Loot×Play-to-Earnを実現する野心的なLootverseプロジェクト「The Crypt」について解説

今回は、Lootから派生したNFTの一つである「The Crypt」というプロジェクトについて紹介・解説していきたいと思います。

本件はゲームプロジェクトなので、実際にプレイしなければイメージが掴みづらい箇所も多分にあるかと思いますが、なるべく分かりやすく全体像や将来像、Lootがどのように関わってくるのか等をイメージいただけるよう、意識して書き進めてまいります。

Lootエコシステムは非常に面白く世界的に盛り上がっている印象を受けるのですが、あまり日本語のものが見当たらないので、本メディアでは積極的に取り上げていきたいと考えています。

需要がある限りはプロジェクトを紹介し切るまで書き続けようと思います。
励みになりますので、参考になったという方はぜひTwitterでのシェア・コメントなどしていただけると嬉しいです。

でははじめに、この記事の構成について説明します。

STEP
「The Crypt」とは

まずは「The Crypt」がどのようなNFTプロジェクトなのか、概要などについて簡潔に紹介してまいります。

STEP
「The Crypt」をもっと詳しく調べてみよう

次に、The Cryptの詳細について、執筆時点で公開されている情報などを元に深掘りしてまいります。

本記事が、Lootの活用事例の一つである「The Crypt」の概要・注目ポイントなどについて理解したいと思われている方にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的または投資上のアドバイスとして解釈されることを意図したものではなく、また解釈されるべきではありません。ゆえに、特定のFT/NFTの購入を推奨するものではございませんので、あくまで勉強の一環としてご活用ください。

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目次

「The Crypt」とは

出典:thecrypt.game

概要

The Cryptは、英国法に基づいて設立されたPlaymint社によって展開されているオンチェーンゲームです。

最初はLootを元にしたダンジョン攻略のミニゲームから始まり、最終的には本格的なMMOCGへと発展していく予定です。

タイトル説明
第0章コミュニティイベント「Relic(遺物)コンテスト」「伝承コンペ」
第1章Lootダンジョン最初のリリースはLoot保有者だけが遊べる(Ethereumメインネット)
第2章mLootダンジョンmLoot保有者も遊べるようになる
第3章未定(Genesis Loot保有者も遊べる?StarkNetに移行?)
第…章
第n章3Dダンジョンブラウザで多人数参加型の3Dダンジョンをリリース予定
参考:Roadmap

執筆時点ではLootを元にしたダンジョン攻略のミニゲームがローンチされていますが、「Loot保有者だけ」が遊べるフェーズとなっています。

2022年3月11日追記:
mLoot保有者も遊べる第2章へ突入しました。

mLootはWebサイトが存在しないプロジェクトなので、EtherscanページからコントラクトのMint関数を叩いてMintする必要があります。
やり方は別記事にまとめているので、もし必要な方はご自身でよくお調べの上、自己判断・自己責任のもとで以下記事をご参考ください!
どうしてもやり方が分からなければ、OpenSeaに出品されているものを購入するのも一つの手でしょう。

どのようなゲームかを大まかに解説すると、Lootのバッグに含まれている8種類のアイテムを用いて、チームを組んでレイドをおこない、ボスを倒してRelic(遺物)というNFTを獲得するというものです。

レイドは、英語で「強襲」「急襲」を意味する”Raid”から生まれた用語。

「レイド」はオンラインゲームにおいて、多数のプレイヤーが協力し、少人数では到底倒せない強敵を攻略する事を指す。

出典:ゲームにおける「レイド」とは。今更聞けないレイドの意味や語源の紹介

上写真の例だと、8種類のアイテムは

  • Weapons(武器):Short Sword
  • ChestArmor(胸部装甲):Silk Robe of Rage
  • HeadArmor(ヘッドアーマー):”Plague Root” Crown of Skill
  • WaistArmor(腰の防具):Dragonskin Belt
  • FootArmor(フットアーマー):Wool Shoes
  • HandArmor(ハンドアーマー):Dragonskin Gloves
  • Necklaces(首飾り):Pendant
  • Rings(指輪):Gold Ring

になります。

これらのアイテムが、特定のダンジョンのレイドでどの程度の打点を与えるのかなどは相性などを元に算出するのですが、それについては後ほど詳しく解説していきます。

ここでは一旦、Lootのバッグに含まれている8種類のアイテムを用いて、Loot保有者同士でチームを組んでレイドをおこない、皆で強力してボスを倒してRelic(遺物)というNFTを獲得するという流れであることを抑えておきましょう。
また、無料(+gas代)で攻撃できるのは最後の攻撃から24時間経過してからで、それまでは0.01ETHなどのコストが必要になり、このあたりはソシャゲのスタミナに似た概念が導入されています。

ちなみにダンジョンで獲得できるRelic(遺物)NFTはOpenSeaでも取引可能です。

出典:OpenSea

遊び方・大まかな全体的な流れ

ここからは、Lootを保有している人がどのような流れでダンジョンに入ってプレイするかについて、簡単に紹介していきます。

まず、Lootの保有者はWebサイトから第1章のダンジョンに入場することができます。

出典:thecrypt.game/dungeon-select

「Select Dungeon」画面では、レイドするダンジョンを16個の中から1つ選択することができます。

ちなみに、それぞれのダンジョン名は「Dungeon of ○○」となっていますが、この○○にはLootのsuffixesの要素が入っています。

出典:Etherscan

いずれかのダンジョンをクリックすると、ダンジョンの

  1. Enemies(敵)
  2. Traps(罠)
  3. Boss Monsters(ボスモンスター)
  4. Artefacts(人工物)
  5. Passageways(通路)
  6. Rooms(部屋)
  7. Soulless(魂のないキャラクター)
  8. Demi Gods(半神)

といった、8つの障害物から獲得できるHP(ヒットポイント)を確認することができます。

ヒットポイント(hit points, 略称: HP)は、ゲーム内のプレイヤーキャラクターやノンプレイヤーキャラクターが攻撃として与えるダメージを数値化したデータである。

また、同じ基準で、キャラクターが耐えることができるダメージも表すことができる。

出典:Wikipedia

この獲得したHPをもとに、そのあと貰えるRelic(遺物)NFTが変わってくるので、事前に計算などおこなってプレイした方が良さそうですね。

HPの算出方法

下写真を例に考えてみます。

出典:Mechanics

左側が「Dungeon of Power」で出現する8つの障害物とそのHP、右側は自分が保有するLootの情報と与えるダメージ量になります。

まず、HPのスコアは、Lootのバッグ内にあるアイテムとダンジョンの相性で決まります。

上写真の例では、Red Dragon(レッドドラゴン)が倒されるまでの残りHPは2ですね。

しかし、Cap(帽子)はRed Dragonには0DMGで効かないので、与えるダメージは0になります。

一方、The Wonderous Twine of Pingは残りHPが2となっています。

画像で緑字で表示されているように、War Belt of PowerはThe Wonderous Twine of Pingに対して3点の打点をもっているので、残りの2点のHPを削り切ることができますね。

このように、チームで協力してダンジョンのHPを0にしていき、報酬として獲得したRelic(遺物)NFTをチームで山分けするといった流れになります。

ちなみに公式発表によると、初期のRelics(遺物)の方が価値が高いとされていますが、発行量が少ないからなのかレアリティが高いからなのか、価値が高いとされる具体的な理由はわかりませんでした。

執筆時点の段階では、獲得したRelics(遺物)NFTには具体的にどのような機能をもたせるのか議論中のようです。

  • トークンドロップ(プレセール)へのアクセス権
  • ゲーム内でのユーティリティ

などについて話し合っているそうで、それもあってなのか、執筆時点でのOpenSeaのフロアプライスもそれなりに高い水準をキープしていると考えられます。

執筆時点でのフロアプライスは0.44ETH

DIscordの機能

レイドはチーム戦なので、いずれかの場所で参加者同士でコミュニケーション、ならびにコンセンサスを取る必要があります。

執筆時点において、The Cryptではその役割をDiscordが担っており、一種の集会所のような機能を果たしているとも言えます。

また、Collab.Landなどのツールも使ってNFT認証システムなども設けるなど、Web3時代のDiscord運営をおこなっている点は言うまでもありません。

ちなみにThe Cryptでは、Discord含め参加者は「seeker(捜索者)」と呼ばれます。

welcome-seekers

他にも、運営がKeeper(番人)という役割になっていたりするのですが、ゲームの世界観をDiscordのroleなどにも上手く反映している点で、世界観づくりに長けておりさすがゲーム業界出身者が多い会社だなと感じました。

「The Crypt」をもっと詳しく調べてみよう

次に、The Cryptの詳細について、執筆時点で公開されている情報などを元に深掘りしてまいります。

チームメンバー

The Cryptは、これまでで最大かつ最も野心的なMMOCG(Massively Multiplayer On Chain Game)を制作するために、ゲーム分野のプロフェッショナルを多数集めたチームを組成しています。

出典:The Crypt: Chapter 1 Playthrough

また、他の多くのNFTプロジェクトとは異なる特徴として、チーム全員が実名かつ顔出しまでおこなっています。

以下、チームメンバーの役割およびプロフィール一覧です。

役割プロフィール
CEO(最高経営責任者)David Amor
LinkedIn
@damor_eth
CCO(最高コミュニケーション責任者)Dave Wilson
LinkedIn
CTO(最高技術責任者)Iain Gilfeather
LinkedIn
@5p0rt5BEArD
COO(最高執行責任者)Luke Gibson
LinkedIn
アートディレクターMatt Buchanan
LinkedIn
@Deadcertdesign
アナリティクス&トークノミクスLucy Hill
LinkedIn
Locket
制作責任者Mel Ward
LinkedIn
開発者(スマートコントラクト)Joe Best-Rotheray
LinkedIn
@codersblock
開発者(フルスタック)Chris Baker
LinkedIn
開発者(フルスタック)Chris Farmiloe
LinkedIn
開発者(フルスタック)Pete Hobson
ゲーム開発者Jack Burfield
ゲーム&Web開発者Jimmy Whitwell
リサーチ / コミュニティAlek Yumer
コミュニティ戦略Stephen Newnham
LinkedIn
出典:Team

会社の哲学は、小さなことでもコミュニティと協力しながら学び、構築し、進化し続けることだそうです。

ロードマップ

タイトル説明
第0章コミュニティイベント「Relic(遺物)コンテスト」「伝承コンペ」
第1章Lootダンジョン最初のリリースはLoot保有者だけが遊べる(Ethereumメインネット)
第2章mLootダンジョンmLoot保有者も遊べるようになる
第3章未定(Genesis Loot保有者も遊べる?StarkNetに移行?)
第…章
第n章3Dダンジョンブラウザで多人数参加型の3Dダンジョンをリリース予定
参考:Roadmap

執筆時点では第1章のフェーズですが、第0章ではコミュニティイベントがおこなわれていました。
(第0章は、執筆時点でも期限を延長して開催している様子です。)

第0章はコンテストやコンペといった形式のものだったのですが、やや話が脱線するのと長くなるのでここでは割愛します。

Roadmapを日本語訳したので、興味がある方は以下の▼タブからご参考ください。

1. Relic(遺物)コンテスト:あなたの想像をthe Cryptの伝承者に刻み込め

Lootをベースにしたプロジェクトとして、私たちはコミュニティの想像力とアイデアを大切にしており、あなたが永遠にthe Cryptの伝承の一部となる機会を作りました。 The Cryptのローンチに先立ち、Legendary Relic NFTの詳細を公開し、Relic(遺物)のバックストーリーを投稿していただく機会を設けました。

このバックストーリーの中で、あなたは以下のような言及をすることができます。
・その遺物はどこから来たのか?
・どのようにして「忘れられた地下王国」にたどり着いたのか?
・その伝説の力とは?
クリエイティブであればあるほど良いです。

ハッシュタグ「#thecryptgame」とあなたの作り話を添えて、告知ツイートに返信してバックストーリーを投稿してください(詳細は時期が近づいたらDiscordでご案内します)。 すべての投稿が終わると、私たちはお気に入りの候補を選び、Twitterコミュニティの投票によって勝者を決定します。 最終選考に残った方には「Fire Gem Relic」を、優勝者には「Rare Fire Crown Relic」を無料で差し上げます。

2. 伝承コンペ:”seeker(捜索者)の信条”の作成に参加せよ

keeper(番人)たちがこの古代の物語を語り継ぐライブイベントを開催しますので、足りない部分を補うために皆さんの協力が必要です。詳細はDiscordで告知されます。

参加された方全員に「Fire Gem Relic NFT」を無料でプレゼント!さらに、数名の方にはエンゲージメントに応じて「Rarer Fire Crown Relic NFTs」が当たります。

そして先述のとおり、現在の第1章ではLootを保有している人だけがプレイできる状態です。

ただ、第1章のダンジョンは開始から15分で制圧されて終了してしまったため、Loot保有者も現在はレイドで遊ぶことができない状態です。

ということで、割と近いうちに第2章が開幕され、mLoot(more Loot)保有者も含めプレイできる状態になると予想しています。

また、第3章以降では、Genesis Loot保有者が遊べるようになったり、StarkNetに移行するなど検討されているそうですが、執筆時点では未定です。

将来的には、ブラウザで多人数参加型の「3Dダンジョン」をリリースするという壮大な目標を掲げています。

Lootアイテムとダンジョンの相性表

アイテムごとのHPを計算する際には、いくつかの要素が考慮されるというのは先述のとおりです。

ダンジョンのtraits(特性)はLootのtraitsと全く同じように構成されており、全てのLootアイテムには対になるダンジョン障害物が存在します。(例:EnemiesはWeaponsと連動している)

全部で18種類のWeaponsと18種類のEnemiesが存在しますが、例として下図のように、WarhammerはOrcsと、QuarterstaffはGiant Spidersと対になっています。

つまり、特定の敵に打点を与えるためには、プレーヤーは特定の種類のWeapon(武器)を持っている必要があります。

出典:Lootとダンジョンの相性表

さらに、Lootアイテムには

  • Warrior(戦士)
  • Hunter(狩人)
  • Mage(魔導師)

の3種のクラスとランクがあるのですが、ダンジョンの障害物にもそれぞれクラスとランクが設定されています。

出典:Lootとダンジョンの相性表

元のLootのtraits(特性)と、The Cryptが新たにつくりだしたtraitsである「障害物」とでタイプ相性表を作成し、MMOCGの中に組み込んだというのは、コンポーザビリティを感じる趣深い事例かなと思います。

HPの得点表

HPの得点表は以下なので、実際にプレイできる方は参考にしてみてください。

ヒットポイント条件説明ヒットポイント
完全一致ペアとなったLootアイテムは、指定されたダンジョンの障害物に対して使用されます。
(例:QuarterstaffはGiant Spidersに対して使用されます)
1
クラスが一致していてランクが高いLootアイテムはダンジョン障害物より高いランクで、同じクラスのものです。
(例:Giant Spidersに対して使用するWarhammerやQuarterstaff)
1
Order(勲章)が一致Lootアイテムが、入門したダンジョンと一致したOrder(勲章)を持っている。
(例:「Dungeon of Reflection」で使用されたWarhammer of Reflection)
2
Order(勲章)+1が一致Lootアイテムが、入門したダンジョンと一致したOrder(勲章)と+1を持っている。
(例:「Dungeon of Reflection」で使用されたWarhammer of Reflection+1)
1
出典:Mechanics

Lootは、これらのHPの条件をいくつでも満たすことができ、個々のLootアイテムのHPスコアは、これらを合計することで算出されます。

出典:Mechanics

なお、Rings(指輪)やNecklaces(ネックレス)にはクラスがないので、これらのアイテムは「完全一致」「Order(勲章)が一致」「Order(勲章)+1が一致」の場合のみHPを獲得することができます。

まとめ

本記事では、「The Crypt」の概要や面白い点、また筆者の見解も踏まえたポイントなどについて解説しました。

本記事が、Lootの活用事例の一つである「The Crypt」の概要・ポイントなどについて理解したいと思われている方にとって、少しでもお役に立ったのであれば幸いです。

本メディアでは、The Cryptだけでなく、他にもLootのNFTから派生したNFTについて引き続きたくさん紹介・解説していきたいと考えておりますので、Loot周りの情報をキャッチアップしたいという方はぜひ今後ともご活用いただけますと幸いです。

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