今回は、創設者が姿を消した後もコミュニティドリブンで運営が続けられているCC0 NFTプロジェクト「mfers」について紹介・解説していきたいと思います。
mfersは、CC0ライセンスを採用している点でも興味深い事例なのですが、以下の点でも注目に値するのではないかと考えています。
- 現在は創設者が姿を消し、全ての権限をコミュニティに委ねていること
- コミュニティドリブンな運営が現在でも継続されていること
現在は姿を消してしまった創設者のSartoshi氏は、初期の段階からmfers発展のために何かを作成・運営したりする「トップダウン式」ではなく、コミュニティによる「ボトムアップなエコシステム発展」を期待していたように見受けられます。
そして、そのための環境整備が整ったと感じた段階で自分の役目は終わったと判断し、姿を消したのではないかと筆者は推測していますが、ここまでの過程には『中心化 => 分散化』までに必要なエッセンスが多分に含まれていると考えています。
でははじめに、この記事の構成について説明します。
まずは、mfersというNFTプロジェクトの概要について、簡潔にご紹介いたします。
続いて、mfersの創設者が姿を消す前と後の出来事とその背景などについて、解説してまいります。
最後に、mfersというNFTコレクションから注目に値するポイントをいくつかピックアップして、筆者の私見を交えながら解説してまいります。
本記事が、「mfers」の概要や注目ポイント、ボトムアップならびにCC0 NFTプロジェクトとしての成功要因などについて理解したいと思われている方にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的または投資上のアドバイスとして解釈されることを意図したものではなく、また解釈されるべきではありません。ゆえに、特定のFT/NFTの購入を推奨するものではございませんので、あくまで勉強の一環としてご活用ください。
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mfersとは
概要
mfersは、総発行数量が10,021個のNFTコレクションであり、パブリックドメイン(≒CC0)を採用しているコレクタブルNFTです。
創設者のSartoshi氏は、Bitcoinを生み出したと言われているサトシナカモトから取ってきたような名前ですが、これは「Satoshi」と、NFTアートの文脈から「デジタルアート(art)」の2つを用いて、組み合わせたものだと言われています。
i needed a name… we all know about satoshi & digital currency…but this was about a foray into digital art…suddenly ‘sartoshi’ was born.
出典:what are mfers
Sartoshi氏は、2021年3月にNFTスペースに参入し、そこから2021年夏の「jpg summer」でCryptoPunksを売買するなどしていた、いわゆるNFTスペースにおける古参の方です。
また、その間に彼はTwitterでたわいもないジョークやmemeのイラスト、時には漫画を書いて公開することもありました。
彼の作品は過去にバズるようなものも何度かあったらしく、その度にフォロワーから「NFTとしてmintするべきだ」と言われていたそうです。
その後、mfersというNFTコレクションをローンチすることになり、NFTプロジェクトとして誕生しました。
また、mfers NFTのmintは、こちらのwebサイトを通して1体あたり0.069ETHでおこなわれました。
なおスマートコントラクトの開発は、Doodlesの開発も担いweb3開発パートナーとして有名なWestCoastNFT(WCNFT)がおこないました。
以上のように、mfersというNFTプロジェクトはいわゆる「典型的」なものに見えるかもしれませんが、一つだけ特筆している部分を挙げると『創設者が姿を消した後もコミュニティドリブンな運営が継続されている』ところにあるのではないかと、筆者は捉えています。
次項では、この部分についてピックアップして紹介・解説していきたいと思います。
創設者と現在の運営|「mfersの創設者が姿を消した」とは
続いて、mfersの創設者が姿を消す前と後の出来事とその背景などについて、解説してまいります。
mfersの創設者であるSartoshi氏の失踪とその詳細
Gm #mfers
— officially unofficial mfers (@unofficialmfers) June 9, 2022
By now you’ve probably heard the news: our little organization was airdropped a big surprise responsibility today. This was a surprise to us as much as it was a surprise to you.
Please bear with us as we take a moment to organize our first steps into the new era!
2022年6月、mfersの創設者である「Sartoshi氏」がプロジェクトの管理をコミュニティに移し、その後姿を消したことで話題となりました。
彼は最後に、自身の運営するブログで以下の3つのことを言い残しています。
- mfersのコントラクトは、最大のロイヤルティシェアと同様にコミュニティに渡る
- 6個のmferギブアウェイは、まだ有効(進行中の企画の話)
- 最後のアートワークとSartoshiの終わりについて
①については、スマートコントラクトの保有権 (およびそれに付随するすべての権限) が、非公式のmfers マルチシグウォレット [unofficialmfers.eth] に譲渡されるという話です。
Gm #mfers
— officially unofficial mfers (@unofficialmfers) June 9, 2022
The treasury signers had a constructive meeting regarding next steps and agreed upon setting up an advisory group of experienced community members – we can’t do it alone! As we enter the next era together, we want to ensure mfers are ready to grow.
Let’s build!
ちなみにmfersのトレジャリー資金は、上記のOG(初期)メンバーによってGnosis Safeの非公式マルチシグウォレットで管理されています。
OpenSeaの二次流通売買時のロイヤリティの一部がこのマルチシグウォレットに送られ、コミュニティ管轄のトレジャリー資金として使用されていくのだと思われます。
また、概要の章で述べた通り、Sartoshi氏はTwitterでたわいもないジョークやmemeのイラスト、時には漫画を書いて公開していました。
その時の作品はクラシックスタイルになりますが、最後に彼はそれを保有したいという人々のために、NFT作品「end of sartoshi」としてローンチしています。
そしてSartoshi氏は、このNFTコレクションのmint期間中に姿を消しました。
現在はSartoshi氏の哲学をもとにコミュニティドリブンな運営がなされている
mfersの創設者であるSartoshi氏は「what are mfers」という記事内で、NFTコレクションの方向性を位置付ける哲学について述べています。
それによると、基本的にはSartoshi氏がmfers発展のために何かを作成・運営したりする「トップダウン式」ではなく、コミュニティによる「ボトムアップなエコシステム発展」を期待していることが見て取れます。
これに関しては後述しますが、現時点で稼働しているmfersのwebサイト・Twitterアカウント・Discordなどは全て「unofficial」という文言が含まれており、コミュニティ内の一部OGメンバーが発足・運営しているものになります。
mfersの注目ポイントを一部ピックアップ
最後に、mfersというNFTコレクションから注目に値するポイントをいくつかピックアップして、筆者の私見を交えながら解説してまいります。
コミュニティドリブン/ボトムアップな運営
コミュニティドリブンにボトムアップNFTプロジェクトとして持続的にエコシステムを発展させていくためには、いわゆる典型的なNFTプロジェクトのスタイルでは難しいと筆者は考えています。
この続き: 2,444文字 / 画像6枚
まとめ
今回は、「mfersの概況」と題し、創設者が姿を消した後も受け継がれる哲学・そしてコミュニティドリブンな運営までの道のりについて紹介・解説しました。
本記事が、mfersの概要や注目ポイント、ボトムアップならびにCC0 NFTプロジェクトとしての成功要因などについて理解したいと思われている方にとって、少しでもお役に立ったのであれば幸いです。
また励みになりますので、参考になったという方はぜひTwitterでのシェア・コメントなどしていただけると嬉しいです。
🆕記事をアップしました🆕
— イーサリアムnavi (@ethereumnavi) August 27, 2022
今回は、CC0 NFTプロジェクト「mfers」について書きました✍️
創設者が姿を消した後もコミュニティドリブンで運営が続けられているNFTプロジェクト😎
その背景や注目ポイントなどを中心に、深掘りして紹介・解説しています。@unofficialmfers https://t.co/xEZzMN9O5g
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