(指輪)
の8つです。
さて、ここで勘の良い方は、このように思ったのではないでしょうか?
そう、先ほど筆者は『鞄(かばん)の中に8個のアイテムが入っている』と述べました。
では、そのアイテムの画像や情報は、一体どこにあるのでしょう?
結論から申し上げると、LootというNFTには戦利品のイラストや強さの情報などは存在しません。
Lootの開発者であるdomさんは、以下のように仰っています。
つまり、LootのNFTは文字が存在するだけで、イラストやスタッツ(強さの情報)などに関しては自由に決めてくれというスタイルなのです。
これがLootが生み出した新しいNFTの概念なのですが、それに関しては後述します。
まずは、LootというNFTがどのようなものなのかについて、一緒に詳しく見ていきましょう。
Lootを詳しく見てみよう
Lootは、左側の画像のように文字だけのNFTです。
まずはこの部分について、もう少し詳しく解説していきます。
①の箇所には「Short Sword」という記載がありますね。
これは、8種類の戦利品アイテムの一つ目の要素である「weapons(武器)」の情報を表しています。
では、その「weapons(武器)」は何かというと、右下にあるいくつかのグループのことです。
- “Warhammer”
- “Quarterstaff”
- “Maul”
- …etc
のようにズラっと表記されていますが、そのうちの一つである「Short Sword」が、このLootNFTには配置されているというわけです。
そして、Lootが生み出した新しいNFTの概念というのは、この「Short Sword」の解釈がクリエイターによって異なるというところにあります。
例えば、LootのNFTを使ってゲームをつくろうと思ったとします。
「Short Sword」にピックアップすると、
- どんなイラストにするか
- どの程度の強さにするか
- どんな場面で役立つアイテムにするか
などを、つくり手の裁量次第で、自由にゲーム内に組み込むことができます。
これこそがLootの本質であり、Lootが生み出した『NFTの新しいアプローチ』だと言われています。
NFT空間のパラダイムシフト
今までのNFTの多くは、『トップダウンアプローチ』だと言われていました。
これは、クリエイターが自ら
- NFTのプロフィール写真
- ゲームアイテム
- アートワーク
などをつくり込んで、NFTとしてリリース(販売)するモデルです。
このモデルでつくられたNFTは、リリース(販売)した後に
- エアドロップを送る
- ファン層を拡げていく
- 他のユーティリティを追加していく
といったアプローチをかけることで、NFTの価値や価格を高めていくことになります。
一方、Lootが提唱した『ボトムアップアプローチ』の場合は、クリエイターではなく「コミュニティが」NFTの価値を決めていくモデルです。
みんなで「Lootという共通のNFT」を使って、
- ゲームをつくる
- アバターをつくる
- メタバースをつくる
- 小説を書く
などを行い、その価値を高めていこうというスタイルです。
これは非常に画期的な発想であると同時に、パブリックブロックチェーン的な思想、すなわち分散的なNFTであると表現できます。
今までのNFTが家のような「完成品」を販売していたとするならば、そのNFTの価値を高める(需要を生み出す)ためには、
- その家の近所を良いものにする
- その家に置ける新たな家具を提供する
といったアプローチが必要となります。
それに対して、LootのようなボトムアップアプローチのNFTは、家のような「完成品」ではなく、いわば『レンガ』を売るモデルです。
ただし補足しておくと、このモデルのNFTはクリエイターに「使われてなんぼ」です。
今後どのようになっていくかは、コミュニティの力8割、運営の力2割(これは筆者の体感の数値です)となっています。
Lootが多くの人に使われ文化として定着すれば、その価値は上がるでしょう。
逆に、誰にも使われずブームで終わってしまえば、無価値になるかもしれません。
「Loot」NFTを活用した事例
では、ここからはLootが今現在(2021年9月12日)どのように活用されているのか。
その事例を一部紹介していきたいと思います。
Inventory
Lootのアイテムにはそれぞれ、レアリティが存在します。
それを、CommonからMythicまでの6段階で、色をつけて分かりやすく可視化してくれるサービスです。
このサービスは、あなたがLootを保有していなくても閲覧することが可能なので、よければ実際にご覧になってみてください。
▼Inventory
https://0xinventory.app/
Loot Character
Loot Characterは、LootNFTの文字を元にイラストをアルゴリズム生成してくれるサイトであり、文字しか存在しなかったLootの世界に、はじめて絵を吹き込んだサービスです。
ちなみに先述の通りですが、このイラストはあくまで「このクリエイターさんの解釈で」つくられたものです。
他のクリエイターさんが同様のサービスを作ったとしたら異なるイラストになる、というところが、ボトムアップアプローチNFTの面白い点です。
こちらもLootを保有していない人でも体験することが可能なので、よければ実際に触ってみてください。
▼Loot Character
https://www.lootcharacter.com/
Loot Maps
こちらは既にあるLoot Mapsというプロジェクトと、Lootを組み合わせた事例です。
このように、0からLootを使ったサービスをつくらずとも、既に展開されているプロジェクトと掛け合わせて活用することも可能なのです。
他にもたくさんあるよ
長くなるので割愛しますが、他にも個人で活動されている方などで、「Lootを使って○○つくりました!」という報告は、いくつか目に入ってくるようになりました。
また今回は触れませんでしたが、Lootにはさまざまな特徴や機能、今後予定されているイベントなどが多数あります。
興味のある方は、ぜひLootに関する記事などを中心に調べてみてください!
1/
— でりおてんちょー|derio (@yutakandori) September 6, 2021
最近、NFTについて普段から発信されていない方々も「Loot」についてツイートされている、という現象が散見されています。
ということで、改めてLootについて触れられた素晴らしい記事を、このスレッドにまとめていきたいと思います。
他にも良い記事があれば、スレッドに繋げていきます。
↓続
「The n project 」とは?
少しだけ補足として、「The n project(以下:nと表記)」について触れておきます。
こちらもLootと同じくボトムアップアプローチのNFTなのですが、Lootと違って数字が羅列されたNFTです。
文字のLoot・数字のn
最近では、Lootと合わせてこちらのnについての議論・創作も進んできているため、少しだけ事例について紹介しておきたいと思います。
ちなみに、数字は0から14までの15通り存在していて、
- 0や14が最も出づらい
- 11〜13までもやや出づらい
になっているそうです。
The n project is a collection of 8,888 NFTs, each of which contains 8 numbers between 0 and 14. An example is attached.
— Danial (@d4bba) September 7, 2021
The probability that an n NFT contains a specific number is also attached. The most common numbers are 1 – 10, and the most rare are 0 and 11 – 14.
2/ pic.twitter.com/Z9qX6oKGOo
「The n project 」 NFTを活用した事例
では、ここからはnが今現在(2021年9月12日)どのように活用されているのか。
その事例を一部紹介していきたいと思います。
Art For N
nの方は数字だけなので、一般的に「gerenativeアートなどと相性が良いのでは?」と言われています。
「Art For N」は、nの数字配列を元にアートワークをアルゴリズム生成したNFTです。
プレセールではn保有者でだけが0.015ETHでmintできましたが、現在は誰でも0.04ETHでmint可能になっています。
Curated By N
こちらも、nの数字を利用したgenerativeアートです。
こういったアーティスティックな作品に関しては、Lootのような文字列よりもnの方がつくりやすいですね。
Lost Pixels For N
こちらもgenerativeアートです。
先ほどまでの事例と異なり「Lost Pixels For N」に関しては、現時点ではn保有者しかmintできないみたいです。
まとめ
本記事では、「Loot」というNFTについての理解を深めつつ、類似プロジェクト「The n project」についても深掘りしながら、現在トレンドとなっている「ボトムアップアプローチNFT」について解説しました。
かなり噛み砕いてイラスト付きで解説してきましたが、みなさんの理解が少しでも深まったのであれば幸いです。
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