オンチェーン音楽NFTって何?「Arpeggi Studio」の概要と技術的な仕組みを解説

どうも、イーサリアムnavi運営のでりおてんちょーです。

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今回は、NFTの新しい活用事例として注目されている「オンチェーン音楽NFT」について取り上げていきたいと思います。

画像や動画をNFT化する事例は国内でも目立ち始めていますが、最近は楽曲データをNFT化する事例も多く出てきています。

そして、今回取り上げる「Arpeggi Studio」は単なる音楽NFTではなく、楽曲/音楽プレーヤー両方のデータごとEthereumブロックチェーン上に格納されている、いわゆるオンチェーン音楽NFTとして注目され始めているプロジェクトなのです。

本記事では、「Arpeggi Studio」を中心にオンチェーン音楽NFTの概要や仕組みなどについて紐解いていき、皆さんにオンチェーン音楽NFTを理解していただくことを目的とします。

でははじめに、この記事の構成について説明します。

STEP
音楽NFT/オンチェーン音楽NFTの違い

一般的な音楽NFTと、今回取り上げるオンチェーン音楽NFTでは何が違うのかについて解説します。

STEP
オンチェーン音楽NFT「Arpeggi Studio」の概要

オンチェーン音楽NFTの代表事例として「Arpeggi Studio」を取り上げ、実際にサービスを触りながら概要を解説していきます。

STEP
全てを「オンチェーン」でやっていることを証明してみよう
  • どのようにして、楽曲/プレーヤーデータをオンチェーンに格納しているのか
  • それらのデータを使って、どうやってユーザーが音楽を聴くことができるのか

について、実際の手順を踏まえながら解説していきます。

本記事が、オンチェーン音楽NFTやArpeggi Studioについて理解したいと思われている方にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的または投資上のアドバイスとして解釈されることを意図したものではなく、また解釈されるべきではありません。ゆえに、特定のFT/NFTの購入を推奨するものではございませんので、あくまで勉強の一環としてご活用ください。

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目次

音楽NFT/オンチェーン音楽NFTの違い

音楽NFTとは

一般的な音楽NFTというのは、楽曲/音楽プレーヤー自体のデータが、直接Ethereumブロックチェーン上に格納されているわけではありません。

例えば、OpenSeaの共用コントラクト(「Create」機能)からつくられる音楽NFTも、その一例として挙げられます。

そのため、楽曲/音楽プレーヤーを保管するサーバー等が無くなったりすると、音楽NFTから音楽を聴くことはできなくなってしまいます。

この現象については以下の画像データの記事で詳しく解説しているので、仕組みが分からないという方はご参考ください。

オンチェーン音楽NFTとは

それに対してオンチェーン音楽NFTは、楽曲/音楽プレーヤー自体のデータが、直接Ethereumブロックチェーン上に格納されている音楽NFTを指す言葉として用いられることが多いです。

つまり、特定のサーバー/IPFS等に楽曲/音楽プレーヤー自体のデータが置かれているわけではなく、Ethereumブロックチェーン上に全てのデータを格納しています。

しかし、一体なぜそんなことができるのでしょうか。

Ethereumブロックチェーン上に格納できるデータ容量には制限があることは有名な話で、一説によると画像データの場合、500×500のjpegを直接コントラクトに保存するには、ガス代だけで約5000ドルかかると言われています。

それにもかかわらず、楽曲/音楽プレーヤー自体のデータをオンチェーンに格納するなど正気の沙汰とは思えませんよね。

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これに関しては『全てを「オンチェーン」でやっていることを証明してみよう』の項で、後ほど詳しく解説します。

とりあえず今の段階では、

  • 音楽NFT:楽曲/音楽プレーヤー自体のデータをオフチェーンで保持
  • オンチェーン音楽NFT:楽曲/音楽プレーヤー自体のデータをオンチェーンで保持

という違いがあるということを覚えておきましょう。

オンチェーン音楽NFT「Arpeggi Studio」の概要

ではここからは、オンチェーン音楽NFTプロジェクトの「Arpeggi Studio」について、概要から解説していきます。

Arpeggi Studioとは、ユーザーが自分の曲を作曲してEthereumブロックチェーンに直接mintすることができる、ブラウザ上のデジタルオーディオワークステーション(DAW)です。

デジタル・オーディオ・ワークステーション(Digital Audio Workstation、略称DAW)は、デジタルで音声の録音、編集、ミキシング、編曲など一連の作業が出来るように構成された一体型のシステムを指す。

Wikipedia

要は、ブラウザ上で誰でも簡単に音楽をつくることができるプラットフォームです。

楽曲をつくるだけなら誰でも簡単にできますが、NFTとしてmintするためには「Arpeggi Studio Pass」というNFTが必要になります。

音楽NFTとしてmintすると、「Arpeggi Studio Pass」は消費される仕様です。

OpenSeaでの2021年11月20日時点におけるfloor price(最低価格)は0.265ETH

「Arpeggi Studio Pass」は10/20のプレセールで発売されて完売しているため、2021年11月20日時点では二次流通でしか購入することができません。

ユーザーが自分で作曲した曲をオンチェーン音楽NFTとしてmintすると、不変のコピーがコントラクト内に保存され、その作成者が保有します。

そして、これらをサードパーティのストレージや中間管理者を利用せず実現していることも、大きな特徴です。

また、Arpeggi Studioの運営チームは「クリエイターはブロックチェーンのパワーに直接アクセスできるべきだ」という考えのもと、使いやすく、Ethereumブロックチェーンに完全に統合されたクリエイティブなプラットフォームを通じて、アーティストとNFTの世界のギャップを埋めることをミッションとして掲げています。

そのためArpeggi Studioは、誰でも非常に簡単に使用できるよう独自のソングジェネレーターを実装しており、初心者に優しい設計がなされています。

実際に触ってみよう

Arpeggi Studioのサイトから、上写真の画面にアクセスすることができます。

緑色の数字を割り当てている各ボタンの説明を、以下に簡単にしておきます。

  1. 再生/一時停止ボタン
  2. 停止ボタン
  3. 繰り返しボタン(一つのSong Overview番号を繰り返し続ける)
  4. 曲のテンポを調節する
  5. 音のキーを調節する
  6. ランダムに曲を生成するボタン
  7. 作成した曲を削除する
  8. .arp形式で楽曲データをローカルに保存する
  9. .arp形式の楽曲データをローカルから読み込む
  10. SNSなどで作成した楽曲をシェアする
  11. 作成した楽曲をmintする

「誰でも非常に簡単に楽曲を作成できる」というのは、6のランダム生成ボタンを押してみるとお分かりいただけるでしょう。

これ本当にランダムなの?!

というくらい、完成度が高すぎてテンションが上がります。ぜひ遊んでみてください。

楽曲をつくったり、ローカルに楽曲データを保存することは誰でもできるのですが、11の「Mint Song」ボタンに関しては先述の通り「Arpeggi Studio Pass」というNFTが必要になります。

全てを「オンチェーン」でやっていることを証明してみよう

Arpeggi Studio Genesisは、初のオンチェーン音楽制作プラットフォームです。

Arpeggiの楽曲を再現するためのすべてのデータと命令は、Ethereumブロックチェーン上に存在します。

どうやってそんなことを実現しているの?

結論から言うと、Arpeggi Studioでは楽曲・音楽プレーヤーのデータを「分割」することによって、必要な全てのデータをEthereumブロックチェーン上に格納することを可能としています。

ここからは、

  • データがどのように分割されているのか
  • ユーザーはどのようにして曲を再現するのか

について、実際の手順を踏まえながら解説していきます。


この続き: 1,817文字 / 画像14枚

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まとめ

本記事では、オンチェーン音楽NFT「Arpeggi Studio」の概要と技術的な仕組みについて解説しました。

本記事が、オンチェーン音楽NFTやArpeggi Studioについて理解したいと思われている方にとって、少しでもお役に立ったのであれば幸いです。

励みになりますので、参考になったという方はぜひTwitterでのシェア・コメントなどしていただけると嬉しいです。

少し前までは、音楽データ/音楽プレーヤーデータは容量が大きくEthereumブロックチェーンに載せることが難しいため、IPFSやサーバー上で管理せざるを得ないと考えられていました。

これは音楽に限ったことではなく、画像データでも同じことです。

しかし、Arpeggi Studioの『データを分割してEthereumブロックチェーン上に格納し、ユーザーは自ら個々のデータを取ってきてローカルで組み立てる』という方法により、サードパーティのストレージや中間管理者をトラストする必要がなくなりましたね。

今後、音楽NFTの活用事例としては実験的なものも含めたくさん出てくると思いますが、やはり最終的にはりパブリックでオンチェーン度の高いNFTが残っていくのではないかと、筆者は考えます。

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