『web3メタバースとはネットワークであるべき』|Phiのco-founder(共同創業者)consomeさんに取材

どうも、イーサリアムnavi運営のでりおてんちょーです。

以前、弊メディアで取り上げた「Phi」というプロジェクトが、国内外で多くの方々から評価され話題になることが増えてきており、改めてその注目度の高さが窺えるようになってきました。

筆者は、以前(2022年3月24日)にPhiに関する最初の記事を執筆しましたが、その際はPhiの概要や遊び方、注目ポイントについてピックアップしています。

しかし改めて、『こんなに素晴らしいクリプトネイティブなプロジェクトが、一体どのようにして生まれたのか』について知りたいと思い、Phiのco-founder(共同創業者)であるconsomeさんに先日インタビュー依頼を申請し、快く了承していただきました。

本記事は、その内容を文字起こしして読みやすく編集したものを中心とし、筆者の論考・考察パートも交えながら「Phi」というプロジェクトについて再探求していくことを趣旨とします。

本記事を通して、Phiの起案背景や設計思想など「今まで多く語られることのなかった部分」にフォーカスしていくことで、Phiというプロジェクトの魅力をより多くの方々に知っていただく機会になれば嬉しく存じます。

でははじめに、この記事の構成について説明します。

STEP
前書き|「Phiとは何か」について軽くおさらい

まずは、「Phi」というプロジェクトについての概要をおさらいすることで、次章のインタビューパートにおける読者の皆様の理解促進に努めてまいります。

STEP
consomeさんへのインタビュー

続いて、Phiのco-founder(共同創業者)であるconsomeさんへのインタビューの内容について、文字起こしして読みやすく編集したものをお伝えしてまいります。

STEP
筆者の考察・論考

最後に筆者の論考・考察パートも交えながら、「Phi」というプロジェクトについて再探求していくことで、Phiの魅力や設計思想の深みなどについて理解していただくことを目指します。

本記事が、「Phi」の魅力や起案背景、設計思想などについて理解したいと思われている方にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的または投資上のアドバイスとして解釈されることを意図したものではなく、また解釈されるべきではありません。ゆえに、特定のFT/NFTの購入を推奨するものではございませんので、あくまで勉強の一環としてご活用ください。

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目次

前書き|「Phiとは何か」について軽くおさらい

本記事の本題に入る前に、改めて「Phiとは何か」ご存知ない方に向けて、簡潔に要点をまとめていきます。また、Phiに関する詳細な解説記事を読みたいという方は、先に以下をご一読されることを推奨いたします。

Phiは、ウォレットアドレスとオンチェーンアクティビティ(オンチェーン履歴)で構成される、ビジュアルレイヤーのプロジェクトです。

ユーザーのウォレットアドレスから「DeFiでの活動履歴」「NFTの保有履歴」などを読み取り、以下画像のようにオブジェクト(アイテム)として視覚化することによって、オープンで包括的なメタバースランドシステムを作成します。

出典:Medium

上記だけでも、既にパブリックブロックチェーンの特性を活かした非常に趣深い試みなのですが、さらに特徴的なポイントとして「土地にENSを用いている」点が挙げられます。

つまり、一般的なメタバース系プロジェクトで散見される「有限な土地」は存在せず、実質無制限で(≒誰でもENSアドレスを取得することで)土地を生成できる仕様になっているのです。

このようにプロジェクトの基盤部分をオープンな設計にすることで、各プロジェクト内のデータ(土地/オブジェクトなど)がサイロ化されて『いわゆるweb2ライクなメタバース』になってしまうことを防ぎ、ネットワーク効果を最大限に高めやすいという利点を創り出し、web3ライクなメタバース論を提唱しているものであると筆者は理解しています。

では、なぜPhiがこのような設計に至ったのか、そこにはどのような思い・哲学が込められているのか。

これらの点について、次章でPhiのco-founder(共同創業者)であるconsomeさんに、詳しく伺っていきたいと思います。

consomeさんへのインタビュー

でりおてんちょー

本日はお忙しいところお時間をいただき、本当にありがとうございます!
Phiについてもっと深掘りして知りたいと思っている人が多いので、この機会にたくさん質問させてもらえれば嬉しいです。

consome

こちらこそありがとうございます!
お手柔らかに、よろしくお願いします。

どんな人たちにPhiを使ってほしいか

出典:twitter.com/ZkEther
でりおてんちょー

早速ですが、Phiってテストネットの際に「Linktree」みたいな使い方もされていましたよね。
あの使い方は素晴らしいなと思いました!

consome

ありがとうございます。
ただ、Linktreeって『事業者向けのもの』だなと、ちょっと思うんですよね。
例えば、自分のサイトを持っていたり、自分のアートギャラリーを持っている人が使うサービスみたいな。
そうすると、web3の一般ユーザー(例:NFTのトレードぐらいしかやっていない人)って、別にLinktree使う必要ないですよね。

でりおてんちょー

確かに、多くの人は自分のサイトも持っていないわけですし、何も掲載するリンクがないですね。

consome

そう。だからその代わりのポジションとして、今だとDeBankみたいな「自分のwalletの履歴が見れる」サービスのリンクとかを貼っている人が多いじゃないですか?

でりおてんちょー

その類のものはいっぱいありますよね。例えばZapperとか。

consome

そうそう!
今って、Twitterのプロフィール欄にそういったリンクを貼っている人が多いと思うんですけど、あれってノイズが多いのと、あと資産をダイレクトに見れちゃうんですよね。そこを引け目に感じる人も多少いるだろうなと思うんですよ。

でりおてんちょー

納得感があります。つまり、自分の財布の中身を含めて全部の資産情報を公開しているみたいな感覚ですよね。

consome

で、あの表示って自分でカスタムできないじゃないですか?
『このトランザクションは見せたいけど、このトランザクションは隠したい』みたいな。

でりおてんちょー

うんうん

consome

そういう時にPhiだったら、自分の土地の上に置くものは選んでカスタムできますし、ノイズを省いて自分が見せたいウォレットアクティビティだけをオブジェクトとして乗せられるんですよ。

でりおてんちょー

そうですよね。その仕様は本当に素晴らしいと思います。

consome

はい。なので、事業者向けというよりはエッジ(一般の人たち)向けサービスのイメージで、もっと多くの人に使ってもらえたら嬉しいなと思っています。
で、それこそが僕はweb3だなと思うんですよ。エッジに向けたプロダクトというか。

でりおてんちょー

間違いないですね。しかも今のテストネットの段階で、既にいろんな人たちがtwitterでシェアしたりして遊んでいますよね。

consome

本当にありがたいんですよね〜。
めちゃめちゃありがたくて、例えば「PhiのクエストクリアしようDAO」みたいなのが生まれていたりして。ああいうのはすごく嬉しいですね。

web3プロジェクト全般の課題と、Phiでの改善策について

consome

あと、web3のプロダクトってリテンション(顧客維持率)が低いことがよく問題に挙がるんですよね。例えば、ユーザーが何度も訪れるweb3のサービスって滅多にないじゃないですか?

でりおてんちょー

言われてみると全然思い当たらないですね。

出典:opensea.io
consome

僕の場合、例えばUniswapだったら月に一回くらいしか見ていないですし、OpenSeaだったら「今のトレンドのNFTは何だろうか」と調べるために頻繁に見ることはある程度なんですよ。

でりおてんちょー

僕もその感覚です。

consome

はい。だからOpenSeaみたいなweb3関連サービスはリテンションが高いと思うんですけど、他のサービスはリテンションが低いものが多いので、この課題をクリアしなければマズいなと思っていましたね。

でりおてんちょー

おー、それは面白い!

consome

Phiを考案する際も、「どうやったらリテンションを高められるか」についてすごく考えていました。
それで、twitterのプロフィールリンクのところにPhiの土地リンクが貼ってあったら、それを見た人たちは思わずアクセスしちゃうんじゃないかな?それでリテンションが高まるんじゃないかな?と、思っていましたね。

出典:twitter.com/ZkEther
consome

だから、『自分から見ようと思って直接Phiのサイトにアクセスしに行く』のではなくて、「①その人のプロフィールリンクを辿ったらPhiの土地があった」「②だから行った」というやり方です。
そういった形式で、リテンション問題を少し改善できるのかなと思っています。
なので、戦略としてLinktreeの代替ポジションを狙いたいなとは思っていましたね。Phiは、一般のweb3ユーザ向けのLinktreeというイメージです。

でりおてんちょー

なるほど〜!これは本当に深いですね。だってもう全部繋がっているじゃないですか。土地に行ったらリンクがたくさん貼ってあって。他の人の土地にも遷移できますし。「今後こう使われていきそう」みたいなことが、いろいろ考えられますよね。
例えば有名人であれば、その人の持っている土地に広告を貼るようなビジネスをやる人も出てきてもおかしくないですし。

consome

そうなんですよ!そういった方向性を考えて「アテンションスコア」というものを設けています。

Phiにおける各スコアの存在意義・誕生の背景

出典:mumbai.philand.xyz/phi-consome.eth
consome

先ほどの「③アテンションスコア」とは何なのかを簡単にいうと、『よく見られている土地ランキング』です。そういう指標を設けておくと一層注目度が高まるので、さっきでりおさんが言っていた「広告っぽいビジネス」とかも、将来的にできたら面白そうだなと思いますね。

でりおてんちょー

LEADERBOARD(リーダーボード)に書かれていた指標は、そういった意味合いのものだったんですね!

consome

そうそう。いろんな軸のスコアがあった方が絶対に面白いだろうなと思っていて、③アテンションスコア の他にも以下2つの指標を設けています。

  1. ランドパワースコア:どれだけEXP(経験値)の高いクエストオブジェクトを土地に置いたかを表す指標
  2. ソーシャルスコア:どれだけ友達がいるか(リンクが貼られている数の多さ)を表す指標
でりおてんちょー

なるほど、テストネットローンチ時にTwitterで『相互リンクしましょう!』と呼びかける人が多かったのも、この指標を上げたいというモチベーションが一つあったのですね。(もちろん単純にワクワク感が動機になっている人もたくさんいました。)

consome

そうですね。
ちなみに、②ソーシャルスコア に関しては「Googleの検索エンジン」を参考にしたところがあります。

出典:mumbai.philand.xyz/phi-consome.eth
consome

これは厳密には正確ではないんですけど、Googleの検索エンジンってざっくり言うと「リンクが貼られている数」で各サイトのランク付けをおこなっているんですよ。たくさん参照されているサイトほど上に表示させてあげるっていう仕組みなんですけど、それを参考にして「リンクが貼られている土地」は、みんなから注目されている/良い土地である可能性が高いので、こういうスコアリングモデルを採用しました。

出典:mumbai.philand.xyz/phi-consome.eth
consome

また、もう少し厳密に言うと、ある土地に貼られたリンクがたくさんあったとして、③アテンションスコア は「リンク先に飛んだ数」を表すようにしています。飛ぶということは、例えばUniswapのリンクを貼っていたらUniswapのページに遷移する訳じゃないですか?それってUniswapの注目度が高まることに繋がったり、それ自体がUniswapの宣伝になりますよね。
これは正の外部性を意識して、こういう設計にしています。要は、『あなたの土地が他のプロトコルにどのくらい貢献したのか?』を表す指標、それがアテンションスコアです。

でりおてんちょー

なるほど〜。サービス設計の基盤からすごくクリプトネイティブな思想が詰め込まれていて、さすがconsomeさんという感じです。

Phiが提唱する「メタバース論」

consome

リーダーボードを見ていると、Phiのランド間ですごくたくさんリンクが貼られたりして繋がり合っていて、Phiの中で1つのインターネットが形成されているんですよね。
ランドとランドが相互にリンクをたくさん貼り合っていて、「Phiのランドネットワーク」とも表現できる繋がりができています。

でりおてんちょー

面白いですね。
それって視覚化したりできないんですか?

consome

オンチェーンデータなので、やろうと思えばできますよ!
ソーシャルグラフみたいなことですよね?

でりおてんちょー

ですです。The Meshファウンダー takenstheoremさんの「Ownership network(以下画像)」みたいに、オンチェーンデータの繋がり・Phiのランドネットワークを分かりやすく可視化してあげたら、また一つ面白くなりそうだな〜と。

出典:twitter.com/takenstheorem/status/1409736653560815617
consome

良いですね。これこそ僕が考える「web3メタバース」って感じなんですよね。多分めっちゃコアな核の部分の話になるんですけど。

でりおてんちょー

いや、僕もすごく分かります。

consome

やっぱり、「web3メタバースとはネットワークであるべき」というのが僕の考えですね。そして、それをPhiを通して表現したかった。

でりおてんちょー

ちなみにこれは個人的に聞いてみたいことですが、「メタバース」という単語をあえて使わないとすれば、Phiをどのように表現されますか?

consome

なんだろう、『インターネット上で土地というものを定義するならばこうあるべき』ですかね。
例えばよくあるパターンとしては、まず”土地”というものがあって、それを区切ってNFT化しているじゃないですか。このモデルとしては、有限の土地があって、現実世界みたいに土地の「広さ」とか、「都心への近さ」とかで値付けしてNFTの価格を決める訳ですよ。

でりおてんちょー

はい、一般的にはその類のものが多い印象です。

consome

でも、その価格には何の根拠もない訳ですよ。この土地が1ETHなのかって、別に何の裏付けもなくて、ただ単に運営が決めた土地の大きさや数量が存在していて、確実に価値があるのかも分からないような土地のNFTを、高い値段で売る訳ですよ。それって僕の気持ちとしては、「何か違うな」というのが心のどこかでずっとあったんですよ。

でりおてんちょー

確かに、「何か違う」感じはありますね。

consome

「何か違う感」あるじゃないですか。
クリプト好きな人たちは『それはちょっと違うだろう…』と感じると思うんですけど、なんで違うと感じるか…。例えばトップダウン感がめっちゃ強いじゃないですか。

でりおてんちょー

そうですね、トップダウン感。
あと、なんか結局そこだけ繋がっていないというか、サイロ化されているな〜とは感じますよね。

consome

そうそう。だから僕がPhiを創った根源的なところとしては、そういったものへの反抗心・アンチテーゼ的なところはありましたね。
だからこそ、『ボトムアップ型の土地』を定義したいと思ったんですよ。そこが結構コアな部分の気持ちというか、感情的なところですね。

でりおてんちょー

なるほど〜、ありがとうございます!
あまり表に出てこないような、すごく貴重なお話を聞けて光栄です。

consome

良かったです。笑
で、そういったものを創るにあたって何か良いサンプルとかリファレンス(参考文献)ないかな〜と思っていたところ、インターネットが良いリファレンスだなと気づいたんですよね。
インターネットって、別にwebサイトを作れる量に対して特に決まりがあるわけじゃないし、誰でも無制限に作ろうと思えば作れるし、しかも作るコストもほぼ0円に近いし。

でりおてんちょー

インターネットのレベルまで俯瞰しますか。でも言われて見ればそうですね。

consome

そう。それで、「webサイトってドメイン持ってんじゃん!」って気づいたと。さらにそこにプラスしてweb3の考え方も混ぜたんですよ。
どういうことかと言うと、一般的にwebサイトの立ち上げって、webサイトをローカルで作った後に独自ドメインを設定するという流れじゃないですか?でもここの部分をweb3っぽくするためにLootから着想を得てみたら面白くなるんじゃないかなと思った訳です。

consome

Lootエコシステムって、まずLootという「文字列」があって、その上にビジュアルのレイヤーが乗っていく流れじゃないですか?

でりおてんちょー

そうですね、例えば「Realms」「HyperLoot」などが、特に有名なLootのビジュアルレイヤーとして立ち上がっているプロジェクトですね。

consome

そうそう。ということは、ENSも「ドメインという文字列のNFT」がまず最初に存在している訳ですから、その上にビジュアルのレイヤーを乗せたかったんですよね。
だからこそ、Phiでは『ENSから土地をつくる』という発想に至りましたし、このアイデアはインターネットとLootを参考にして生まれたものです。

出典:Medium
でりおてんちょー

Lootを参考にするのはまだしも、インターネットから着想を得るというのは、さすが視野がお広いですね。

consome

いえいえ。笑
この一連の流れを通して、物理世界における土地と、インターネット世界における土地の違い・対立構造に気づいたんですよ。
物理世界では数に限りがあって、土地の面積や都市への近さなどの要素で値段が決まりますよね。でもインターネットにはそういった概念がないじゃないですか。サイトAとサイトBの距離が近い/遠いとかもないですし、存在できる数も無限に近いですし、そもそも土地そのものを誰でも自由に作れますし。

NFTは今後さらに無料化/フリーミアム化の流れが加速していく

出典:Medium
でりおてんちょー

面白いですね。僕個人としてはすごく賛同できるところが多いです。
ただ、あえて読者の方が感じそうな質問をしても良いですか?

consome

はい、もちろん。

でりおてんちょー

ありがとうございます。
先ほど仰られていたように、web3における土地って本来は有限ではなく無限の方がマッチしている訳ですよね。ただ、「無限にしてどうやってマネタイズするの?」という疑問が生まれてくると思うんですよ。

consome

はいはいはいはい。そうですよね。

でりおてんちょー

例えば、よくあるPFPみたいな1万体発行するタイプのNFTコレクションも、究極的には別に無限発行スタイルで良い訳じゃないですか?
技術的には無限で実装可能ですし、本来デジタルアイテムってそういうものだった訳ですし。
ただし、そこにあえて発行上限というものを設けて価値を持たせることで、ビジネスとして成り立たせている側面はあるのかなと思っています。
それを踏まえて、consomeさんが「Phiでは土地を無限にする」と判断するに至った決め手みたいなものは、何だったのでしょうか?

consome

いや確かに、最初は土地を発行するときに、少し手数料を取ろうかなとも話には上がっていたんですよ。それこそENSって、発行するために少しETHが必要になるじゃないですか。

でりおてんちょー

はい。文字数が少ないと高くなったりしますが、基本的には少額で契約できるものですね。

consome

でも、例えばスマホアプリのゲームって最初の頃は買い切りモデルだったと思うんですよ。『1,000円出せばこのゲームでずっと遊べます』みたいな。その後、パズドラみたいなフリーミアムモデルが増えていきました。要は、基本は無料で遊べるんだけど、ちょっと他の人よりも目立ちたかったり強くなりたかったら課金してくださいというモデルですね。

でりおてんちょー

なるほどなるほど。

consome

僕はその歴史を知っていたので、これは役立つなと。それでいうとNFTも、今年の最初や去年とかは『値段をつけて売るモデル』が主流だったじゃないですか。これって僕の中ではソシャゲの歴史とかぶっているんですよね。

でりおてんちょー

NFTもソシャゲ同様に、無料化の流れに進んでいくと。

consome

そう。無料でもらったNFTを持っている人たちで構成されるエコシステムの中で、社会的な欲求を満たしたりするために多くの人がお金を支払う形式にシフトするだろうなと考えています。
要はパズドラの中で強い自分になりたいのと一緒じゃないですか?それに対してお金を支払っている。そういう方向にweb3も進んでいくんじゃないかという仮説の元、Phiの土地生成システム自体は無料にしました。その上で、他より目立つオブジェクトは課金が必要というモデルにして、そこでマネタイズができるんじゃないかなと

でりおてんちょー

まずは最初の入り口のところで、たくさんのユーザーを取りこぼさず囲い込むということですよね。

consome

そうです。でも、それってすごくweb3っぽいと僕は思うんですよね。誰でも遊べますよっていうフリーミアムなモデルは設計としてinclusive(包括的)ですし。なので、Phiはよりweb3っぽい設計で舵を切ることができたと思っています。

出典:store.epicgames.com/ja/p/fortnite
でりおてんちょー

フリーミアムモデルでいうと、フォートナイトとかもそうですよね。ユーザーがスキン(見た目)やエモート(動き)とかに課金することで成り立っていますし、コミュニケーションの部分とか、社会性の誇示みたいなところでお金が使われる。だから入り口のところは無料でも大丈夫という算段ですよね。

consome

そうですね。それによって”お金お金”しなくなるといいますか。現状、NFTを買う理由の多くは投機だったり、儲けたいから買うという人が多いですよね。それに対してPhiでは「儲けたいから買う」ではなくて、「社会的欲求にお金を支払いたくなる」ように設計しています。

でりおてんちょー

なるほど〜。そのモデルがPhiみたいなビジュアルレイヤーのものであれば、なおさらマッチしますよね。

「質の高い情報のシャワー」を浴び続ける

consome

Phiの設計は何ヶ月にもわたって構想したんですけど、プロダクトの設計を考えるときに二者択一を迫られることが多いんですよね、やっぱり。

でりおてんちょー

あれですね、いわゆる「二択問題」ってやつですね。

consome

そう、例えば土地を発行するときに手数料を取る/取らない とか、あとは『メタバースを創るとなったら土地の発行数量は有限でしょう』って普通は考えるけど、そこで一回止まって『いやいや、無限でしょう』という感じで。

でりおてんちょー

consomeさんの場合だと、条件分岐が尋常ではないほど多くなりそうですね。笑

consome

そうなんですよ。笑
そもそも「それが二択問題である」と気づくのって、web3のことをめっちゃ見ていないと難しいんですよね。
まず「web3ってこうあるべきでしょ」という前提がないと、web3で有限の土地のメタバースやるってなっているときに、立ち止まれないんですよ。なので、web3とは何たるかを知っていたこと・知ろうと努めてきたことが、Phiではすごく役立ったと思います。

でりおてんちょー

確かにその通りですね。そういう人がコアチームにいないと、ここで一度立ち止まってみようとはならないですからね。

でりおてんちょー

ちょっと話が変わりますけど、consomeさんっていつも先を見据えたような示唆的なツイートをされていますよね?というのも、僕はずっと以前からconsomeさんのツイートはチェックするようにしていたからこそ分かるのですが、大体半年前のconsomeさんのツイートを遡ったら今議論されているようなことを断言されていることが多い印象です。(※現在は全ツイートを削除されたため遡って見ることができません

でりおてんちょー

で、大体その通りになっているというか、的を得たことは半年前に既に考察済みでしたみたいな。これってどんなカラクリなのでしょうか?笑
この記事を読んでくださっている方々も気になっていると思いますので、ちょっと切り込んだ質問をしてみました。

consome

新規プロジェクトを追いかけまくると、謎の能力を手に入れるんですよ。

でりおてんちょー

朧げながら見えてきます?

consome

はい。それでいうと例えば、Phiの「ENSをメタバースの土地に使おう」みたいなアイデアもそうでした。ENSって、2021年の6月あたりでは全然注目されていなかったんですよね。

でりおてんちょー

「ENSは過小評価されている」と、当時から言われてましたもんね。

consome

全然注目されていないから、今高値で取引されているような3桁のアドレス(例123.eth)とかも取り放題だったんですよ。でもその当時から僕は、「あっ、これくるな」「ENS、絶対これから注目されるだろうな。」と思って、Phiのアイデアを固めていったら、作っている途中にどんどん数字系のENSが盛り上がっていったんですよね。今年(2022年)に入ってからじゃないですか、ENSがすごい盛り上がったのって。

でりおてんちょー

はい、そうですね。

consome

なので、ENSが何か来そうっていうのも、朧げながら浮かんできましたね。

でりおてんちょー

朧げながら閃きを得ると。でも、普段やっぱりちゃんとリサーチされているからこそ、浮かんでくるんですよね。

consome

ENSは多分、第六感ですね。

でりおてんちょー

おー、カッコ良い。第六感!

consome

ENSは当時、調べていても何も新しいプロジェクトとか出てこなかったんですけど、でも「何かくる」と思って、それでPhiのアイデアに繋がりましたね。

でりおてんちょー

なるほど、ちゃんと日々質の高い情報のシャワーを浴び続けましょうということだと解釈しました。
他にもたくさんお聞きしたいことがありますが、そろそろお時間なので今回はこの辺りで。
本日はお忙しいところ貴重なお話を聞かせていただき、本当にありがとうございました!

consome

こちらこそ、ありがとうございました!

筆者の考察・論考

本記事の最終章では、Phiのco-founder(共同創業者)であるconsomeさんへのインタビューを通して、筆者が得た気づきや考察などについて述べてまいります。

まず、インタビューパートでも挙げた「HyperLoot」は、LootをProtocol Layer(L1)として捉え、自プロジェクトをその上に乗るVisualization Layer(L2)と位置付けています。

出典:Twitter

Phiエコシステムを上図で例えると、ENSがL1であり、Phiがその上に乗るL2という構図になりますが、ENSはさらにその下にある『オンチェーンアクティビティの上に乗っている』とも言い表せるでしょう。

誰でも閲覧できるEthereumチェーン情報の上に乗ることにより、例えばUniswapのアテンションを高めるという『正の外部性』を生み出す可能性を秘めているなど、他プロジェクトとの「繋がり見込み指数」のようなものが段違いに高い設計になっているのです。

これは、ENSというウォレットアドレスを基盤としてエコシステムを構築しているからこそ成せる技であり、今後の発展可能性は計り知れないものになると期待しています。

出典:mumbai.philand.xyz/drooboid.eth

そして、ウォレットアドレスを土地として定義することによって、「なぜそのオブジェクトがそこに存在しうるのか」に矛盾が生じない、パブリックブロックチェーンの思想・文脈に反しない『クリプトネイティブなプロダクト』になり得るはずです。

一般的にメタバースと呼ばれているものの多くは、運営が土地というものを作り出し、そこに理由付け・値付けをおこなって販売するモデルが台頭しているというのが、筆者の所感です。

それと比較するとPhiのモデルは、「土地が存在する」のでなく「存在が土地をしている」と表現できるという点において、明確に異なる性質を帯びています。

(前略)文化庁長官で心理学者の河合隼雄先生は「あなたという存在は花を演じておられるのですか。私という存在は河合を演じているのですよ」と花に語りかけたくなると、ユーモラスに述べておられます。ふつうは花を見て、「ここに花が存在する」といいますが、これを「存在が花をしている」といってもいいのではないか、というわけです。

出典元:稲盛和夫 『生き方 – 人間として一番大切なこと』(サンマーク出版、2004年)241ページ

つまり、『パブリックチェーン(Ethereum)上に刻まれた個々のトランザクションデータというものが先に存在しており、それがPhiを通して土地/オブジェクトの形をしている』と表現できるのではないか。こうした見解です。

もちろん、個々のトランザクションデータは他のビジュアルレイヤーを担うプロダクトによっては異なる見た目になって然るべきであり、これこそがボトムアップNFTプロジェクトの醍醐味であるとも筆者は考えています。

でりおてんちょー

このように言語化していくと、consomeさんがインタビューで仰っていた「web3メタバースとはネットワークであるべき」「インターネット上で土地というものを定義するならばこうあるべき」という言葉の片鱗が、垣間見えてくるのではないでしょうか。


また少し話が脱線しますが、Ethereumというパブリックブロックチェーンの話まで俯瞰すると、ブロックチェーンの中に刻まれた(ファイナライズされた)トランザクションデータというものは、ご存知の通り改ざん耐性が極めて高いです。

そして、過去のブロック・個々のトランザクション(Tx)データは、それら一つ一つが確かに存在していなければならず、どれか一つでも欠けたり抜け落ちてしまうと、全体として成立しなくなってしまう特性を有しています。

宇宙には「エネルギー不変の法則」というものがあります。宇宙を成り立たせているエネルギーの総量は、形を変えても一定というものです。たとえば、木を切り倒して薪にして燃え盛る火にくべると、もとあった木という存在のエネルギーは、熱エネルギーと気体になったエネルギーに換えられただけで、そのエネルギーの総和は変わりません。ならば、たとえ石ころ一つでも、この宇宙を成立させるために必要不可欠な存在であり、どんなちっぽけなものであっても、それがもし欠落するならば、宇宙そのものが成り立たなくなってしまうのです。

出典元:稲盛和夫 『生き方 – 人間として一番大切なこと』(サンマーク出版、2004年)242ページ

こういった特性・クリプトの文脈を汲み取ってプロジェクト設計をおこなうことで、(それがマスアダプションを加速させるものであるかどうかの議論は別として)クリプトコア層から「これは他のNFTプロジェクトとは一味違う」と評価されるものに近づくのかもしれませんね。


「NFTは今後さらに無料化/フリーミアム化の流れが加速していく」節より

さて話を本線に戻しましょう。「NFTは今後さらに無料化/フリーミアム化の流れが加速していく」というお話も非常に興味深かったですね。

入り口のところで障壁を設けるのではなくinclusive(包括的)に多くのユーザーを取り込み、その中で社会的欲求に対してお金を支払う人が現れることで、マネタイズが可能になるのではないか。

『ソシャゲの歴史と照らし合わせて考えてみると、NFTのフリーミアム化事例が今後増加していくのではないか』という仮説は、納得感があると思いました。

現に、「フリーミント」「Free-to-Own」といった単語も聞き慣れつつもあり、『最初に無料でNFTを保有してもらい、後から課金ポイントをつくっていく』という手法は、各所で模索されているように感じます。

でりおてんちょー

無料ではなく少額事例ではありますが、最近ではRedditのCollectible Avatarsなども話題になっていますね。

昨今はロイヤリティ(NFTの二次流通時手数料)を徴収せずともNFT売買ができる流れになりつつあるため、課金ポイントを構築するためには今まで以上に広義の「コミュニティ形成」に力を入れていく必要性が出てきている点には留意が必要でしょう。

出典:twitter.com/phi_xyz/status/1574578549201068032

では、Phiエコシステムの中で「社会的欲求」を満たすための基準値を超える土地(ENS)には、どのような特徴があるでしょうか。例えば以下が挙げられます。

  • 昔からオンチェーン活動をおこなっていること
  • 豊富なアセットを保有していること
  • ある程度の知識がないと出来ないタスクを終えていること

先述の通り、これらのトランザクションデータは改ざん耐性が極めて高いため、これらの活動履歴をオブジェクトとして表示することは、社会的欲求を満たすに足りる要素であると言えるでしょう。

そして、これらのオブジェクトを土地の上に乗せているだけで、多くの人々からの羨望の的になるはずです。

畑は土を作るところから始め、何年もかけて整備しなければならない。そういった努力や準備をしていたから、種を蒔いただけで、多くの作物が得られる。自分の畑ではうまくいかない、不公平だ、と怒ってもしかたがない。世の中には運、不運はあるけれど、これは偶然のばらつきであり、おしなべて見れば大差はない。それよりも、個人の工夫や努力が結果に大きく結びついている方がはるかに多いのである。

出典元:森博嗣 『お金の減らし方』(SB新書、2020年)62ページ
でりおてんちょー

こういった前提を踏まえた上で、Phiがどのように利用ユーザーを増やしていくのか、そしてマネタイズ手段となる課金ポイントを設けていくのかなどについて、筆者は非常に期待しています。

執筆時点(2022年11月5日)においてPhiは、Mumbai(Polygonのテストネット)上でローンチされている状況です。

現時点では、メインネットローンチに関する情報は発表されていませんが、テストネット同様に多くのユーザーから利用されることを楽しみにしています。

まとめ

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でりおてんちょー

「地方創生×NFT」の取り組みとして非常にユニークで面白いと思います。


今回は、Phiのco-founder(共同創業者)であるconsomeさんに対してインタビューさせていただいた内容を中心に、Phiというプロジェクトについて再探求してまいりました。

本記事が、「Phi」の魅力や起案背景、設計思想などについて理解したいと思われている方にとって、少しでもお役に立ったのであれば幸いです。

また励みになりますので、参考になったという方はぜひTwitterでのシェア・コメントなどしていただけると嬉しいです。

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この記事を書いた人

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