今回は、オンチェーンゲーム・AW領域のビルダーであり、現在ピクセルベースのAutonomous World「PixeLAW」を構築中のshoraさん(@0xshora)にインタビューさせていただきました。
先日開催したイベント「AWの時間」にも登壇していただき、PixeLAWの設計思想やAWという概念に対する考えなどを拝聴し、ぜひ一度いろんなテーマでディスカッションしてみたいと思い、今回の企画がスタートしました。
shoraさんは、もともとSTEPNがきっかけでクリプト業界に参入し、その後、BitcoinやLoot、NounsDAOなどに魅力を感じ、現在はAW業界に焦点を当てて活動されています。
特に、PixeLAWの着想にはLootが関係しているとのことで、お話の随所にLootの概念や哲学的な部分が感じられたことが印象的でした。筆者もLootが好きなこともあり、とても楽しく、そしてタメになるディスカッションができたと思います。
このインタビュー記事は、オンチェーンゲームやAW領域に関心がある方はもちろんのこと、クリプト領域でプロダクトを構築している方や、クリプト領域における設計思想について学びたい方にとって、特におすすめの内容となっています。よければ最後までご覧ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的または投資上のアドバイスとして解釈されることを意図したものではなく、また解釈されるべきではありません。ゆえに、特定のFT/NFTの購入を推奨するものではございませんので、あくまで勉強の一環としてご活用ください。
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shoraさんの自己紹介と「PixeLAW」について
今日はお忙しいところお時間いただきありがとうございます!先日の「AWの時間」ではお世話になりました。
こちらこそ、お世話になりました!
ということで、改めてよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
僕はもちろんshoraさんのことは存じ上げておりますが、まず軽く自己紹介をお願いしてもよろしいでしょうか?
shoraという名前で活動しています。バックグラウンドとしてはAI系で、去年の3月に東大の修士課程を修了しました。その後Autonomous Worldの分野に取り組んでいます。現在は、「PixeLAW」というプロジェクトをメインにしながら、DeNAのtrivia.techチームを少しだけお手伝いさせて頂いています。
ありがとうございます。「PixeLAW」は先日、パブリックテストを始めたんですよね?
そうですね。「とりあえず出してみた」みたいな感じです。
We are excited to announce the first public release of PixeLAW!
— PixeLAW (@0xPixeLAW) March 29, 2024
Paint, play, and interact within a pixel-based autonomous world.
Enter the world: https://t.co/YaH41acDqp.
Discover more in our detailed article: https://t.co/u36NizOUzJ pic.twitter.com/O8LzewXCRm
なるほど。「とりあえず出してみた」というのは、『未完成だけど、タイミング的に今だ!』みたいなことですか?
いや、タイミングというよりは、もうちょっと速く動きたい気持ちがあって、フィードバックを貰いたかったのが理由です。なので、とりあえず出せるなら出そうみたいな。 あと、来週リスボンでイベントがある(※)んですけど、そこでハッカソンみたいな感じで、PixeLAW上に作ってもらえるみたいな話がいくつかあって、 そこまでに環境を整えないといけなかったので、「とりあえず出した」という感じです。
(※)このインタビューは、2024年4月12日に行われたものです。
そういうことですね!ではまず、「PixeLAW」について簡単に説明をして頂けますか?
はい。「PixeLAW」は、2023年7月のETH Global Parisハッカソン中に始まったプロジェクトで、Starknetから1st prizeを受賞してから、そのまま続けてビルドしています。
Got 1st prize from @Starknet at @ETHGlobal Paris Hackathon✨
— shora (@0xshora) July 23, 2023
Thanks to all the team. (@jwaitforitk_eth @fntupas and Casper)
Let me tell more about our project: PixeLAW👇 pic.twitter.com/5j7j099Wal
「PixeLAW」とは、簡単に言ってしまえば「グリッド上のフルオンチェーンゲームのプラットフォーム」です。現状は、「ピクセルアートを作れるペイントゲーム」や「2048」など多くのゲームが同じワールド上に存在し、Starknet上とRedstone上でビルドしています。
ありがとうございます。shoraさんの記事「Discovering PixeLAW: The Fully Onchain Planet」にも書かれてましたけど、PixeLAWでは「まずはコンポーネントを作ろう」としていますよね。例えば、「AWの時間」のイベントで話したような、変えることのできないルールが基盤にあって、そのルールを基にしてみんなで自由にゲームやツールを創造し、ボトムアップのアプローチで世界全体を広げていこうとしている、と僕は認識しています。
はい、めちゃくちゃその通りですね。何故そんなことをしようかと思ったかというと、Lootの影響と、あとはECSフレーワークを最大限活用しようみたいなモチベーションだったことが大きいです。つまりボトムアップで作り上げていける「composableな世界」を作りたかったのです。
また、PixeLAWについて、「プリミティブな印象」を持たれがちかもしれませんが、本来の希望としてはもっとシンプルにしたくて。その理由としては、Lootのように最大限余白が存在するAutonomous Worldを作りたかったからです。
なるほど。「余白が多いAutonomous World」という概念は興味深いですね。
実は以前、そういったコンセプトのプロダクトを、個人で作ったことがあります。Komorebiさんが開いていた「memeハッカソン」の時の話です。その当時私は、「フルオンチェーンゲームとAutonomous Worldの違い」や、「自由にコンポーネントやシステムを追加できる状況とは、どのような条件が揃っていると達成できるのだろうか?」みたいなことを考えていました。その結果として、「人」と「土地」という2つの空のエンティティしか存在しないEmpty Entitiesというプロジェクトを提出することにしました。
【Empty Entities】
— shora (@0xshora) October 30, 2023
Submitted this project for the Memetic AW Hackathon!
This is a meme project representing the notion that
"AW should be able to be constructed from two empty entities."
Here's a detailed explanation🧵👇 pic.twitter.com/0jijStSMqu
もし仮に、自由にコンポーネントやシステムを加えられる状況ならば、このEmpty Entitiesはワークするし、Autonomous Worldだとみなせる。しかし、実際にはこのプロジェクトをAutonomous Worldとみなす人は誰もいない。ならば、このプロジェクトに足りないものは何だろうか?それを考えることで、Autonomous Worldを実現することに近づくと思ったのです。そして、こうした考えを根幹に、万人に分かりやすく、さらに上に作りやすく設計したのが「PixeLAW」です。
なるほど。最初からPixeLAWのアイデアが生まれたのではなく、ハッカソンで構築したEmpty Entitiesが原案だったのですね!
はい。それで、土地のエンティティに対して「座標」だけではなく、「数値情報」というコンポーネントを、まずはデフォルトで与えました。Autonomous Worldのコアとしては、ブロックチェーンで管理されるステートとロジックなので、クライアントは含まれない。つまり、その数値情報の解釈だったり視覚的表現は、自由な訳ですよね。そして、最初のユースケースとして「ペイントゲーム」とか、最初のフロントエンドとかを作り、さらに色々ゲームやアプリケーションを作れたりするという設計になっています。
面白い。しかも、それを運営だけじゃなくて、「遊んでいる人たちみんなで拡張していける」ということですもんね。
そうですね。
なるほど。先ほど「Lootから影響を受けた」と仰っていましたけど、すごくそれが体現されているなと思います。
Lootは、かっこいいですよね。
分かります。実は僕も、Lootを見てからイーサリアムnaviを始めたんですよ。
そうなんですか!
はい。当時、PFP NFTが流行っていて、そのカウンターカルチャーとしてLootが出てきたんですけど、衝撃でしたからね。Lootを見る前までは、別にNFTって面白いけど、そこまで熱もなかったんですよね。でも、Lootを理解できた瞬間、「NFTってめっちゃ面白いじゃん!」となってしまい。その日から、「こういうコアなデザインのプロジェクトを、もっと多くの人に伝えないといけない!」という使命感に駆られて、記事を書くようになりました。
「自由度の塩梅」の設計って難しいよね…
少し脱線してしまいましたが、話を元に戻します。端的に言い表すと、Lootって「テキストだけの基盤NFT」ですよね。PixeLAWも「座標」と「数値」という基盤を元に、色んなものを表現できるところが面白いと思います。例えば、数字を色として表現したりできるし、そこからプロダクトを自由に上(Layer 2, Layer 3, …)に作っていけますよね。
ただ、個人的には「どこまで自由にするか」という設計の問題にずっと興味を持っています。本当に難しいテーマですよね。例えば、Lootというプロジェクトは「文字(武器の名前)だけ」を用いた自由度の高い設計で行われましたけど、それと同じ時期には、他にも似たようなアプローチを採用しているプロジェクトが多くありました。たとえば「nプロジェクト」というものも存在しており、こちらはLootのように武器の名前を使うのではなく、「0から10の数字だけ」で設計されていました。
イーサリアムnaviでも記事になっているやつですよね、拝見しました!
はい、そうです。でも結論、nプロジェクトはあんまりワークしなかったと思っています。これはあくまで僕の見解ですけど、nプロジェクトは自由度が高すぎたんだろうなと思っています。かといって、逆に自由度を狭めすぎると、今度は自由度がなくなってしまいますよね。
確かに!
だから、「自由度の塩梅」というか、グラデーションのどこに位置付けるのかがすごい難しいなと、ずっと思っていて。トランプみたいな良い塩梅の自由度を設計できればベストなんでしょうけど、その感覚にタイアする少しの差で、プロジェクトが伸びるか伸びないかが変わりそうだなって思うんですけど、その辺りの話を踏まえて、PixeLAWではどういった自由度の設計にしようとか考えましたか?
ボトムアップNFTブランドをつくるためには、コンポーザビリティを高めることはもちろん大切ですが、ちょうど良い塩梅の自由度でリリースすることも重要ですよね。
— でりおてんちょー|derio (@yutakandori) March 2, 2022
「トランプ」は本当に良い例だと思います。
数字や絵柄だけだと自由度が高すぎるし、逆にルールを決めすぎてしまうと自由度が低すぎる。
そうですね、実はその点については私も悩んでいました。私が最初に提案しようと思ったのは、32ビットの表現を楽しむことです。RGBではなく、2の32乗の情報を埋め込むことができるので、例えば1ピクセルだけで将棋などの情報を完全には表現しきれないものの、かなりリッチな情報を32ビットの枠に詰め込むことができるんです。なので最初は、32ビットという制約の中で、リッチな情報を表現したいという気持ちがありましたね。
おー、面白いです!
ありがとうございます。ただ、現状では「1ピクセル単位でどうこうできる」という話にはなっていないので、別の制約やビルドの方向性について明確に示す必要があると最近感じています。
なるほど。定めるべきか否か問題は一旦置いておくとして、確かに「現状は方向性がない」っていうことですもんね。
そうですね。ただ、私の中では「最終的なゴールみたいなもの」は、一応あります。Autonomous Worldにおいて、私が新しい価値として一つ感じているのは、「上限のなさ」なんですよ。
「上限のなさ」と言いますと?
例えば、Eve Onlineとかでは「戦争」が起きていると思うんですけど、それって数千万円くらいの規模でしか起きていないんですよね。 時間の価値とかの話は一旦置いておくとして、失われたアセットの金融的価値だと、言ってしまえば「たかがそれくらいの規模感」な訳です。
逆に、現実世界の戦争って、失われるアセットの金融的価値が、数百兆円とかの規模じゃないですか? そこの間のギャップが生まれる要因の一つとして、「人々が中央集権的なプラットフォームを全面的に信頼し、時間やお金を費やして生活することは、出来ないのではないか」みたいな仮説を持っています。それを踏まえて、その上限を取り払えるのが、Autonomous Worldの1つの可能性かなと考えています。
なるほど。 つまり、分散化されたプラットフォームであるAutonomous Worldであれば、そこの「上限」を取っ払える可能性があるかもしれないってことですよね。 めちゃくちゃ面白い着眼点ですね。
単なる保有感よりも、「奪い合い」がしたい
なので、「戦争は、最終的なゴールの1つとしてあり得るのではないか」と考えています。そして、その先駆けとして、ピクセルを奪い合うための「土地の奪い合い」みたいなことをやってほしいと思っています。それを実現するための最初の段階として、「ボトムアップなビルドの方向性を、どうやって示そうかな…」みたいなことを、最近考えていますね。
確かに、「土地の奪い合い」というテーマは、現在のオンチェーンゲームのジャンルの中でも特に多い印象があります。たとえば、SmallBrainチームが最近リリースした「Network States(下画像:左)」も、土地争奪をテーマにしていますし、Curioが開発した「Treaty(下画像:右)」も同様で、このゲームはまさに『戦争時の条約をブロックチェーンのスマートコントラクトに組み込む』といった試みです。
そうですね。注目しているビルダーの数も多いと思います。
インターネットや飛行機も、最初は戦争とか軍需から始まったと言われますけど、もしかしたらクリプトもその方向性で何か関係するかもしれないですね。
間違いないです。Dark Forestのプラグイン開発が盛り上がったのって競争心からだと思うので、戦争が人の心を駆り立てると思います。
なるほど。Dark Forestは宇宙の「惑星」を侵略するテーマですけど、惑星を「土地」と言い替えても成り立ちそうですね。そう言われると、今のところオンチェーンゲームと呼ばれるものは「奪い合う系」が多い印象すらありますね。
それでいうと、「保有感が大事」とかって結構皆さん仰るんですけど、個人的には正直そんなに大事じゃないと思うんですよ。
NFTにおける保有感ですか? それは何故でしょう?
もちろん、ある程度は重要だと思いますが、私や周りの人たちはそれをそれほど重視していないように感じます。結局のところ、多くの人々が今でもGAFAを信頼していて、それに対して特に疑問を抱いていないというのが実情です。だからこそ、真の意味での『保有感』というものは、そこまで重要ではないのかもしれないなと。むしろ、多くの人が自ら進んで預けたいと感じているのではないでしょうか。それでいて、「奪う」「奪い合う」という行為に保有の価値を見出すのが、現状だと思います。
なるほど、その考え方はすごく面白いですね。要は、「何かを誰かから奪うためには、誰かが保有していないといけない」ということですよね? そして、ちゃんと誰かが保有してるということを、誰もが検証できる形で、かつ改ざんできない形で保持されていることが重要である、と。
そうですね。結果として大事になります。
PixeLAWの一つの発展可能性としての参考題材:Pxls
『保有感』で思い出したんですけど、PixeLAWって現状、Starknetで稼働しているじゃないですか? 同じく、StarknetのNFTプロジェクトに「Pxls」というフルオンチェーンNFTプロジェクトがあるんですけど、PixeLAWの今後の構想の1つとして使えないかなと思ったんですよ。
Pxlsでは、ピクセルの1つ1つがNFTになっていて、色が256色あります。そして、NFTを保有している人は、自分が持ってる座標の色を好きなように変えることができるという設計の、フルオンチェーンNFTプロジェクトです。 要するに、みんなで協力して何か1つの絵を作り上げる共創型のオンチェーンプロジェクトなんですけど、PixeLAWに保有感を持たせるとなったら、1つこういう方向性もアリだなって、今思いました。
ありがとうございます。ユーザーが保有しているNFTについて、もう少し詳しく聞いてもいいですか?
もちろんです! Pxlsでは、全体として20×20=400個のピクセルがあって、NFTホルダーは、そのピクセルの1マスを保有していることになります。なので、400マスのイラストの一番左上が#1から始まって、それが一番右下の#400まであるのですが、#1のNFTを持っている人は、一番左上のピクセルの色を自由に変更できます。
それで、1日の終わりに20×20=400の全体のピクチャーのスクリーンショットが撮られて、それがNFTとして販売されます。要は、NounsDAOみたいな感じで1日1個ずつ生成されていって、その収益をDAOで運用していくというのが、当時の構想でした。
面白いですね。
そうなんですよ。なので、PixeLAWが今なんでもできるという状況の中で、1つこういった「ピクセルで1枚の絵を作るハッカソン企画」みたいなこともできそうだなと思って、ちょっと共有してみました。
ありがとうございます。確かに、ハッカソン企画とかもスマートコントラクトをフルオンチェーンで実装できるのは面白いと思っていて、その一環として協力ゲームみたいなものは、企画できたらめちゃくちゃ面白そうです。
NFTを売るよりも、公共財として実装したい
あと、「ピクセルの保有」ということに関して、ちょっと僕はまだ色々と悩むところがあって。
何について悩んでいるのですか?
例えば、今は主に「収益を上げる方法」について、チーム内で議論が起きています。かいつまんで言えば、『一度ピクセルをNFTとして販売するのはどうか?』という意見を、外部の方から頂いたことがあるのですが、私は今のところそれに反対しています。
なるほど。要は、先ほどのPxlsのように、ピクセルをNFT化して販売するモデルには、shoraさんは反対のスタンスということですね。それは何故でしょう?
色々と理由はあるんですけど、1つはその設計だと「ピクセルを買って放置する人が大半になる」と思っているからです。つまり、”ピクセルを保有できる”という状況が、エコシステムにとってリスクになり得ると考えています。なので、PixeLAWでPxlsみたいなゲームを実装するってなったら、どんな感じで実装するのがいいんだろうとか、ピクセルの保有問題どうしようかみたいなことは、ちょっと思いました。
難しい問題ですよね。今どうなっているか分からないですけど、実際このPxlsもNFTを放置する人が増えて、ワークしなかった時期があるんですよね。これってフラクショナルNFT全般に言える問題だと思うんですけど、要は「みんなで何かを管理したり構築したりしようとしても、放置する人が増えてしまうと全体として理想的なものに仕上がらない」みたいな話ですよね。
そうですよね。そういった理由もあって、「奪い合える」ようにしたいんですよね。
そういうことか!今、僕の中で点と点が線になりました。だから、「やる気ある人が、いっぱい保有できる」みたいになっていくってことですね。
そうです!
面白いですね。ちなみに、チーム内で議論が起きている『一度ピクセルをNFTとして販売するのはどうか?』という議題の意図は、「収益をどこかで上げないといけないから、ピクセルをNFTとして販売して保有してもらおう」という考えですよね?
そうだと思います。
設計としては、多分shoraさんがやろうとしている公共財アプローチの方が、拡張性もあるし良さそうだなとは思うんですけど、ビジネス的には難しいから…っていうことですもんね。難しい…
そうなんですよ。いつも、ビジネスと思想の狭間で苦しんでいます。
(笑)
AW界隈に「新しい仲間」を迎え入れる必要性
あと、最近私が個人的に感じているのは、若干ですけど、「Autonomous Worldが下火になってきたな…」みたいな感覚が少しあって。
えっ… もう下火になってきていますか?
そうですね、最初のころの盛り上がりに比べると、最近は少し落ち着いてきた感じがします。何と言いますか、「伸び率が若干減速しているような感覚」がありますね。私だけでなく、界隈の人たちと話していても、同じような意見が出ています。
今日はLondonで登壇します!
— SHORA (@shora_jp) March 14, 2024
Londonにいらっしゃる方は是非! https://t.co/CqKpTw2XP7
例えば、この前ロンドンのミートアップがあったんですけど、来ている人たちがもう本当に「よく見る人」ばかりだったんですよね(笑) それでセッションの時に、「コミュニティが加速度的に成長していると思いますか?」みたいな質問があった時に、誰も手を上げなかったみたいな。。
「いつメン(死語)」になってしまったと。
はい。そういうのもあって、周りに思想が強い人が多かったり、資金調達もせず受託開発をしつつ頑張ってるみたいな人がいたり、すごい結構みんな苦労しているな…みたいな印象がありました。
なるほど。AWのオフラインイベントとかに沢山行っている、shoraさんならではの貴重な意見ですね。ありがとうございます。
この前、北野武さんの記事を読んで感銘を受けたんですけど、要は、何かの業界でブームを作るためには「いつメン」だけではダメで、俗にいう「マガイモノ」「ニセモノ」と呼ばれるような人たちが入ってきて母数が増える必要があると。そして、その中で本物が光輝いていくんだみたいな話が書かれていました。
世の中に漫才師が5組かそこらしかいない状態で「漫才で日本一になる!」なんて息巻いたところで、そんなものは商売になんてなりゃしない。「オレも漫才師になりたい」と思うやつが100組、1000組、1万組とひしめく戦いが始まれば、そのなかで上澄みに躍り出たやつがスターになれる。だからブームってのが必要なんだ。才能さえあれば成功できるわけじゃない。誰もが「オレもなれる」と思って参入してニセモノがいっぱい増えると、ブームは起きる。ブームを支えているのは、実はなんだかよくわからないニセモノなんだ。超本格派の本物の才能をもっている人間が一人いても、それでは商売にならない。母数が多いからこそ、本物の素晴らしさがわかる。そうして淘汰が始まる。
出典:https://forbesjapan.com/articles/detail/67161/page2
だから、やっぱりAW界隈も、「新しい人たちをどうやって迎え入れるか」みたいなことが、直近はすごく課題だと個人的には思っていて。平たくいうと、「もっと間口を広げていかないといけない」と思っているのですが、そのためには小難しい思想の話とか、技術的な話を単に伝えるだけでは足りなくて、「いかに分かりやすくメタファーやアナロジーを使って説明できるか」とか、「因数分解して図で分かりやすく簡潔明瞭に説明できるか」が大事だと思うんですよね。 そういった課題感もあったので、ビルダーではない僕に何ができるだろう?と考えた結果、この前DeNAさんと共催させてもらった「AWの時間」の着想に至ったというのはあります。
めちゃくちゃ価値があると思います。「AWの時間」みたいな立ち位置のイベントって、グローバルのAWイベントでも、ほとんど聞いたことないですね。一度、Taipei Blockchain Weekで友達が主催していて、そこで私もスピーカーで話してたんですけど、その時はなんか全然AWとか知らない人たちが集まって、中国語で話すみたいなケースはありましたね。
中国では、オンチェーンゲーム周りが盛り上がっているらしいですね。
だから、中国ローカルで、もしかしたらそういった初心者向けイベントとかやってるかもしれないですね。
たしかに、中国は盛り上がってる印象がありますね。盛り上がっているというより、以前から他の領域に比べてオンチェーンゲーム周りは中国人の数が多いような気がしますね。
PixeLAWをStarknetから始めた理由
すみません、ガラッと話が変わってしまうのですが、」PixeLAWをStarknetで始めた理由」って、聞いても大丈夫ですか?
はい。100回くらい聞かれているんですけど、正直なところ最初のきっかけは、「プライズが狙いやすかった」からです。
賞金の狙いやすさ!?
はい。MUDの場合、プライズが狙いにくそうだったのですが、Starknetの場合めちゃくちゃAWに注力していますし、プライズが狙いやすそうだったので、とりあえず最初はStarknetでビルドし始めました。
そういえば、今でもStarknetってゲーム開発者にグラント提供していたり、精力的にゲームを増やそうとしていますよね。
そうですね。実は、その後もStarknetからグラントやエアドロップを貰っていたので、「今さらMUDで作り直すのもなんだか違うな…」と感じていました。多少の違いはあるものの、当時はStarknetベースとMUDベースの間に大きな差はなかったので、結局今もStarknetメインで活動を続けているところは、正直あります。
なるほど!でも、大切な心構えですよね。
あとは、Starknetの開発者コミュニティが素晴らしくて、強い結束感や活発なディスカッションが行われているのを、よく目にします。そういった要因もあって、特にチームメイトは「Starknet上でビルドすることをかなり気に入っている」ようです。それで、そのままStarknetで続けていたら、MUDバージョン(Redstone上)を、第三者に作ってもらったみたいな経緯があります。
でも、自分の中で、「良いゲームは勝手にフォークされるだろう」みたいな考えがあったので、当時はそこまで開発言語とかチェーンはあんまり関係ないと考えていました。
「Autonomous Worldというナラティブ」に引っ張られすぎないように
あとは最近、「Autonomous Worldというナラティブ」に引っ張られすぎるのも、あんまり良くないなと思っています。
どういうことですか?
例えば、Autonomous Worldというお題があって、それに1番フィットする面白い体験を提供できた人が評価されるみたいなものが『Autonomous World 大喜利』ですよね。でも、そこで「Autonomous Worldとはこういうものだ」という思考の枠・ナラティブに引っ張られすぎてしまうと、ある種限定された回答しか出てこない訳ですよ。だから、Autonomous Worldというよりは、もう一歩俯瞰で捉えるために「ブロックチェーン」というところまで立ち返って、「ブロックチェーンを使って提供できる一番新しい・面白い体験って何だろう?」という大喜利をやっていきたいなと、最近思っています。
いいですね。確かに、僕自身もそうだけど、「思考の枠に縛られすぎている」というのは正直あると思うし、それこそguiltygyozaさんも昔同じようなことを言っていて、以下の記事に昔まとめたことがあります。
当時って、ちょうどMUDやDojoが出てきはじめた頃だったんですけど、「今の段階ではキラーアプリも出ていないのに、その枠内でオンチェーンゲームを定義しすぎるのは良くない」という話をしていて。だから、今の時点でオンチェーンゲームとかAutonomous Worldとかのナラティブに引っ張られすぎずに、本来のブロックチェーンというところまで立ち返って、何ができるかを自由に考えるってことですよね。とても同感です。
最後に
他にも、NounsDAOの話もしたかったんですけど、時間がないのでこの辺で。BitcoinとかLootとかNounsDAOとか、この辺りが特に私は好きなんですよね。
分かります。僕も同じです!
最後に、私のめちゃくちゃ大きな夢を話しても良いですか?
はい、もちろんです!
「Autonomous Worldの分野で1番になりたい」と考えています。現状、みんなが納得するようなAutonomous Worldって存在しないのですが、一番最初にそれを作りたいと考えています。 PixeLAWがそれになるのかどうかは分からないですけど、それくらい気合を入れて、これからも頑張っていくので、応援よろしくお願いします!
めちゃくちゃ素晴らしいです。全力で応援します!何かご一緒できることがあれば、ぜひお力にならせてください。
こちらこそです。今日はありがとうございました!
ありがとうございました!
shoraさんとPixeLAWに関する情報一覧
中央集権的なweb3ゲームの一つの解である「STEPN」について教わる
この続き: 5,949文字 / 画像6枚
まとめ
今回は、オンチェーンゲーム・AW領域のビルダーであり、現在ピクセルベースのAutonomous World「PixeLAW」を構築中のshoraさん(@0xshora)にインタビューさせていただきました。
励みになりますので、参考になったという方はぜひTwitterでのシェア・コメントなどしていただけると嬉しいです。
📝「PixeLAW」のco-founder @shora_jp さんに取材
— イーサリアムnavi🧭 (@ethereumnavi) May 11, 2024
🔸「自由度の塩梅」の設計って難しいよね…
🔸単なる保有感よりも、「奪い合い」がしたい
🔸「Autonomous Worldというナラティブ」に引っ張られすぎないように
…など、20,000字以上の超大作記事🔥
詳細はこちら👇https://t.co/AJaRMVbsHk
全体通して面白い内容の記事でした。
— Cardene【かるでね】🦔 (@cardene777) May 14, 2024
特に『「Autonomous Worldというナラティブ」に引っ張られすぎないように』という章の話は非常に共感できる部分で、AWに限らず他の分野でも言えることだなと思いました。https://t.co/cmmAClp5jv
深かった∈(・ω・)∋https://t.co/WkVxhRIHBG
— 貫く剣 | 🪞➕🧬♦️ (@piercesword) May 14, 2024
個人的にはフルオンチェーンゲームが当たり前ぐらいにならないとAW系は厳しいと思っている
あるいはTrulyの方から注目されるとか
インタビュー記事に見えて、インタビューじゃないところが面白いw オンチェーンネイティブな人たちの対談記事だ!
— LIB🧑🍳🌏 (@0xjoji) May 11, 2024
東洋・西洋の価値観のところはすごく腹落ちした。 https://t.co/nfPNDXxqBY
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