今回は、NounsDAOで賛成票多数で可決されたProposal(提案)について気になったものがあったので、紹介・解説していきたいと思います。
NounsDAOのProposalについては、上の記事で詳しく解説しているのでそちらをご参照いただきたいのですが、簡易的にポイントだけ整理すると以下のような仕組みで機能しています。
つまり、提案や議論自体はNounsNFTを保有していなくても誰でもおこなえるようになっています。
具体的な流れは、NounsのDiscordやDiscourseというプラットフォームで皆が提案・議論をおこない、それに対してNounsホルダーが一人でもProposalとして正式に投票の場(オンチェーン)に挙げると、Nounsホルダーによる投票がおこなわれます。
可決されればNounsDAOのトレジャリー(公庫)から資金が提供されるので、NounsのNFTを保有していない人でも提案や議論をおこなうインセンティブがはたらくようになっています。
そんなNounsDAOのProposalで、先日Proposal 41『Nouns 3D-printed fashion collection』のアップデート報告ならびに追加資金調達案が可決されていたので、今回はそちらについて紹介・解説していきたいと思います。
でははじめに、この記事の構成について説明します。
まずは、2021年12月に可決されていたProposal 26(Nouns 3D-printed fashion collection by DANIT)、2022年3月に可決されたProposal 41(Nouns 3D-printed fashion collection by DANIT: milestones 3+4)をもとに、『Nouns×ファッション』プロジェクト案として可決された「Nouns 3D-printed fashion collection」の概要や進捗状況などについて解説してまいります。
次に、本プロジェクトの提案者・執行者であるDanit Pelegさんについて、過去の実績や現在取り組まれている内容をもとに解説してまいります。
最後に、「Nouns 3D-printed fashion collection」の注目ポイントや今後の可能性などについて、筆者の私見を交えながら解説してまいります。
本記事が、NounsDAOで可決された「Nouns 3D-printed fashion collection」の概要や注目ポイント、また『NFT×ファッション』事例などについて理解したいと思われている方にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的または投資上のアドバイスとして解釈されることを意図したものではなく、また解釈されるべきではありません。ゆえに、特定のFT/NFTの購入を推奨するものではございませんので、あくまで勉強の一環としてご活用ください。
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「Nouns 3D-printed fashion collection」とは
概要
本プロジェクトは、Nouns にインスパイアされたファッションコレクションをデザインし、それを3Dプリントするという試みです。
3Dプリンターによって作成されたNounsのパーツを組み合わせて一つの衣服を形づくるという、非常に興味深いファッションプロジェクトです。
上写真は、3Dプリンターで出力したNounsサンプルと衣装の一例のスケッチです。
このように、3DプリントされたNounsのキャラクターをたくさん連結させて、衣服を作ろうとしていることが見て取れます。
生地は、上のgif画像のように伸縮性のある素材が使用されるそうです。
このような素材を選んでいる理由としては、
- 使用した素材が肌に当たって着用者が怪我をする
- 激しい動きをすると衣服が壊れてしまう
など、既存の3Dプリントファッションにおける課題を解決するためだと考えられます。
進捗状況
Having a lot of fun working on 3D printed textiles for my @nounsdao fashion collection! pic.twitter.com/ant1M349OG
— Danit Peleg ⌐◨-◨ (@danitpeleg3d) January 25, 2022
執筆時点における、「Nouns 3D-printed fashion collection」プロジェクトのロードマップと進捗状況は以下になります。
リサーチdoneインスピレーションボード、素材リサーチ、プリントサンプルdone
デザインdoneスケッチdone
- モデリング
- スケッチを3Dプリント可能なファイルに3Dモデリング(zeeraffe氏との連携)
- zeeraffe氏:Turn a Nounを制作した3Dモデラー兼デベロッパー
- プリントテスト
- さまざまなタイプのプリンター、構成、素材などをテストする
- プリントの最終段階
- コレクション全体をプリントする
- 組み立てる
- さまざまな技術(接着、結び目など)を使って、コレクションを一緒に組み立てる
- 写真撮影(実在のモデルとの撮影)
- プレス資料、ウェブサイト、ARフィルター用など
- ランウェイショー
- nft.nycやファッションウィークなどのイベントでショーに招待される
- マーケティング
- プレスキットの準備、コレクションのPR、イベントへの予約、ギャラリーや美術館への紹介など
3Dのファッションコレクションを作成するために、これだけ多くの過程が必要であることを知らなかったので、非常に労力と時間のかかる制作活動なのだなと思い知りました。
提案者であるDanit Pelegさんについて
本プロジェクトの提案者であるDanit Pelegさんは、3Dプリントファッションのパイオニアです。
彼女の過去の作品は、
- 世界中のトップクラスの伝統的メディア(NYT, WSJ, Bloomberg, BBC, The Guardian, Forbes, Vogue, ELLE, etc 1)
- 無数のイベント(パラリンピックのリオ開会式やメルセデスベンツのファッションウィークなど)
- 美術館
- ドキュメンタリー
- 新聞
- 本
などで紹介されており、また上動画のようにTEDでの登壇経験もあるなど、とても傑出したお方です。
彼女はNFTの存在を知ったとき、NFTが物理的にもデジタル的にも「ファッション」というものに与える潜在的な影響について、とても可能性を感じていました。
NFTを知ってからしばらくの間は、自分の作品をmintする実験をしたり、様々な種類のNFTを購入したり、素晴らしいアーティスト(主に女性のアーティスト)との絆を深めていたとのこと。
彼女は、Nounsが『創造性と技術力の限界を押し広げ、最も革新的なファッションコレクションを実現する手助けをしてくれる存在』だと考えていたようです。
また、本プロジェクトは
- クリプトカルチャー
- 3Dプリント
- デジタルファッション
- AR
など、現代で最も魅力的なトピックに触れています。
本プロジェクトの注目ポイント/今後の可能性
まず、『Nouns×革新的な技術×ファッション』という切り口は、多くの人を魅了すると予想しています。
そもそも3Dプリントは、ファッションの分野で新しい可能性を開く存在であるとも注目されているため、ファッション文脈で興味をもつ人に対してリーチしやすいでしょう。
広告・フィジカルアイテムなどに力を入れているNounsコミュニティとしては、本プロジェクトはNounsブランドを未知の領域(今回はファッション)へと押し広げるものでありビジョンに則していると考えたのでしょう。
また、コレクタブルNFT全体の話として、最近ではストーリー・ビジョン・思想などの要素が一層求められる傾向にありますが、実はファッションにおいても同じ要素が求められているものだと筆者は考えています。
誰がどういった思いでつくったものなのか、その服がどのような意味づけをされているのか、どんな思想をもったブランドなのかなど、これらの要素は現実世界の服を選ぶ際にも重要な価値基準になっているはずです。
そういった文脈からでも、NounsというNFTコレクションは
- 革新的
- 斬新
- 正当(細部にまでWeb3.0魂が宿る、隙のなさ)
などのワードを想起させるものであると筆者は感じていますが、これは非常に3Dファッションとの相性が良さそうであり、高いポテンシャルと可能性を秘めていると考えています。
さらにこれらの要素に加えて、Danit Pelegさん自身の知名度の高さ・過去の実績なども考慮すると、本プロジェクトはNFT業界・ファッション業界の両方に対して一石を投じるものになるのではないかと、とても注目しています。
また、『NFT×ファッション』をデジタル上で実現するフェーズは、今後乱立するであろうメタバース空間におけるファッションNFTの規格統一化など、さまざまな課題を乗り越えたあとで本格化すると筆者は考えています。
そのため短期〜中期で主流となるのは、本プロジェクトのように現実世界のファッションアイテムにしたり、ARと組み合わせて活用するなどの方向性であると予想しています。
そして、各メタバース同士がインターオペラビリティ(相互運用性)を兼ね備えたいわゆるマルチバースの世界が実現されたとき、『NFT×ファッション』はさらに大きな注目を集めることになるはずです。
ちなみに本プロジェクトは、現実世界のファッションアイテム・ARなどの取り組みはもちろんのこと、3月24日頃から始まるDecentralandのMVFW(メタバースファッションウィーク)への参加も表明しています。
こういった場で露出を増やし、「メタバース」文脈からメディアに取り上げてもらうことで、本プロジェクトならびにNounsの注目度はますます高まるでしょう。
本プロジェクトに関しては、『DAOから資金調達をおこなって作成された世界初(?)の3Dファッションコレクション』として注目を集めるでしょうし、そこに用いられているNounsに関しては、Web3.0文脈における革新性・正当性などを備えたブランドであるため、両プロジェクトに大きな相互作用をもたらすと容易に想像できます。
これらをもって、本プロジェクトにおける鍵となる要素は以下であると考えています。
- ロードマップが最後まで遂行されること
- メディアに取り上げられて多くの人の目に当たる段階までもっていくこと
まとめ
本記事では、NounsDAOで可決された「Nouns 3D-printed fashion collection」の概要や注目ポイントなどについて解説しました。
本記事が、「Nouns 3D-printed fashion collection」の概要や注目ポイント、また『NFT×ファッション』事例などについて知りたい方にとって、少しでもお役に立ったのであれば幸いです。
また励みになりますので、参考になったという方はぜひTwitterでのシェア・コメントなどしていただけると嬉しいです。
「Nouns 3D-printed fashion collection」はまだ始まったばかりのプロジェクトであり、進捗に関しても執筆時点で2/9の段階です。
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