オンチェーンパズルゲーム「MuMu」について概観|Solve 2 Mintシステムを通した知識貢献型モデルの提唱と、人間とbotが共存するエコシステムの実現可能性などについて解説

どうも、イーサリアムnavi運営のでりおてんちょーです。

今回は、Starknet上で展開されるオンチェーンパズルゲーム「MuMu」についてピックアップし、紹介ならびに解説を行っていきます。

出典:mu-mu.netlify.app

MuMuは「オンチェーンパズルゲーム」という可愛らしいゲームのように見えますが、その裏側には『新しい価値基準を提唱する可能性』を秘めているようにも見えることから、大変興味深いプロジェクトだと考えています。

例えば現在、多くのNFTプロジェクトは「トークンの希少性」を運営主導で一方的に決定付けており、ある意味で『人工的に』その価値を担保しているという見方もできるでしょう。そして、そこに早期にアクセスして利益を享受できるのは、ある程度の資本力を備えた人による「資本貢献」であると言えます。

しかしMuMuを開発するTopologyは、本来はそれが「知識貢献」によって定義付けるべきであるという主張をしています。つまり、ある時点においてお金を持っていた人の方が偉いという世界ではなくて、知識を備えていた人の方が偉い。なので、その人たちがアクセスパスを獲得できる世界を実現しよう、といったことを試みています。

またその他にも、ルール設計やゲーム性の面では『人間とbotが共存できるエコシステムを実現する可能性』を開くとも考えられ、非常に含蓄に富んだフルオンチェーン型プロジェクトなのではないかと思い、取り上げることにしました。

ということで今回は、Starknet上でオンチェーンパズルゲームとして構築されているTopologyの「MuMu」について注目し、その概要や遊び方、裏側に秘められて社会実験的な役割と可能性などについて、筆者の私見を交えながら解説します。

でははじめに、この記事の構成について説明します。

STEP
MuMuとは

まずは、MuMuというプロジェクトの概要や執筆時点でのステータス、着想を得たプロジェクトなどについて解説します。

STEP
実際にMuMuをプレイしてみる

続いて、筆者が実際にMuMuをプレイしながら解説することで、MuMuの概要や設計コンセプトなどについての理解促進を図ります。

STEP
筆者の論考・考察

最後に、Step1, 2を踏まえて『新しい価値基準を提唱する可能性』『人間とbotが共存できるエコシステムを実現する可能性』の2点について、筆者の私見を交えながら考察します。

本記事が、MuMuの概要やTopologyの思想、オンチェーンゲームの可能性などについて理解したいと思われている方にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的または投資上のアドバイスとして解釈されることを意図したものではなく、また解釈されるべきではありません。ゆえに、特定のFT/NFTの購入を推奨するものではございませんので、あくまで勉強の一環としてご活用ください。

Alpha Navigatorは、超アーリーなクリプトプロジェクトに特化して探知し、webサイト, discord, twitterで情報発信を行っています。

目次

MuMuとは

出典:topology.substack.com/p/what-happened-after-after-isaac

概要

出典:mu-mu.netlify.app

MuMuは、公式(数式)で記述された条件を満たすと物質が変化する、オンチェーンパズルゲームのプロジェクトです。

MuMuの遊び方やゲーム画面についての説明は、次章で行います。

NP困難巡回セールスマン問題などの要素がゲーム性に取り込まれていることから、その特徴を簡潔に表現すれば『人とbotが共存するエコシステムでも人間の方に分があるような仕組み』の構築を志していると、筆者は捉えています。

ゲームという枠に収まらず、社会実験的な意味合いも強いように感じられるMuMuですが、guiltygyoza氏が主導するTopologyという組織によって運営されています。また、TopologyはMuMuの他にも、IsaacやShoshinなどのオンチェーンゲームを開発していることで有名です。

また執筆時点において、MuMuにはゲームジャンルとしての正確な定義は存在しません。筆者としては、それ自体が目標を持たず無目的である「シミュレーションゲーム」や「オンチェーンパズルゲーム」に近いものであると理解しています。

MuMuのイメージ図

MuMUのプレイヤーは、「条件が揃えば物質が別の物質に変化する世界」の中で物質を配置し、コマンドでベルトコンベアのようなものを形成して自動運搬し、その過程で錬金術のように物質を変化させていきます。

詳細はこの後説明しますが、簡潔に述べると『プレイヤーは入り口から薪を補充して、錬金術で物質を変化させていきながら、最終的には炎に変化させて出口まで届ける』ことを目指します。

なお、条件は数式で記述されています:

出典:topology.substack.com/p/what-happened-after-after-isaac

MuMuには、上写真のように8つの公式があります。例えば1番上の「Stir」は、『薪と薪の絵文字が横並びになった時、クローバーの絵文字に変化する』という処理を表しています。

この処理内容をもとに、上イラストのような指示コマンドによって絵文字の動き方を定義し、最短でシンクまで目標物質を届けられた人が偉いというのが、MuMuの大まかな概要とゲーム性になります。

着想を得たプロジェクト「Opus Magnum」

出典:store.steampowered.com/app/558990/Opus_Magnum

MuMu arenaは、「Opus Magnum」というシミュレーションゲームをStarknet上のオンチェーンゲームとして実現したものとも言えるため、こちらのデモ動画を見ることでMuMuの全体ゲーム像を掴むことに繋がると思います。

  • Opus Magnumは、2017年にリリースされたパズルを要素にしたプログラミングゲームで、Steam Workshopにも対応している
  • プレイヤーは基本的な元素を操作して、必要な製品を作るために機械を組み立て、プログラムしていく
  • また、プレイヤーはリーダーボードで競い合い、製品を最短時間・最低コスト・最小限の面積で完成させることを目指す

また、MuMuの思想としては以下のようなものが掲げられており、シンプルに言えば「面白くて奥深いオンチェーンゲーム」を作ろうとしています。

  • MuMuは、見ていて面白いものでなければならない
  • 好奇心を刺激するものでなければならない
  • そして 、奥が深いものでなければならない

ちなみに、MuMuは元々「MovyMovy」という名前で発足しましたが、RealmsのLoaf氏の提案によって今の「MuMu」という名前に変更された背景があります。

現在のステータス

執筆時点において、MuMuはCairo 1.0への書き換えを行っている状況であり、またStarknetのテストネット上で展開されている状態です。

また、メインネットでの展開に関しては、アップグレードに対応するために現在Cairo 1.0のプロジェクトを再構築しているとのこと。

derio

ファウンダーのguiltygyoza氏に伺ったところ、2023年4月に開催されるSTARKTokyoETHTaipeiで、MuMuの最新情報(おそらくシーズン3に関する進捗)が発表される予定だと回答がありました。

ちなみに、以下から現在と過去のシーズンのwebページ(フロントエンド)を見ることができます。

実際にMuMuをプレイしてみる

執筆時点ではシーズン3が作成中のフェーズのため、今回はシーズン2のアプリをプレイしていきます。以下などのフロントエンドを通して、ユーザーはMuMuとやり取りを行うことができます。

出典:mu-mu.netlify.app

webサイトにアクセスすると、上写真のような画面が表示されます。1番上に表示されている「Arena Mode」をクリックしましょう。

ちなみに、「Language」から日本語表記にすることも可能です。

ではプレイしていきます。まずは①でスピリット(コマンド)をプログラムしていきます。これは概要パートでもお伝えした通り、工場におけるベルトコンベア的な位置付けのものです。

MuMuのイメージ図

要は、①で「どのように自動動作するかについてのコマンドを作成し、それを配置する」という作業を行います。

今回は『基礎的な遊び方の確認』が目的なので、スピリットを右に1つ、上に1つ、左に1つ、そして最初の位置に戻るようにプログラムしてみます。

初期状態では位置が(0, 0)となっていますが、これは左上を(0, 0)とし、右下を(10, 10)としたときの位置情報です。一旦ここではデフォルト(0, 0)のままで進めていきます。

「new spirit」ボタンをクリックしてプラス記号をクリックし、d(右)、s(下)、a(左)、w(上)の順番で入力します。

再生ボタン(▶︎)をクリックすると、手のアイコンが右回りにループするようになりました。

このように、スピリット(コマンド)をプログラムして組み合わせたり配置したりしながら、絵文字を運搬したり変化させていきながらゴールまでの到達を目指すというのが、MuMuの大まかなゲーム性になります。

では続いて、公式(数式)を駆使して絵文字を変化させる方法について見ていきましょう。

MuMuのイメージ図

本ケースでは、公式(数式)リストの1番上のものを試してみます。内容としては、「薪と薪の絵文字が縦or横並びになったとき、それらを合体してクローバー絵文字に変化させる」というものになります。

やり方は以下です。

  1. Formula Listの1番上にある「Stir」をクリック
  2. マップ上に配置
    • 今回は、(1, 0), (2, 0), (3, 0)に配置
  3. 「Confirm Formula」ボタンをクリックして配置完了

これで数式(公式)の配置が完了したので、『(1, 0)と(2, 0)に薪の絵文字が横並びになった時、それらを消して(3, 0)にクローバーの絵文字を召喚する』という処理が実装されました。

では、(1, 0)と(2, 0)に薪の絵文字が横並びになるようにコマンドを作成して、クローバーに変化することを確認してみます。先ほど(spirit 0)と同じように、「new spirit」ボタンをクリックしてプラス記号をクリックし、今度(spirit 1)は『z(+)、d(右)、x(×)、a(左)、z(+)、d(右)、d(右)、x(×)』の順番で入力します。

このコマンドは、まずzで薪を拾い上げ(UFOキャッチャーに例えると掴んで持ち上げ)、右(1, 0)マスにxで落とし、同じことを(2, 0)マスでも行うことにより、横並びになった薪がクローバーに変化することを意味します。

再生ボタン(▶︎)をクリックすると、Frame# 9 でクローバーが生成される

このように、(0, 0)マスのF(faucet)から薪を移動・変化させながら、各端にあるS(sink)に炎を最短で届けることを目指します。

以上が、執筆時点におけるMuMuの簡潔な遊び方・ルール説明になります。

筆者の論考・考察

出典:topology.substack.com/p/topology-presents-isaac

MuMuは一見可愛らしいビジュアルを備えたオンチェーンパズルゲームのようにも見えますが、その裏側には壮大な社会実験的な意味合いが含まれていると、筆者は理解しています。

というのも、開発母体であるTopologyは「Solve 2 Mint(Solve-to-Mint)」というシステムの構築に取り組んでおり、MuMuはそれを実現するための一歩になるのではないかと考えられています。

出典:s2m2.netlify.app

Solve 2 Mintシステムに関するさらなる詳細を知りたい方は、guiltygyoza氏のブログ記事 Conceptualizing on-chain trial protocols for knowledge をご参考ください。

Solve 2 Mintシステムの意図について簡潔に説明すると、要は今までの10,000個発行されるタイプのNFTコレクションでは、NFTホルダーはオークションで競り勝つ / 最速でミントするなどの「資本貢献」によってイノベーターであることを証明していたのに対し、本来はそれが「知識貢献」によって定義付けるべきではないかという主張です。

derio

NFTをミントする機会があった際に、お金を持っていた人の方が偉いという世界ではなくて、知識を備えていた人の方が偉い。なので、その人たちがアクセスパスを獲得できる世界を実現しよう、という意図にも見えます。

つまりTopologyは、Solve 2 Mintシステムを用いてユーザーに対して「解決すべきパズル」を提示し、そのユニークな解答から報酬や評価としてのNFTが得られる世界を構築しようと試みており、そのプロダクトの一つが今回ご紹介したMuMuです。

そして、個人的にこの仕組みの特に興味深いポイントとしては、大きく以下2つが挙げられると考えています。

  1. 新しい価値基準を提唱する可能性
  2. 人間とbotが共存できるエコシステムを実現する可能性

1. 新しい価値基準を提唱する可能性

まずは、今後「トークンの希少性」を運営主導で一方的に決定づける『人工的なもの』ではなく、パズルの解答数によって『自然的に』決定づけられる新たな可能性が生まれることです。

この仕組みは、従来のようにNFT発行元が「これは希少です」と宣言・実装したから希少性を帯びるというのではなく、『このNFTをミントするための問題を解けた人は世界で10人しかいません。従ってこのNFTは希少性を帯びます。』というように、新たなボトムアップ型の価値基準を訴えることができるのではないでしょうか。

ボトムアップカルチャーは、web3ムーブメントにおいて非常に重要なものであると同時に、web3ならではを追求するとそこに辿り着くという意味でも非常に含蓄に富んだ文化事例であると考えています。

最近では、NFTコレクションが「フロアプライス」「トータルボリューム」といった指標ばかりで測られることに疑問を呈する人も多くなっているように感じます。この流れの延長線上に、Solve 2 Mintシステムが目指す世界もあり得るのではないかと、個人的には期待しています。

また、Starknetでオンチェーンゲームなどのインフラストラクチャを構築するコミュニティ「MatchboxDAO」も、様々な賞品を用意し、そして多様な難易度を設けて、Solve 2 Mint チャレンジを実行していく予定であると、Solve 2 Mint – A Framework for NFT Emission という記事内で表明しています。

2. 人間とbotが共存できるエコシステムを実現する可能性

そしてもう一点。人間とbotが共存するエコシステムにおいて、Solve 2 Mintのようなシステムは「人間が有利になるような仕組みの構築」を試みており、それが非常に興味深いということです。

エコシステムから強制的にbotを排除するのではなく、その存在を受け入れた上でその生態系を発展させていこうとする姿勢は、フライホイール効果の側面からも多大なる可能性を秘めていると同時に、クリプトの文脈やイデオロギー的にもマッチしています。

そしてこれは、Nounsのように非NFTホルダーをも巻き込んで関係人口を増やしていく現象とも似ています。

このあたりの可能性の話はオンチェーンゲーム単体の話として捉えても興味深いですが、人間とAIが共存する社会を見据えた社会実験として見ても興味深く、注目されるような気がしています。

以上のように、MuMuに対しては「新しい価値基準を提唱する可能性」、そして「人間とbotが共存できるエコシステムを実現する可能性」の大きく2つの観点から、今後も進捗を追っていきたいと思います。

今回の記事を機に興味を持っていただけたという方は、MuMuを実際にプレイしていただきたいと同時に、ぜひ他のオンチェーンゲームプロジェクトについても調べてみてください。

参考文献:
What happened after-after Isaac?
MuMu is Audio Workstation
Introduction to MuMu – Part 1: Spirit Programming
Introduction to MuMu – Part 2: Formulas Placement
Introduction to MuMu – Part 3: First Complete Solution

まとめ

イーサリアムnaviの「今まで」と「これから」

今回は、Starknet上でオンチェーンパズルゲームとして構築されているTopologyの「MuMu」について注目し、その概要や遊び方、裏側に秘められて社会実験的な役割と可能性などについて解説しました。

本記事が、MuMuの概要やTopologyの思想、オンチェーンゲームの可能性などについて理解したいと思われている方にとって、ccc

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