ENSってなに?”過小評価”されていると噂のNFTについて徹底解説!

どうも、イーサリアムnavi運営のでりおてんちょーです。

前回は、「ボトムアップ型NFT」のLootというNFTについて紹介しました。

この記事が思っていた以上に好評だったことから、NFTに関心を持っている方々から『ボトムアップ型NFT』についての、関心の高さが窺えました。

ということで、今週も「ボトムアップ型NFT【中級編】」など書こうかと思ったのですが、少し似たようなアプローチのNFTについて紹介しておこうと思い、今回は「ENS」について解説していきます。

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『似たような』ではなく、個人的に「ENS」は、Lootのようなボトムアップ型NFTの原点的存在だと考えています。

「ENS」というと聞き馴染みのない方もいるかもしれませんが、最近のニュースでいうと老舗ビールブランドのバドワイザー(Budweiser)が、30ETH(当時のレートで約1040万円)で「beer.eth」を購入して話題となりました。

また、ENSは意外と過小評価されているという説が囁かれていますが、筆者も同意です。

出典:OpenSea

そこで今回は、本メディアでもENSについて早めに取り上げておきたいと思います(厳密には決して早くないです)。

追記:
ブログ移転前のメディアでこの記事を書いたのが2021年9月19日なのですが、11月9日時点でENSの給付金(独自トークンのエアドロップ)がありました。
ブログ移転前のメディアでこの記事を読んでENSを触っていた方は、おめでとうございます!

本記事では

  1. 「ENS」とは?
  2. インターネット世界のドメインとDNSについて
  3. 改めてENSって何?
  4. ENSのおもしろいところ
  5. ENSの購入事例
  6. まとめ

という構成で、筆者が作成した図解も織りまぜつつ、DNSやドメインについても解説しながら、ENSの理解を深めていく形式で進めていきます。

本記事が、皆さんの「ENS」への理解の一助となりましたら幸いです。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的または投資上のアドバイスとして解釈されることを意図したものではなく、また解釈されるべきではありません。ゆえに、特定のFT/NFTの購入を推奨するものではございませんので、あくまで勉強の一環としてご活用ください。

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目次

「ENS」とは?

ENSの正式名称は「Ethereum Name Service」で、Ethereumブロックチェーン上にスマートコントラクトで構築された、インターネットネーミングサービスのことです。

超簡潔にザックリいうと、『あなたの管理するEthereumアドレスに好きな名前をつけることができるサービス』です。

ENSは、Ethereum Foundationからスピンアウトした非営利団体が管理するオープンソースプロジェクトで、2017年5月に正式ローンチしました。

当初のローンチは2017年3月だったが重大なバグが見つかったことで2ヶ月後の5月に正式ローンチ

超ザックリとENSについて触れたところで、ここからENSについて概要やメリットを詳しく解説する前に、まずインターネットの世界における「ドメイン」について説明していくことにします。

というのも、この記事を読まれている方の中には、

いきなりドメインやネームサービスの話をされても、いまいちピンとこない。。

と感じる方もいると思ったからです。

ENSを理解するためには必要な工程だと思うので、次の章ではインターネットの世界における

  • ドメイン
  • DNS

について、簡単にわかりやすく解説していくことにします。

※ドメインやDNSについて理解されている方は読み飛ばしてください。

インターネット世界のドメインとDNSについて

まずは、インターネットの世界で利用されている「DNS」について、簡単に解説します。

DNSの正式名称は「Domain Name System」で、インターネット上のドメイン名(ドメインネーム)を管理するためのシステムのことです。

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既存のインターネットの世界では「ドメイン」というものがありますよね。

例えばTwitterのサイト「https://twitter.com/」であれば、「twitter.com」の部分がドメインに当たります。

インターネットの世界では、このドメインがあるからこそ、我々は特定のサーバーに簡単にアクセスすることができます。

いわば、ドメインというのはサーバーの住所を表したもの。

しかし実際には、サーバーの住所というものは「IPアドレス」表されています。

例えば、amazon.comのIPアドレスは「205.251.242.103」です。

これはコンピュータが読めるように最適化されたものですが、人間には判別しづらいですよね。

しかし、人間に判別しやすいように最適化すると、今度はコンピュータが読めなくなってしまいます。

いうことで、

  • コンピュータが読めるIPアドレス
  • 人間が読めるドメイン

この2つを紐づけてくれるところが『DNS』というシステムです。

皆さんは、amazonのサイトにアクセスする際に「205.251.242.103」ではなく「amazon.com」でアクセスしますよね?

これは、『DNS』が

  • IPアドレス「205.251.242.103」
  • ドメイン「amazon.com」

を紐づけて管理してくれているからこそ、我々が簡単にアクセスできるというカラクリがあったのです。

改めてENSって何?

では、本題に戻ります。

ENSは、Ethereumブロックチェーンの世界におけるDNSのようなものだとお考えください。

つまり、DNSが「IPアドレス × ドメイン」を紐づけているように、ENSは「Ethereumアドレス × .ethドメイン(ENSを用いて得られるドメイン)」を紐づけてくれるサービスです。

インターネット世界のドメインと同じく、.ethドメインはEthereumブロックチェーン上の住所のようなものなので、世の中に同一の.ethドメイン名は二つとありません。

ちなみに、ENSはマルチコイン対応しているので、ENSサイトで設定をおこなうことでETHだけでなく、

  • BTC
  • LTC
  • DOGE

のような暗号資産も取り扱うことが可能になります。

そのため、Bitcoinアドレスを紐づけると、その.ethドメインに対してはBTCを送ることもできるという優れものです。

ENSを利用するメリットは?

ENSを利用する1番のメリットは、『アドレスの入力ミスなどを防ぎ、人間が識別しやすいかたちでEthereumアドレスを利用できる』ことです。

厳密には、Ethereumアドレスは

  • コントラクトアドレス
  • EOA(ユーザーがETHなどを保有するアカウント)

の2種類ありますが、「0xD2581aFe6e3B83AB9CC04a9287eaa1b37297b7F7」のように、どちらも「0x…」から始まる16進数(0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, A, B, C, D, E, F)の組み合わせで表されています。

このような複雑なアドレスは、人間からすると入力ミスを引き起こしてしまう要因ともなりえます。

また、毎度送受信のたびに「0x」から始まるアドレスをコピペして確認するのは面倒ですが、例えば「vitalik.eth」であれば一瞬ですし、コピペミス・確認ミスもしづらいのです。

出典:Twitter

これは非常に大切なことなのですが、IPアドレスの場合は打ち間違えたとしてもそのサイトにアクセスできないだけなので、再度打ち直してアクセスすれば良いだけですよね?

クリプトのアドレスの場合、誤って転送された資産を失う可能性があるため、単なる打ち間違いでは済まない問題になってしまうかもしれません。

あなたが友人にETHを送りたいとしましょう。

ハッシュの長い文字列を入力すると、アプリケーションはそのアドレスが存在するかどうか、または正しいかどうかを通知してくれず、誤送金を防ぐことができません。

しかし、MetaMaskなどで送り先にハッシュ文字列ではなくENSドメイン名を入力すると、そのアドレスが存在するかどうかが通知され、誰もその.ethドメインを保有していない場合は、エラーがスローされるようになっています。

これらの安全性の面から、ENSを使用するメリットは十分に大きいと考えられますね。

DNSとENSの違い

ここまでの流れで理解された方もいるでしょうが、ENSというのは、「Ethereumブロックチェーンの世界でのDNS」となることを目的としたサービスです。

インターネットの世界では、ドメインの売買が可能ですよね。

新しくドメインを買う際は「お名前.com」のようなサービスを使ったり、GoDaddyヤフオクで「ドメインのオークション」などもできます。

一方、Ethereumブロックチェーンの世界では、app.ens.domainsサイトから新しくドメインを発行したり、OpenSeaのようなNFTマーケットプレイスで売買することが可能です。

ちなみに余談ですが、ENSに取り込まれたDNS名に関しては、ENSプロトコルでの料金は一切かかりません。

この理由は、.ethドメイン名の手数料はスクワット防止のための仕組みであり、ENSにインポートされたDNS名はすでにDNS側で手数料が発生しているからだそうです。

ENSプロトコルは、Ethereum Foundationからスピンアウトした非営利団体であると最初に述べましたよね。

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そのため、収益を上げるためではなく、ユーザーが使いやすくなるために最適化されています。 めちゃくちゃイケてますね。

ENSのおもしろいところ

では、ENSについての理解が深まってきたところで、『ENSのおもしろポイント』について5つ深掘りしていきたいと思います。

”分散型の”ウェブサイトを構築可能

ENSは、分散型ファイルシステム「IPFS」とも統合しているサービスです。

そのため、IPFSにgithub経由でデプロイできる「fleek」のようなサービスを使えば、簡単に自分の静的なサイト(html, cssなど)を、.ethドメインに紐づけることが可能です。

2022年12月1日追記:
▼FleekがシリーズAで2,500万ドルの資金調達を完了し、話題になりました。
Polychain Capital leads web3 developer platform Fleek’s $25 million raise

詳細が気になる方は、ぜひこちら(↓)の記事をご覧になってみてください。

ENSは、Ethereumネットワークの上に構築されたものなので、当然その恩恵を受けることができることから、分散的かつ高いセキュリティ性をもっている(改ざん耐性が高い)と言えます。

そして、IPFSも同じく検閲体制が高く、分散的であるという特徴をもっています。
※全くハッキングが不可能というわけではありません。

従って、「ENS × IPFS」で作られたウェブサイトは、従来のウェブサイトと比較すると

  • ハッキングするのが難しい
  • 特定の組織や国などからシステムを消されづらい

という特徴をもつことから、「”分散型の”ウェブサイト」として構築することが可能だと考えられています。

統合するサービスが増えると利便性が増していく

Ethereumブロックチェーン上には、すでに膨大な数のプロトコルやサービスが構築されています。

そのため、Ethereumチェーン上での相互利用性が高く、ENSと統合するDappsやwalletなどが増えていくに連れて、どんどん利便性が増していく仕組みになっています。

例えば、DEXの「uniswap」もENS統合されているので、MetaMaskのようなブラウザウォレットで「uniswap.eth」と検索すれば、uniswapのサイトにリダイレクトされるようになっています。

ちなみにMetaMaskなどを利用していない場合でも、「eth.link」とお尻につけてあげればアクセス可能です。

なので、 https://uniswap.eth.link にアクセスすれば、uniswapのサイトにリダイレクトされるようになっています。

これの良いところは、例えばGoogle検索で「uniswap」で検索した際に偽物サイトに引っかかるリスクを軽減できることです。

正式なuniswapのサイトをブックマークしておく作戦もOK

これは

  • MetaMaskというwallet
  • uniswapというDapps(プロトコル)

が、どちらもENS統合しているからこそ起きる現象です。

つまり、ENS統合するサービスが増えれば増えるほど利便性が増していくというわけです。

そして、ENSのようなサービスを展開するために「独自につくられたブロックチェーン」で実現するのは極めて難しいことで、『Ethereumブロックチェーンだからこそ為せる技』とも言えるでしょう。

.ethドメインそれ自体がNFT

.ethドメインはそれ自体がERC721規格で書かれていて、つまりそれ自体がNFTなのです。

従ってインターネット上のDNSドメインとは異なり、ENSドメインに対して直接送金したり、着金することが可能

これは、Ethereumチェーン上にネイティブなETHという暗号資産が存在するからこそできることです。

また、最近ではLootのような「ボトムアップ型NFT」が流行していますが、ENSそれ自体もオンチェーンの文字である点で、似ている部分があるといえます。

むしろ、『原点がENSで、LootはENSの概念を元にしたボトムアップ型NFT』ともいえるのではないでしょうか。

ということは、今後ボトムアップ型NFTの概念が浸透していくと、(本来の用途とは違うかもしれませんが)「.ethドメインというNFTを使った遊び」を提供するサービスやプロジェクトも出てくるのではないかと思います。

例えば、

  • .ethドメインを使った『診断メーカー』的なもの
  • .ethドメインだけで小説(novel)を書く『novelLoot(仮)』

みたいな遊び方が妄想できます。

ドメインそれ自体がNFT』であるということから、それを拡張して新しい使い方や遊び方が模索されるようになってくると、ENSへの注目もさらに集まること間違いなしでしょう。

サブドメインを作成することも可能

サブドメインというのは、簡単にいうと独自ドメインを分割したものです。

.ethの独自ドメインが「○○.eth」だとすると、そのサブドメインは「××.○○.eth」のように表記されます。

わかりやすく「石田家」の家系図で表してみると、.ethの独自ドメインとサブドメインの関係は、上のイラストになります。

このサブドメインも、当然ながらそれぞれが個々別々のNFTなので、サブドメインに対して直接送金したり、着金することが可能です。

これを活用すると、例えば

  • 石田家のサブドメインを持っていれば石田家のDiscordコミュニティのプライベートチャンネルが見れる
  • 石田家が毎週出している『石田家のメルマガ日記』を購読できる

といった、「会員証としての使い方」もできますね。

既存のコレクタブルNFTが会員証としての機能を備えているように、ENSでも同じような使い方ができるということは、今後そのような事例は出てくるのではないかと、想像が膨らみますよね。

日本語の.ethドメインも取得可能

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見出しの通りですが、例えば「でりおてんちょー.eth」のようなドメインでも取得できます。

ENSで.ethドメインを取得するには、いくつかルールがあります。

例えば、

  • 3文字以上でないといけない
  • 更新料を支払わなければ期限が切れる

などです。

更新日付には小数点を入れて細かく設定することができ、最短では28日間から更新設定が可能です。

出典:GitHub

また、英語だけでなく日本語(ひらがな・漢字など)対応していたり、絵文字にも対応している点では、『ドメインとして以外の使い道』の意味で応用が効きそうですし、とても面白いなと思っています。


以上に挙げた以外にもENSにはおもしろい特徴があるのですが、長くなってきたので一旦ここで〆させていただきます。

これらの例からもわかるように、NFTというものが盛り上がっている現時点において、ENSはあまりに過小評価されているといっても過言ではないでしょう。

ENSの購入事例

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OpenSeaで高く売れた.ethドメインを見てみると、過去に高額で取引されたものはちらほら見当たります。

気になる方は、こちらからご覧になってみてください。

自己売買の可能性もあることには留意が必要ですが、とはいえ、バドワイザーのような大企業が購入したという事例が出ていることも事実です。

ということで、ENSの購入事例について2つだけピックアップして、簡易的に紹介していきます。

beer.eth

2021年8月に、老舗ビールブランドのバドワイザー(Budweiser)が、当時のレートで約1040万円(30ETH)で購入しました。

darkmarket.eth

2017年5月に、当時のレートで約7億円(28,555ETH)の価格で購入されました。

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今のレートに換算すると…野暮なのでやめておきましょう。

追記事項

ENSは日々アップデートが進んでおり、今回記載したものだけでなくさらに便利や仕様が追加されていっています。

継続的に、以下にその一部ツイートを添付して参ります。

ENSのアップデート

ENSトークンの発行/エアドロップ

まとめ

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本記事では、「ENS」について理解するためにまずインターネット世界「DNS」について解説し、それを踏まえてENSの仕組みや面白さ、購入事例などについて解説しました。

少し難しい部分もあったかと思いますが、ENSについてみなさんの理解が少しでも深まったのであれば幸いです。

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この記事を書いた人

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