どうも、イーサリアムnavi運営のでりおてんちょーです。
今回は、先日のYouTube Live配信「今さら聞けないCC0 NFTについて徹底解説します!」について文字起こしをおこない、記事コンテンツとしてまとめていきたいと思います。
本記事は『後編パート』となります。『前編パート』に関しては以前別の記事でまとめているので、まだご覧になっていないという方はこちらを先に一読されることを推奨いたします。

動画よりもテキストの方がお好みだという方は、ぜひこの機会にご参考ください。
記事の文量の都合上、一部雑談パートならびに配信中に視聴者の方からお寄せいただいた質問・回答の場面は割愛しております。また、細かなニュアンスの部分は文字に起こす際に多少の変更を加えており、文章として見やすくなるように修正を加えておりますこと予めご了承ください。以上を踏まえて動画の方がお好みだという方は、以下のリンクからご覧ください。
では、この記事の構成について説明します。
まずは、前編で述べた『NFTをCC0ライセンスにするのは何故?』を踏まえて、どのようなNFTプロジェクトがCC0化に向いているのかについて、私見を交えて解説してまいります。
次に、NFTにCC0ライセンスを採用することのデメリットについて解説いたします。
最後に、『CC0 NFTのデメリット』項で述べた課題を解決するための一案として、「NounsDAO」のモデルと施策などについて私見を交えて解説してまいります。
本記事が、CC0 NFTが内包する特徴やデメリット、CC0 NFTのデメリットを解決するための一案とその実例などについて理解したいと思われている方にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的または投資上のアドバイスとして解釈されることを意図したものではなく、また解釈されるべきではありません。ゆえに、特定のFT/NFTの購入を推奨するものではございませんので、あくまで勉強の一環としてご活用ください。

Alpha Navigatorは、超アーリーなクリプトプロジェクトに特化して探知し、webサイト, discord, twitterで情報発信を行っています。
CC0 NFTに向いているプロジェクトの特徴


では前回までの内容を踏まえて、どんなNFTプロジェクトにすればCC0ライセンスが活かせるのか、またそもそもどういったNFTプロジェクトがCC0を採用することに向いているのか、これらのテーマについて私がいろんなCC0 NFTプロジェクトを見てきた上で感じた特徴について、いくつかピックアップしてご紹介したいと思います。





まずは、『Low-Fidelity(低忠実度)・低解像度なイラスト』は結構向いていますと。
あとは、『ビジョンや世界観が明確』ですとか、『特徴的なパーツがある』といったNFTプロジェクトです。
この3つが、大まかなCC0 NFTに向いている特徴かなと思っているので、順番に解説していきたいと思います。



これは僕も参考になるなぁ。
Low-Fidelity(低忠実度)・低解像度なイラスト





「低忠実度」という言葉がよく分からないので、そのまま英語で「Low-Fidelity」と書いているのですが、要はドットが大きいドット絵とか、Lootみたいに文字しかないとか、完成されていない状態と言いますか『まだこれ良くできる』ような状態のものというのは、それを使って遊びたいとか広げていきたいみたいに思わせることができるので、結構CC0が向いていますと。





最初からNFT作品がハイクオリティで出来上がっていたとしたら、二次創作しづらいんですよね、もう完成されてしまっているから。(もちろんそれでもする人は一定数出てくるとは思いますが。)
それよりは元々ドット絵で、例えば資料に挙げているChain Runnersとかはドット絵のイラストですけど、これを派生プロジェクトではリッチにしましたとか。
同じくCrypToadzというドット絵のNFTを、二次創作NFTでは3Dでリッチにしましたとか。
これは遊びがいがありますよね。クリエイターさんからしても腕が鳴ると思いますし。



Lootは究極ですよね。もう文字だけ。笑





もうLootなんて文字しかないんだから、なんだってできますよね。笑
上資料右側のイラストは、下がHyperLootである程度リッチな感じになっているんですけど、逆に上側のLoot Characterはドット絵になっているんですよね。
さらにLoot Characterからさらにリッチにさせた派生プロジェクトとかも出てきたりするので、こんな感じでどんどん広がっていくというのがCC0 NFTの醍醐味かなと思いますね。
なので、Low-Fidelity(低忠実度)・低解像度なイラストの方が、CC0採用に向いているかなと個人的には思っています。



そうですね。
なんか今後登場しても良いなと思うのは、小説をCC0 NFTにしてあらかじめ物語だけ設定しておいて、そのアニメとか漫画とかは二次創作にお任せしますみたいなものもあっても良いかなと思ったりしますね。
例えば、浦島太郎とか白雪姫みたいに最初は文字列の物語だったものがあって、そこから想像を膨らませて白雪姫というディズニーの映画ができたりしているわけですよね。
なので、このLootスタイルの「文字NFT×CC0」というのがもう少し広がっていっても良いかなと、個人的には思っていますね。



面白いですね、それ!



あ、良いアイデア言っちゃいましたか。笑



いや、これちょっと誰かやるんじゃないですか。笑
ちなみに僕はLootめちゃくちゃ好きなスタンスなんですけど、これが文字のNFTの完成形だとはまだちょっと思っていないところもあって、もう少し良くできそうな気がしているんですよね。
その点で、小説というのは一つの解かもしれないですね。



ただ、文字列のCC0 NFTにすると、成功させるハードルが少し上がるというのはトレードオフであると思っています。
例えば僕がただの文字列のNFTを出しても、ここまでLootみたいに広がりは絶対しなかったはずで、Domがやったというのが一つ大きなポイントでもありますよね。



それはありますね。
(文脈的な意味で)誰がやるかっていうのも、大事な要素だったりもするのかもしれませんね。
Domさんクラスになると、crypto界隈の人のフォロワー数も多いので、「初期から面白いと思ってくれる人が多い状態」をつくれるんですよね。Nounsもそうだと思うんですけど。



そうですね、結構オンチェーンでの出来事だけじゃなくて、チェーンの外で起きている出来事の方が注目しないといけないという部分があったりしますよね。
僕は最近、ブロックチェーンは「チェーンの外で起きていることが大事」と思っています。
Ethereumチェーンで出来ることにも限りがあって、それこそDeFiだったらコンポーザビリティとかって、チェーン上で起きている話じゃないですか?
DeFiだと決済処理とか、金融商品を取り扱うのも全部Ethereumチェーン上で起きているんですけど、NFTに関しては、『絵を描いてそれを保存する』みたいなことってEthereumチェーン上でやるのはなかなか難しくて、要はexecution(実行)レイヤーをオフにするしかないんですよね。NFTアートの世界って。



ふむふむ。



DeFiだったらexecutionをチェーン上でできるんですけどね。
NFTの場合、例えば二次創作をして、それをEthereumチェーン上に全部保存して、どれが何の二次創作かどうかを記録するかとか考え出すと、execution(実行)レイヤーをオフにしないといけないんですよね。
だからこそ、NFTでは特にオフの出来事(チェーンの外で起きている出来事)に注目するというのは、結構大事な気がしていますね。



なるほど。
「オフの出来事に着目する」というのは、例えばどういったことが挙げられるでしょうか?



例えばさっきの話の流れだと、DomのTwitterのフォロワー数が何人いるかとか、あとは誰と誰が知り合いで仲良いかとか、あとはコミュニティの文脈ではそのプロジェクトのことを好きな人がどれくらい居て、その中でどういったアクティブな活動が起きているのかとか、discordで起きている出来事とか、そういうことが凄く大事だったりすると思いますね、NFTに関しては。



改めてそうですよね。事件はオフラインで起こっていると。



事件はオフラインで起こって、チェーン上でFinalizeされるというか。



はいはいはいはい。
そこ(チェーン上)にはもう『結果』しかないんですよね?



そうそうそうそう。



NFTに関しては、なんでそのトランザクションが出てきたのかっていうのはやっぱりオフにあるから、そっちが本質ですよと。



そうですね。



めちゃくちゃ分かりますね、それ。
改めて言われるとハッとさせられるような、本質情報でしたよ皆さん。
ビジョンや世界観が明確





「ビジョンや世界観が明確なNFT」は、拡張しやすいんですよね。
例えば、拡張したいNFTがあって、それをCC0にしますと。
でも実はそれだけでは全然拡張されづらくて、何故みんながそれを使って拡張したいと思うかを考える必要があります。
先ほど申し上げたように、低忠実度・低解像度なものだと遊び要素があったりするんですけれども、もう一つビジョンや世界観が明確にあると、分かりやすいんですよね。





Lootの話ばかりで申し訳ないのですが、Lootってゲームのアイテム(戦利品)が8つ入っている鞄(かばん)のようなものなんですよ。
それを知った上でこのNFTを見てみると、「ゲームを作るためのNFTなのかな?」というビジョンが朧げながら浮かんできますよね。
これに加えて世界観もあったりすると拡張しやすいので、これはCC0 NFTに向いていますと。





で、先ほどの資料に話を戻します。
資料左側に挙げている写真は、Realms(レルムズ)という「Lootのtraits(特徴)の一部を地図に派生させたもの」です。
さらにこのRealmsを派生させて、資料右側のようなリッチなメタバースみたいなものが今出来上がりつつありますと。





この現象は、原点であるLootのtraitsの一部を使って、それがどういう意味を持つのかという意味付け・再解釈をおこなうことで、Realmsをさらに発展させやすくしているというものです。
コミュニティに対してビジョンや世界観を共有できて、派生速度を上げやすい状態をつくることができるので、これはCC0に向いているNFTだと言えますね。



ちなみに、Realmsのコミュニティはめちゃくちゃ大きくて、StarkNet上で最大のコミュニティになっていますね。



あ、もうそっちで最大なんですか!
へ〜、大きくくなったなぁ〜。笑(だれやねん)



開発者の方がたくさん在籍しているんですよ。
StarkNetの「Cairo」 ってハードルが高いと言われている開発言語なんですけど、そのCairoを書ける人たちがRealmsコミュニティに集まっていて、色々やっているとか。
Phiも元々StarkNetで開発しようと思っていたんですけど、その時に「Cairo使った良いライブラリどこにある?」って聞いたら、大体Realmsをさんを紹介されるという。



へ〜、そうなんだ〜!
それこそさっき言った「オフの情報が大事」ですね。
そんな情報、ここで聞かなかったら知らなかったですから。笑



あはは、そうですそうです。笑
特徴的なパーツがある





最後は、「特徴的なパーツがある」です。
みなさんご存知だと思いますが、Nounsの場合はサングラスを使えば「これはNounの派生作品だな」って分かるじゃないですか。
Blitmapの場合はLogo/Teddy/Rose、…などをNFT作品の一部分に使えば、「あー、これはBlitmapの派生作品だな」というのが、誰の目から見ても分かりますと。
こういう風に、特徴的なパーツを持っていると派生プロジェクトが生まれやすかったりしますし、ヒントを与えているみたいな感じになるんですよね。



ふむふむ。



例えば、特徴的なパーツがないCC0 NFTプロジェクトを派生させてくださいって言われても、何をどう派生させたら良いんだろうとか、どうやったら元プロジェクトからの派生作品だと分かってもらえるんだろうとか、お題として難しくなってしまうんですよ。
なので、こういう風にパッと見で特徴的なパーツがあると、派生する側にヒントが与えられてクリエイトしやすくなるという状況をつくることができるので、特徴的なパーツがあるとCC0 NFTとしては向いていますね。





あと、HyperLootでは特徴的なパーツというよりは、パーツを部分ごとに分けてあげてユーザーに提供しているんですよ。
こうしてあげることで、HyperLootの一部分だけ使って派生させたりすることができるようになるんですけど、要は環境整備をしっかりしているわけですよ。





「うちの素材を使って派生させてほしい」と言うだけではダメで、ちゃんと細かいパーツごとに提供してあげるとか、そういった環境整備も大事です。
こういうことができるのであれば、CC0 NFTに向いているかなと思います。



ちょうど今の流れで質問がきているのですが、『派生側で上手くいく(いった)ケースの特徴ってあるのでしょうか?』と。



まあ「Lil Nouns」ですよね。真っ先に思い浮かぶのは。





あとHyperLoot, Realmsとかは、比較的上手くいっているのかなと思いますけど。



ちょっとまだ「派生側で上手くいったNFTプロジェクト」の母数が少ないので、特徴と言えるまでにはまだ言語化できないところはあるんですけど…(考え込む)



NFTじゃないですけど、ディズニーとかそうですよね。
CC0(パブリックドメイン)の物語を映画化して成功しているケースとしては。笑



なるほどなるほど。笑



でも将来的に出てくると思うんですよね、BlitmapとかNounsを使って、めっちゃ成功する会社とかって。



そうですね、ただその特徴が何かって言われると難しいな…
例えば、僕は結構CC0 NFTの派生先のプロジェクト(HyperLoot, Realms, Lil Nouns, …etc.)の記事とかも、イーサリアムnaviで書いているんですよ。
で、記事を書いたら絶対にそのプロジェクトのdiscordにいって「記事書いたよ」という告知をするんですよね。
そうすると(HyperLootとか特に)、記事をシェアしてくれたり、discordのロールをくれたり、手厚く歓迎してくれるところとそうじゃないところで分かれるんですよ。
それって一つ特徴的なポイントなのかなと思っていて、『運営メンバーがいつもdiscordにいる』とか、『ちゃんと返事してくれる』とか、要はちゃんとしているんですよ。
個人的な経験知としては、NFTプロジェクトの多くは運営メンバーがdiscordをあまり見ていなかったり、特定の一人に任せていることが多かったりします。
そういった意味合いで、何か「派生側で上手くいったNFTプロジェクト」に特徴があるとするならば、みんなdiscordを見ているとか、多分本当にプロジェクトが好きだから張り付いているんだと思うんですけど、例えば誰かが発言したら運営の誰かが絶対返事してくれるような状況になっている、とかは挙げられると思います。



あ〜、それすごい勉強になります。
「コミュニティファースト」って感じですよね。温かいdiscord。



そう、温かい!冷めていないdiscord。
「誰もいないじゃん」とかなったら、やる気なくなりますもんね。笑
そういう細かいところが、やっぱり大事だと思いますね。



まあ、鶏と卵みたいな部分もあるでしょうけどね。
成功しているからこそ温かいコミュニティができているとか。



そうですね、確かに「温かい」までいくとそうですけど、例えば僕がイーサリアムnaviで記事を書いた時って、まだ全然出たばかりのものとか多かったり、さっき挙げたHyperLootに関してはまだローンチ前だったんですよね。
そんなフェーズで入っても、既に結構温かかったんですよ。
CC0 NFTのデメリット





では続いては、「CC0 NFTのデメリット」についてです。
これを述べておかないと、『お前はCC0 NFTのポジショントークをやっているんだろ?』と言われてしまうので、最後にちゃんとデメリットに関しても挙げておきます。





デメリットに関しては、だいたい大まかに3つかなと思っていて、一つは「資金調達・マネタイズのハードルが上がる」と。
二つ目は、「意図しない方向性で利用されるリスクが生じる」と。
最後は、「クリエイティブコントロールを失ってしまう」と。
大まかになんですけど、この3点で説明できるかなと思っていますので、順番に見ていきましょう。
資金調達・マネタイズのハードルが上がる





まず一つ目の「資金調達・マネタイズのハードルが上がる」ですが、CC0 NFTって『公共財』的な立ち位置なのかなと思っていて、そうすると資金調達・マネタイズが難しい論争で絶対話題になるんですよね、『公共財は中長期でどうやって資金を獲得するのか』とか。



そうですね。



例えば、上写真の真ん中のやつとかはNounsのフィジカルグッズです。
仮に、Nounsが著作権やライセンスの一部を解放していなかった場合には、Nounsの運営会社だけがこれをもとに収益化できるわけですよ。
ただこの部分の権利を解放してしまっているので、独占的なフィジカルグッズ販売から得られる収益は無くなるという意味で、マネタイズのハードルは上がりますね。
あとは資金調達の観点では、例えばNFTプロジェクトを立ち上げる前に、『CC0にしてしまったら、このプロジェクトのどこに旨味があるの?』と思われてしまって調達のハードルが上がるのかなということで、デメリットの一つとして挙げさせていただきました。



うん、そうですね。



IPを使ったビジネスとして捉えると、それ自体を用いた収益源は減るわけですから、難しい問題ではありますよね。
ただし先ほど言ったように、コミュニティが大きくなるとか、floor priceが上がるとか、そっちの方面にメリットを見出したいのであれば、CC0 NFTという選択肢は全然ありかなと思います。
将来的にフィジカルグッズを作って、そっちでマネタイズしたいですとか、自分が思い描いているような映画をつくりたいとか、そういったクリエイターさんのお考えがあるのでしたら、CC0は向いていないかなと思いますね。
意図しない方向性で利用されるリスクが生じる



二つ目のデメリットは、「意図しない方向性で利用されるリスクが生じる」です。
劣悪な二次創作というのは、オリジナルの方に悪影響を及ぼしてしまうこともあるわけですよ。
「元々そんなつもりでつくった訳じゃないのに、なんだその作品は!」みたいな真逆のテイストのものをつくられてしまうと、オリジナルの価値毀損になってしまうというデメリットがありますよね。





この話をするにあたって面白い題材を見つけたので、ご紹介します。
これは最初に言っておくと、NFTではありません。
NFTではなくて映画なんですけど、タイトルが「くまのプーさん:血とハチミツ」で、こういう映画が今実際にありますと。
この映画が生まれた背景として、今年の初めに『くまのプーさん』の本で登場する一部キャラクターの著作権が、期限切れでパブリックドメインになったらしいんですよ。
で、その『くまのプーさん』の一部キャラクターを使って映画をつくった人が現れましたと。
その人のつくった作品が、『クリストファー・ロビンと離れ離れになったプーとピグレットが野生化し、人間を襲い始める』というホラー映画になりました。



はい。笑



これはもう完全に、ディズニーの意図しない方向で利用されてしまっていますよね。笑
もちろん、これを良しとするか否かは原作者の考えによるんですけど、ディズニーはこれを良しとはしないはずでしょう。
これはCC0に限った話ではないんですけど、CC0ライセンスを採用した方が裁判とかでは勝てなくなってしまう可能性は上がってしまうと思うので、デメリットの一つかなと思って挙げました。



そうですね、CC0だと訴訟すらできないですからね。
クリエイティブコントロールを失ってしまう



最後は、「クリエイティブコントロールを失ってしまう」です。
当然ながらNFTプロジェクトによっては、『これを使って自由にやって良いよ!』『みんなに権利を解放するから自由な方向に広げていってよ!』という考えのものもあれば、そうではなく特定のクリエイターさんが意志を持って”真っ直ぐ”進めていきたいみたいなものもあります。
それを踏まえると、CC0 NFTの場合は無造作に派生物が広がっていってしまうので、後者のケースだと明らかに向いていないことになりますよね。





資料左下の画像は、「mfers」というCC0 NFTを用いたmemeです。
mfersは現在運営がいない状況なのですが、仮の話として、mfersの運営チームが破廉恥なテイストのイラストを好まなかったとしても、このような二次創作/memeの創出を咎めることは難しいです。
そういった意味で、一度CC0ライセンスを採用するとクリエイティブコントロールが効かなくなってしまうので、デメリットになり得るかなと思って挙げました。





ちなみにこのmemeは、「mfersは後ろから見た方が映える」的な趣旨のものだそうです。
だから結局は、こういった作品を良いと思うか悪いと思うか次第なんですよね。
こういう二次創作が出てきたらオリジナルの価値毀損になってしまうという考えであれば、CC0 NFTは向いていないですし、逆にこういった作品も出てきて無造作に広めていってほしい、とにかく広まってほしいという考え方なのであればCC0にした方が速いと思います。



そうですね、最初にも言ってましたけど、あくまでCC0は手段の一つということですよね。
当然メリット・デメリットありますし、自分がどういうIPをつくりたいかということに照らし合わせて選択するものだと思っているので、全てがCC0になれば良いと思っているわけではないと。



そうなんですよ!
すごく今大事なことを仰っていただいたと思うんですけど、まず「自分がどういう作品をつくりたいのか?」というのが大前提です。
よく考えずに「いまCC0 NFTが流行っているから、CC0を採用しました!」とかやっちゃうと、取り返しのつかないことなってしまいます。
なぜなら、一番過激なライセンスなので元に戻せないわけですよ。CC0を一回宣言してしまうと
なので、CC0 summerといったワードで流行っているから採用するとか、ちょっと最近盛り上がっていないから一つトッピングを加えるかみたいな軽い感じでCC0を採用することはあまりオススメしません。
…という警告も一応しておいて、炎上対策バッチリでございます。



僕はそれを説明せずに大炎上したので。
ちゃんと両方言わないと中立じゃないですからね。



はい、私はちゃんと中立にいきたいと思います。笑
NounsDAOの事例をご紹介





先ほどの「クリエイティブコントロールを失ってしまう」や、「意図しない方向性で利用されるリスクが生じる」は、明確にCC0 NFTのデメリットな訳ですよ。
では、CC0 NFTの代表事例として挙げられるNounsDAOの場合は、これらのデメリットをどのように克服しているのか。
こちらについて、最後にご紹介したいと思います。





(動画内ではNounsDAOのことを簡単に説明しましたが、文字数の関係上割愛いたします。ご存知ないという方は、以下の記事をご参考ください。)







NounsのアートワークはCC0なのですが、その他にもtraits(特徴)のアセットやフォント、スマートコントラクトのコード、さらにはオークションwebサイトコードまで、全てをオープンソース化しているんですよ。



すごいな。



すごいでしょ?
そしてこれは、「nouns.center」のサイトを見ていただければ全部出てきます。
なので、例えばもし『NounsのNFTを持っていないけれど、派生プロジェクトをつくりたい!』となったら、このサイトを見ればアセットが全て揃っているので、ここから使ってください。
このように、必要なアセットを全部公開していることによって、派生プロジェクトが生まれやすくなるわけです。





あと、先ほど少し話題に挙がった「Lil Nouns」ですが、webサイトが本家Nounsのものと全く同じなんですよ。
これは、本家Nounsがwebサイトのソースコードを公開してくれていて、こういったフォークサイトが簡単につくれるようになっているから故です。
「Lil Nouns」に関して詳しく知りたい方は、以下の記事をご参考ください。



ぜひ見てください。







あとは、NounsではCC0を採用していてアセットも公開しているので、上画像のようにIRLでの普及活動が各国でボトムアップに進められていたりします。
もしこれを運営が指揮して「じゃあ次はリオデジャネイロ行こうか」なんてやっていたら、手が回る訳ないじゃないですか。



確かに。



これはやはり全てをオープンソース化して、「みんなで自由に使って良いよ!」というスタイルでやっているからこそ得られる恩恵だと思います。
以上の要素などを踏まえて、「nouns.center」によると現状では148個のNouns派生プロジェクトが生まれているという、そんなNFTプロジェクトになります。



多分載っていないだけで、もっとありますよね?



そうですね、「nouns.center」に載っていないものもあるので、どのくらいだろう。おそらく400個くらいありますかね。



ローンチして1年でこの派生の数って、考えられないですよね。笑



いや、本当に意味が分からないですよ。笑
だって、現時点でNounsのNFTは400個しかないのに400個くらい派生プロジェクトが生まれているって、意味が分からないです。
だから、NounsのNFTを持っていない人もやっているんですよね。
これがCC0を採用していることの大きなメリットかなと思うんですけれども、先ほどの話に戻すと、「クリエイティブコントロールを失ってしまう」「意図しない方向性で利用されるリスクが生じる」などデメリットもあるわけですよね?





では、それらのデメリットをNounsDAOはどうやって解決しているのか。
結論から簡潔に言うと、お金を使って「Nounsを使って良い行いをした方が得だ」というインセンティブ設計をしています。
NounsのDASでは1日に1体新しくNoun NFTが生成されるわけですが、それを誰かに71.69ETHで購入されたと仮定しましょう。
そうすると、普通のNFTプロジェクトであれば、この71.69ETHは売上として運営のお財布に渡るわけですよ。
しかしNounsDAOの場合は、71.69ETHがすべてDAOのトレジャリーに渡ります。つまり運営にはまったくETHが渡らない仕組みになっています。
そうすると、DAOのトレジャリーに毎日お金が溜まり続けていきますよね?





そして、この溜まったお金を使うことによって、CC0 NFTのデメリットを解消しています。



すごいですね〜





では、どうやって負のサイクル(例:意図しない方向性で利用される)を解消しているのかと言うと、要は「資金提供」をしています。
先ほど述べた『コミュニティの財布に溜まっているお金』を使って、Proposals, Small Grants, Prop House, Retroactive Paymentsなどのプログラムを通して、「良い行いをしたら資金が提供されるかもしれない」というインセンティブ構造をつくりだしました。





これが一つ革命だと思っていて、例えばNounsを悪いことに使ったとして、承認欲求みたいなものは満たされるかもしれないけど、全然合理的ではなくなるんですよね。
『良い方向に派生させたら、もしかしたらお金が貰えるかもしれない』となると、やっぱり良い方向に派生させるとか、NounsDAO全体にとってポジティブな行いをした方が得であると多くの人間は考えるので、そっちの方向に力がはたらくようになりますよね。



はい。



そうすると、NFTをCC0にしてクリエイティブコントロールを失ったとしても、悪用されるケースを減らすことができますと。
もちろん0にはならないと思いますが、一般的なCC0 NFTプロジェクトに比べれば少なくなるでしょう。



なるほど。
NounsDAOでは「Nounsを使って何をやっても良いよ」という状態ではありながらも、『こういう使い方をしてくれた方がありがたいよ』というある種プロジェクトとしての方向性は提示していて、さらにその方向に進んでいくように、トレジャリーの資金を使ったりしながら、コミュニティに伝えている面もあるのかなと思いますね。



正にその通りかなと思います。
ちなみにNounsの最終ゴールというか、掲げているビジョンとしては「cryptoを知らないようなマス層でも知っているようなIP」にすることで、だからこそ結構広告とかに資金提供を多めにしている印象はありますね。





先ほどの資料ですが、例えばリオデジャネイロ(ブラジル)とか、ニューヨーク(アメリカ)とか、香港、バーゼル(スイス)など、こういった地域には当然「人」はいる訳ですよね。
で、こういうところを普通に歩いている人たちの目に触れる機会をつくるようなproposalとかがコミュニティから出てくると、資金を提供しやすくなったりしています。



広告は結構多いですよね、過去のpropposalとかを見ていくと。
バドワイザーとかもありましたよね?



そう、それも記事にまとめているので詳しくは以下記事を見てほしいのですが、要は「Super BowlI(米国で最も大きなテレビイベント)のCMにNounグラスを登場させる」ことと引き換えに、「NounsのNFTをプレゼントする」というものでした。
その際にプレゼントするNounsのNFTは、DAOのトレジャリーの資金から購入しているわけですから、これも広告費用としての資金提供の一例ですね。


まとめ





というところで時間も良い感じになってきたので、一旦これで終わりということで最後に締めさせてください。





おめでとうございます!
僕もいろんな海外のメディア見ていますけど、イーサリアムnaviほどコアなプロジェクトがまとまっているものは、世界を見渡しても他にないです。
これ本当です。ポジショントークじゃないです。



consomeさんにそんなこと言われると…困ります(照)



こんなにコアに刺さるメディアは見たことないので、ぜひ続けていただいて。
結構いろんな人に知っていただけるようになりましたよね?



いや〜、ありがとうございます!
そうですね、方向性としてはあんまり流行っているコンテンツとかを取り扱うことが少ないメディアなのでPV数とかが伸びにくかったりしたんですけど、1年やっていると徐々に知ってくださる方が増えてきて良い感じになってきているので、2年目も頑張っていきたいと思います。



ぜひぜひ、応援しています!



ありがとうございます!


今回は、先日のYouTube Live配信「今さら聞けないCC0 NFTについて徹底解説します!」について文字起こしをおこない、【後編】の記事コンテンツとしてまとめてまいりました。
本記事が、CC0 NFTが内包する特徴やデメリット、CC0 NFTのデメリットを解決するための一案とその実例などについて理解したいと思われている方にとって、少しでもお役に立ったのであれば幸いです。
また励みになりますので、参考になったという方はぜひTwitterでのシェア・コメントなどしていただけると嬉しいです。
🆕記事をアップしました🆕
— イーサリアムnavi (@ethereumnavi) September 9, 2022
以前のYouTube Live配信「今さら聞けないCC0 NFTについて徹底解説します!」についてまとめました✍️
本稿は【後編】であり、以下についての記事です。
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💡CC0 NFTのデメリット
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