【日本語訳】オンチェーンゲームエンジンにおけるネットワーク効果|Network Effects in Web3 Game Engines

今回は、「Network Effects in Web3 Game Engines」というオンチェーンゲームエンジンに関する素晴らしい記事について紹介したいと思います。

本記事は、「オンチェーンゲーム」について多少なりとも概念や事例などをご存知の方を対象としています。「オンチェーンゲーム」について全くご存知でないという方は、以下の記事をご一読いただいた上で本記事を手に取っていただくことを推奨します。

さて先日、この記事の内容が記載されたTwitterスレッドについて引用リツイートしたところ意外と反響があり、この領域に対する関心の高さを感じました。

上のツイートで参照している「Network Effects in Web3 Game Engines」という記事を執筆されたのは、IOSG Venturesというクリプトファンドの投資家であるIshanee氏です。

彼は、自身で『オンチェーンゲーム・マキシマリスト』であることを標榜していますが、今回更新された記事は、その名が示す通りの内容となっています。

オンチェーンゲームやAWに関しては弊メディアでも積極的に取り上げている題材であるため、今回はIshanee氏に連絡を取って許可をいただき、弊メディアに和訳版の記事を掲載する運びとなりました。

ところで、今回和訳させていただく「Network Effects in Web3 Game Engines」という記事は、現状のオンチェーンゲームエンジンの状況について網羅的にまとめられつつ、それぞれの特性や利点などについて深掘りして解説されています。

「オンチェーンゲーム」「Autonomous World(以下AWと表記)」といったテーマは、昨今クリプトコアな人々や著名クリプトVCの間で話題になりつつも、『それらを取り巻く環境はどのような構図なのか』『実際にどのように構築すれば良いのか』などの情報がまとめられていなかったため、記事公開時の反響が大きかったのではないかと考えています。

弊メディアでは、オンチェーンゲームエンジンに関する個別事例について深掘りした記事はアップしていたものの、全体像を俯瞰するといった類の記事はアップできていなかったため、この機会に詳しく説明する記事を書くことにしました。

これにより、読者の皆さんがオンチェーンゲームエンジンの全体像を理解し、各々がどのような選択肢を持つことが可能なのかを把握する手助けになればと考えています。

ということで本記事では、「Network Effects in Web3 Game Engines」という記事を日本語訳したものに、関連リンクを挿入したり、筆者の主観を交えて解説・考察することで、できる限り分かりやすく元記事の内容をお伝えしていきます。

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なお、元記事には記載されていない筆者の考察/補足パート等に関しては、このように「ふきだし枠」を付けることで見分けがつくようにしております。予めご承知おきください。

また、Ishanee氏はTwitterスレッドでも分かりやすく簡潔に内容をまとめて発信しているので、以下より併せてご参考ください。

本記事が、執筆時点におけるオンチェーンゲームエンジンの概況や事例などについて理解したいと思われている方にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的または投資上のアドバイスとして解釈されることを意図したものではなく、また解釈されるべきではありません。ゆえに、特定のFT/NFTの購入を推奨するものではございませんので、あくまで勉強の一環としてご活用ください。

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目次

オンチェーンゲームエンジンにおけるネットワーク効果

和訳元記事:Network Effects in Web3 Game Engines

オンチェーンゲームとそのエンジンはまだ発展初期の段階にあります。MUDやDojoといった本番環境での利用に耐え得るエンジンは、既にエコシステムの開発者たちにとって有用なツールとなっています。しかし、それらがより一層洗練されるまでにはまだ長い道のりが待っています。

一般的にゲームエンジンは、複数のゲームがそのフレームワークを基盤として使用し、フレームワークに機能を追加することで、大規模な「ネットワーク効果」を享受することが可能になります。

そして、オンチェーンゲームにおいての最大のネットワーク効果は、『同じエコシステムやエンジンで構築された他ゲームとの間における、ゲームやアセットの組み合わせ(コンポーザビリティ)と拡張性』から生まれます。

さらに、オープンソースのライブラリにより、開発者はコミュニティの助けを借りて技術的な問題を解決することが可能になるため、エンジンのスティッキネスも指数関数的に増加することが期待されています。

スティッキネス(stickiness)とは、ユーザーが特定の製品、サービス、またはプラットフォームに引きつけられ続ける傾向を指す用語です。これは、ユーザーがその製品やサービスを繰り返し利用し、他の選択肢に移行することが難しくなるほど、その製品やサービスが「粘り強い」ことを示します。

オンチェーンゲームのスタック

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スタックとは、簡潔にいうと「ソフトウェアプロジェクトまたはシステムを構築・運用するために使用される技術の組み合わせ」のことです。以下では、オンチェーンゲームを取り巻くスタックについて分解し、それぞれについて解説されています。

  • ブロックチェーンスタックは、任意のAW/ゲームの基本的な決済レイヤー(settlement layer)です。ゲーム開発者は、これがどのように機能するか、以下のいずれかの中で決定する必要があります。
    • Ethereum上で直接(高価)
    • L2上(RaaS / ブロックチェーン開発が必要)
    • L3上(ブロックチェーン開発 / 将来的にはRaaSが必要)
  • ゲームエンジンスタックは、開発者がどのブロックチェーンを選択するかに影響を及ぼす可能性があります。
    • 開発者が彼らの作業負荷を軽減するために利用できるリポジトリやライブラリが多ければ多いほど、彼らはエンジンがサポートするブロックチェーンを選択することに納得するでしょう。
  • モジュールまたはprover(証明/検証)市場は、リーダーボードランキング、VRFなどの特定のニッチなツールを、既存のゲームエンジン上に構築するサードパーティの開発者によって構築されたプラグインです。
    • エンジンはおそらく最も人気のあるプラグイン自体を構築するでしょう。
    • これを「アプリストア」モデルの「アプリ」のようなものと考えることができます。
  • AW/ゲームは、プレイヤーとの関係を保有するアプリケーションです。彼らは世界の物理法則を決定し、フロントエンドを維持します。
    • ゲームアセットは、その世界の自然法則に従う限り、プレイヤーによって変更することができます。
    • そして、同じゲームエンジン上で動作する場合、さまざまなAWはデフォルトで組み合わせることができます。
    • コンポーザビリティの程度は、コミュニティや開発者によって決定されます。
  • 最後のスタックは、AWのトークン(およびビジネス)モデルを補完する取引、賭け、ベッティング市場です。
    • dfdaoのようなプレイヤーギルドや、Astral Colossusのようなスマートコントラクトプレイヤーなどを含みます。
さまざまな企業がこのスタックの2つ以上の層を獲得しようと試みています!彼らはおそらく、異なるスタックにも拡大するでしょう!

これからゲームエンジンエコシステムが進化することを想像すると、そのネットワーク効果と価値の発生レイヤーは、「エンジン」と「アプリケーション」の2つの部分に分けてカテゴライズできます。モジュール/prover(証明/検証)市場は、Gnosis Safeモジュールと同様に、エンジンレイヤーに容易に取り込まれてしまいます。

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この一文は、『基本的にゲームエンジンは、最も人気のあるモジュールやプラグインをビルドすることもできるため、safeのようなウォレットに似ている』ということを意味しています。safeは、ウォレットと最も人気のあるモジュールを提供しており、そのモジュールはどんな開発者でも作ることができますが、現状多くの人は「公式」モジュールを使うことを選びます。

それを踏まえて、オンチェーンゲーム開発における主要な課題と、ゲームエンジンがそれらの問題をどのように解決しているか、以下について詳しく見ていきましょう!

  1. ネットワークの混雑
  2. ブロックチェーンは時間がかかる
  3. DevX (Developer eXperience: 開発者体験) の改良

主要な課題 #1 ネットワークの混雑

Crypto Kitties, Axie Infinity, Loot Realmsがローンチしたとき、それらはネットワーク全体を混雑させました。

彼らはその後、何をしましたか? それぞれ独自のチェーンFlow, Ronin, Loot Chainを構築しました。

オンチェーンゲームは計算量が多く、どのゲームもブロックスペースを奪い合ってしまいます。そのため、商業的意欲のあるチームにとっては、独自のアプリ固有のL2ロールアップを構築することが自然な選択となっているのです。

彼らは、Caldera, Conduit, Eclipse, AltLayerなどのRaaS (Rollups-as-a-Service) と提携しており、人気のあるL2フレームワークは今のところOP Stackのようです。

この状況は、Arbitrum Orbit, Starkware L3s, ZkSync Hyperchainsがより成熟し、本番環境に対応できるようになるにつれて変化していくと思われます。

12月のローンチ時に、CryptoKittiesはEthereum上のネットワークリクエストを混雑させた

またArgusは、DAレイヤーに接続されたEVMレイヤー2の新製品も発表しました。

現時点で詳細は不明ですが、これは私たちにLenのMomokaを思い出させます。

「EVMベースレイヤー」は、他のゲーム開発者がゲームの実行レイヤーを高度にカスタマイズできるようにし、「ベースシャード」は、Argus L2のハイパーストラクチャー全体にコンポーザビリティをもたらすレイヤーとなります。

出典:youtube.com/watch?v=A0OXif6r-Qk

主要な課題 #2 ブロックチェーンは時間がかかる

ブロックチェーン上では、トランザクションがなければコントラクトの状態は変わりません。そのため、あなたが「f(a) をトリガーに f(b) を引き起こす」ことを望んだ場合、ファイナリティを待たずにそれを行うことは不可能です。

Ethereumの場合、ブロックがファイナライズされるまで15秒かかり、さらreorgリスクを過ぎるまでに30~45秒かかります。ところが『ティック』を使用すると、トランザクションを実行することなく、ゲームの状態を自動的に進めることができます。

ロールアップ上の平均ブロック時間は1〜2秒(MomokaはPolygon PoSに毎秒2回決定する)であり、Argusの新しいソリューションは業界最速となる20ティック/秒のティックレートを誇っています。

ティックレートとは、更新が発生する頻度のことです。典型的なMMOゲームのティックレートは20~30/sで、RTSでは60/sになることもあります。ほとんどのゲーム開発者は今日MMOゲームを作っているので、20/sのティックレートが現状では乗り越えるべき目標となるでしょう。

ゲームの平均ティックレートについて議論するオンラインフォーラム

0xCurioチームは、より高速なティックレートのためにカスタムL2(Calderaを介して)を使用するというアイデアにトライした、最初の商業チームでした。彼らは、OP Stack上に初のティッキングチェーン実装を構築し、おそらくTreatyのようなゲームの立ち上げ時に併せてローンチするでしょう。

主要な課題 #3 DevX (Developer eXperience: 開発者体験) の改良

MUD誕生の背景に、『Latticeチームが新しいオンチェーンゲームを作ろうとして、同じバックエンドの問題にぶつかり続けた』というストーリーがあります。彼らはそれを踏まえて、「誰もが普遍的に採用できるオンチェーンゲーム開発のためのフレームワーク」を作ることに決めたのです。

そこでは、コンポーザビリティに加え、コントラクト/クライアント(ゲーマーのフロントエンド)間の状態同期の高速化と、各アップグレードでインデクサを書き換えることなく(こんにちは自動インデクサです)簡単にアップグレードできること(コンテンツを修正/更新すること)が、2つの主要な課題でした。

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以上が、オンチェーンゲーム開発における主要な課題として挙げられています。次節では、ゲームエンジンがそれらの問題をどのように解決しているかについて見ていきます。

ゲームエンジンの世界へようこそ

私たちは現時点で、4つのプロジェクトがゲームエンジン標準として地位を争っていることを知っています。そして、そのうちの2つは公共財であり、残りの2つは過去に資金調達を行った商業チームによって作られています。

それでは、いくつかの主要な課題と、各チームがそれらをどのように解決しているのかについて、深く掘り下げてみましょう。

ゲームエンジンの開発には、ボトムアップ型とトップダウン型の2つのアプローチがある
出典:medium.com/iosg-ventures/network-effects-in-web3-game-engines-46d2d0397d0b

MUD v2

出典:mud.dev

執筆時点において、MUDは最も人気のあるゲームエンジンであり、現在EVM上のオンチェーンゲームの95%以上を支えています。Latticeによるゲームエンジンは、リレーショナルデータベースと同様の方法でオンチェーンデータを表現できる「Store」を導入しています。

Storeは、Solidityのコンパイラ駆動型ストレージを使用する代替手段です。スマートコントラクトにおけるストレージは、gasを大量に消費します。また、Solidityにおいてストレージは静的/non-introspectableであり、内部状態を自動的に調べることはできません。

これは、インターフェースやアプリケーションが、「自身が行っている呼び出しが正しいことを前提としなければならない」ことを意味します。

Storeのオンチェーンデータベースにより、アプリのコントラクトストレージは以下によってインデックスが可能になります。

  • オフチェーンインデクサー
  • フロントエンド
  • 別のコントラクト

Storeを使用する主な利点は、コントラクトデータのアップグレードが可能なことと、スケール時のgasコストです。状態の更新も自動的にイベントを発するので、自動インデクサはカスタム設定なしで状態全体をインデックス化することが可能です。

Solidityの静的データと比較して、新しいデータ(テーブル)を実行時に追加できるため、アップグレードが可能です。

Storeのコストは、各状態に対して手動でイベントを発行するのと同等ですが、MUDはネイティブのSolidityよりも効率的にデータをパックするので、長期的にはコストが安くなります。Modeはオフチェーンインデクサーで、PostgresDBを使用します。EVM上のあらゆるMUDアプリのインデックスを作成することができ、主にMUDクライアントとの自動状態同期に使用され、初期ロード時間を短縮します。Worldは、Storeやシステム、パーミッションレスな制作、アクセス制御、モジュールなどの使用を含むフレームワークです。

出典:Mud Workshop (figma)

要約すると、Worldコントラクト(上写真中央部の🌏.sol部)は、コントラクトの状態とロジックが一元化された単一のコントラクトであり、オンチェーンプラグインと改良されたDevXのためのツール群の助けを借りて拡張することができます。

つまり、MUDに新しいプラグインが導入されるたびに、次に参加する開発者のためにフレームワークとエンジンの価値が高まるということです。

プラグインの例をいくつか挙げます:

  1. Endless Quest – AW内で一貫性のあるナラティブ・メタデータ・アートを生成できる
  2. MUDVRF – ゲーム内でオンチェーンランダムを生成するMUDモジュール
  3. DeFi Wonderland – バーナー(一時的/使い捨ての)クライアント経由でウォレットを使用するためのアカウント管理モジュール
  4. MUD Scan – 全てのMUDゲームのリーダーボード
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②のMUDVRFに関しては、以前開催されたETH Globalの「Autonomous Worldsハッカソン」でファイナリストに選出されたものです。以下の記事で概要を解説しているので、興味がある方は併せてご参考ください。

Dojoエンジン

Dojo Engineは、Starknetの開発者によって作られた公共財としてのゲームエンジンです。

Dojo Engineは市場で唯一のprovable(証明可能)なゲームエンジンであり、そのprovability(証明可能性)がゲームエンジンのために構築されたアーキテクチャとツールに対し、大きな影響を与えています。

この文脈におけるProvabilityとは、同じゲームループをロールアップのシーケンサーやブラウザのようなクライアント側でローカルに証明できることを意味します。

Dojoを使えば、証明のロジックをクライアント側で実行し、オンチェーンのみで検証することが可能になるため、コストを大幅に削減できます。

これにより、チート対策や、シーケンサーがトランザクションを検証している最中でもブラウザ上でロジックが実装される楽観的アップデートなども可能になります。

彼らのデータストレージスキームはMUDのStoreに似ていますが、証明可能性と有効性証明の特性を活用するようにカスタマイズされています。

彼らは、Toriiを使用して検証可能な自動インデックス作成を提供します。インデックス作成は、ストレージの差分を利用して行われ、O(1)のインデックス作成を可能にし、ストレージ証明を使用したワールドステートのクライアント側での検証可能性を実現します。DojoはStarknetへのデプロイメントをサポートするとともに、KatanaMadaraのような高性能のレイヤー3シーケンサーにも対応しています。

Dojoは、以下を提供しています

  • Katana: ローカル開発ネットワーク
  • Sozo: ゲームのデプロイ・アップデート・インタラクションのためのコマンドラインインタフェース
  • Torii: 検証可能なインデクサー

Dojoは、RustのSDKを提供しており、ブラウザ用のWASMにコンパイルすることができます。さらに、Rustベースのゲーム(例えばBevyを使ったもの)でネイティブに使用することができ、UnityとUnreal(開発中)に対するバインディングも提供しています。

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ここで言及されている「UnityとUnreal(開発中)に対するバインディング」は、DojoのRust SDKがUnityやUnreal Engineというゲームエンジンで使用できるようにするためのインターフェースを指しています。これにより、これらのゲームエンジンを使用してゲームを作っている開発者も、Dojoの機能を利用することが可能になります。

なお開発者は、アプリケーションをCairoで書くことを推奨されています。Cairoの利点は、Solidity上のCircomでコーディングしなくても、zk-proofsをネイティブに使ったFog of Warメカニズムを導入できることです。

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Fog of Warメカニズムを簡潔に言うと、「オンチェーンでありながら隠し要素を持たせるメカニズム」のことです。以下のDark Forestの記事で解説しているので、併せてご参考ください。

開発者としては、将来DojoでMUDのような「ゲーム専用のprover(証明/検証)市場」ができることを想像できるでしょう。

また、Dojoで作られたゲームはプレイの複雑度を変化させることが可能なため、『MUDのレプリカ』のようになることはないでしょう。

Argus Labs

出典:blog.argus.gg/world-engine/

Argusは、Dark Forestの共同創設者の一人であるScottが設立した会社で、彼らの最新(そして唯一の)アップデートとともに表舞台に出てきました。

ゲーム(スタジオ)・ゲームエンジン・そして他の開発者がスケールアップやデプロイを行うためのインフラを構築している、野心的なプロジェクトです。

現在はクローズドソースのプロジェクトですが、ブログでは『ローンチ時にはオープンソースにすること』を約束しています。

前述した通り、Argusはベースシャードと個々のカスタマイズ可能なゲームシャードを持つカスタマイズされたL2です。

独自のゲームエンジンであるWorld Engineと組み合わせることで、ゲーム開発者は以下をはじめとするカスタムパラメータを持つ「独自の実行環境」を作成することができます。

  • 高いティックレート
  • gasのカスタマイズが可能なネイティブAA
  • ECSデータベース
  • Unity/Unreal/JSなどのクライアントとの互換性

また、他のゲームエンジンと同様の自動インデクサーも提供しています。彼らはL2とWorld Engineを最適化し、Solidityでの記述が抽象化され、そしてGoでのゲーム開発が推奨されるようにしています。

従来のゲーム開発では、Goは十分に優れたプログラミング言語ですが、ほとんどのエンジンやライブラリがC, C+, C++をサポートしているため、最良の選択肢ではありません。

出典:youtu.be/A0OXif6r-Qk

Scottが先日のプレゼンテーションで示唆したユニークな価値提案は、ロケーションベースのシャーディング(アジアサーバー、ヨーロッパサーバーなど)であり、これによりゲームの遅延をさらに改善することができるとしています。

例として挙げられたのは、ほとんどのシーケンサーがアメリカに基づいており、アジアのプレイヤーはしばしば最低でも300msの遅延に直面するというもので、これはゲームにおいては長い時間となります。

彼らの手掛ける全体構造は、遅延を最適化するようにカスタマイズされた共有シーケンサーによって支えられています。このシーケンサーは、ランタイムをブロックするロックがなく、複数のシャードをサポートし、互いにブロックされず、全体的な順序を強制することはありません。

出典:youtu.be/A0OXif6r-Qk

Cardinal Shardは、同社が構築したゲームシャードの最初の実装であり、従来のゲームに匹敵する20ティック/秒を実現するとしています。

Keystone

Curioチームは、カスタムL2を使用するというアイデアに取り組んだ最初の商業チームであり、カスタムOPスタック実装のためにCalderaとのパートナーシップを最終決定しました。

彼らはECS構造をティッキングチェーンに組み込み、自動インデックス作成、Unity用クライアントサポートなど、同等の機能を提供する予定となっています。

これは、Treatyを構築するための努力から生まれた研究開発プロジェクトであり、その詳細については、チームの準備が整い次第、共有されることになるでしょう。

2023年11月11日追記:
CurioがKeystoneのフレームワークを発表しました。

その他の試み

上記の4つは、EVM / Ethereumエコシステムの最前線で最もよく知られたものが、PlaymintやSolana(Arc by Jump Crypto)などのチームによって構築されているカスタムゲームエンジンが他にも存在します。

Topologyは、オンチェーンゲームの最先端にいるもう一つの巨大企業であり、Starknet上で独自のゲームエンジンで構築されたIsaacと、彼らの最新ゲームShoshinを紹介しました。

結論

私たちは、各レイヤーがどのように発展していくのか、エンジンでローンチされるすべての新しいゲーム・新しいエンジンが登場することを楽しみにしています。

MUD v2やDojoの他にも、まだ実戦テストが行われていないものがいくつかあり、誰がオンチェーン世界のunreal & unityなのかを見極めるまでには、まだ道のりがあります。

まとめ

今回は、「Network Effects in Web3 Game Engines」という記事を日本語訳したものに、関連リンクを挿入したり、筆者の主観を交えて解説・考察することで、できる限り分かりやすく元記事の内容をお伝えしました。

本記事が、執筆時点におけるオンチェーンゲームエンジンの概況や事例などについて理解したいと思われている方にとって、少しでもお役に立ったのであれば幸いです。

また励みになりますので、参考になったという方はぜひTwitterでのシェア・コメントなどしていただけると嬉しいです。

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